ヒルカニヤの虎



 本当のことが誰にもわからない

理論上わかっていたことですが、1回の取材で覿面にウイルス感染しやがった!しかもいったんひいた風邪はまったく治る気配がない。おそるべし免疫抑制。調子のって取材行ってごめんなさい、と天に謝るしかない日々です。そして腎機能がネックでそうやすやすと風邪薬も飲めないのだった。面倒すぎる。

…というさなかに忘年会シーズン突入。
日曜は高校時代の友人と拙宅でおでんパーティー。参加者の半数がおそ松さんをほぼ知らない状況でおそ松さんを強制上映し、絵のうまいSさん(おそ松知らない派)に辛子でおでんにチョロ松と一松を描いてもらってED再現。その後おそ松さんプリントロールケーキ(銭湯クイズ)を皆で食べるという強引きわまりない議事進行です。楽しかった。本件において今年思い残すことはありません。
月曜は北陸から帰ってきた院時代の後輩Iちゃんと梅田でお茶。お茶といいつつ8時まで実に意義深い議論を戦わせていました。議題:なぜわれわれは30代半ばにして突如QUEENにはまったのか?そうなんです急にはまったんです。逆に言うとこれまでクイーンをまともにアルバムで聞いたことがなかった。
Iちゃんも私も今年きつめの病気になり(Iちゃんは開腹手術までいった)、回復期に急にQUEENを聞きたくなってずぶずぶ沼ったという経緯。あまりのシンクロ度にお互い驚き、やがて握手を交わしました。Iちゃんは学年は違うけど同い年。そしてわりと通ってきた道が同じ。そういえば2度のどうでしょう祭りもSATC熱に基づくニューヨーク観光もいつもIちゃんが隣にいた。クイーン病を発症する共通因子を考えるうちに「われわれはどこで道を誤ったのか」という大反省大会になり、結論としてはりぼん・なかよしから少フレではなく花ゆめ・マーガレットに移行したあたりからおかしくなった。あとまりとしんご。喋っててグラムの定義がわかんなくなってきたんですけど、クイーンも初期はグラムなんですよね…?違うの?

キンコメ逮捕で年末年始の特番たいへんそう。しかし私はキンコメのネタをいっこも覚えていないので特に衝撃もなく、また意外でもなく。むかしシャンプーハットのこいちゃんが「吉本にはとても感謝してる」って言ってた。自分のような人間は一般社会に野放しにされ、名前も顔も知られていない環境に置かれればすぐマンション1階に干してある女性下着を盗ってしまうから、と。こいちゃんは顔も名前も売れていて、それに見合う評価と収入があって、家族もいて、舞台で性癖を小出しにできて、それで釣り合いがとれているのだと思う。釣り合いがとれなければ行動になるということ。私は男性ではないので抑制しきれない性癖や衝動が理解できないけど、それでもこの世に誰かが「あってはならない」と決め付けてよいものなどない。

2015年12月28日(月)



 オールを抱いたまま死ぬがいい

おとといの夜は氷点下の札幌で居酒屋にしけこみ、大阪の編集者と東京のカメラマンさんとでプチ忘年会。終盤で大阪人2人が熱いお笑い談義になだれこみ、東京人を置き去りにする事態に。ちなみに編集君とカメラマンはほぼ泥酔だったのに対し、私は1杯程度しか飲めない身なので完全シラフです。編集君が現状のお笑い(※主に新生M-1)にどんどん後ろ向きになるので、景気づけるために話題転換をはかってみる私。
私「そういえば今年のTHE MANZAIはやすとも出ますね」編「へ〜やすともねえ〜どうせねえ〜(ぐでんぐでん)」私「海原やすよともこですよ?初の全国放送ですよ!?」編「やすとも…ええっやすともが!?(覚醒)」てきめんの効果があった。東京のカメラマンさんはやすともを知らなかった衝撃。

というわけでTHE MANZAIが賞レース形式でなくなってよかったと心底思っています。おかげでやすともが全国区の番組に出られた。近畿圏、とりわけ大阪に生まれた女がやすとも嫌いなわけないって私信じてる。ハイヒールも皆大好きだけど、残念ながらハイヒールが面白いのは素のしゃべりであって芸としての漫才ではないのです。むかしライセンス目的で京橋花月の漫才ライブに行ったとき、全組で唯一やすともだけが劇場を地鳴りのような笑い声で湧かせていた。師匠クラスの愛され方、そして師匠クラスの実力、それがやすともです。中川家と同期だけど、中川家をはるかにしのぐ普遍性をもつと思う(ちなみにこの2組があまりに漫才師として群を抜いているので、大阪の師匠連中は中川家礼二と海原ともこを結婚させて超サラブレッドを誕生させる、という野望を持っていたほど)。
いろんな女流漫才師がいるなかで、やすともは「女流」の冠を必要としない漫才師でもあります。今のお笑い界で女芸人は基本的に「笑われる」という立ち位置にしか立てないのに、やすともは徹底して「笑わせる」芸でありつづけている。そういった意味では女を感じないというたけしのコメントは正しいな。でも彼女らの漫才を「上手い」って言ったらダメなんだよ。いつかの単独で、ともこは「おもろいって言われたら嬉しい。上手いって言われたらなんやねんって腹立つ」って言ってた。上手い、と判断できる猶予を与えているようではまだ笑いとしてダメなのだと。あたりまえの話題を、変に繰らずに、目新しいオチもなく。大阪のおばちゃん2人がただ立って喋ってるだけで、どこを切っても文句なく面白い。たぶん1時間でも聞いて笑っていられる。今回のTHE MANZAIにかけたネタは鉄板中の鉄板、ここ10年の年末年始で各3回は聞いてるネタをちょっと薄めたものです。つまり軽く30回は聞いてる手垢のつきまくったネタなのに、なお笑ってしまうこの名人芸。来年はやすともの単独あったら行こう。京橋花月がなくなった今、やるとしたら祇園かNGKだろうか。
正直ほかの芸人はやや流し見になりましたが、ますおかはちょっと笑ってしまった。オマージュ漫才、これ劇場でやられたら悶絶する。チュートリアルのカメラマンネタめっちゃ懐かしいな!来年はメッセンジャーも出してください。

2015年12月20日(日)



 収まるように収まったなら

3ヵ月の休養から復帰した初仕事は氷点下の北海道。年1回しか雪が降らない地域で生まれ育つと、うっすら積もった雪にさえ安易にテンションが上がってしまいます。雪だるまだ!雪合戦だ!的な。しかし歩けないくらいの積雪、屋根や地面から吹き上がる地吹雪には真顔でどうしていいかわからない。この雪と寒さのなか普通のテンションで外歩いてる道民にも正直ちょっと引いてる。これからキャリー転がして札幌駅まで歩くのかあ…うんざり。せめて雪やんでほしい。
あ、仕事自体は特に問題なくできました。ひとまずよかった。



2015年12月19日(土)



 みんな悩んで大きくなった

エリヤンに続いてジューシーズも解散。正直もうあんまり驚かなくなってきた。別に芸人を辞めるわけじゃなさそうだし、年内にもう数組くる気もするし。ごく一部で囁かれていたライス解散説は田所さんが否定してくれていて安心しました。ライスはピンになるのも、現ライス以外の相方をみつけるのも無理。そして何より私が嫌。

お笑い好きのKさんと今年のM-1について語る。「私が望んでいたのはメイプル超合金とスーマラ、そして敗者復活を勝ち抜いたとろサーモンが決勝でぶちあたるという美しい流れです」と伝えたらすごく同意が得られた。さすが同い年。一方、1歳下のSちゃんはメイプル調合金の面白さがわからんとごねていました。あの子5年くらい前にスリムクラブ意味不明って言ってたな。人は変わらないものだな。

今年は水木しげる、野坂昭如が逝去。
子どもの頃お世話になった、猥雑で自由な大人たちが亡くなってゆかれる。

2015年12月09日(水)



 マイオールドタイマー走れ

M-1決勝、いいお客さんでよかった!
決勝は結局テレビをミュートで見ながらABCラジオ(メッセンジャーあいはら・桂三度・畑中フー)の裏実況を副音声的に聞いてたんですけど、なかなか意義深い放送だったのでちょこっと残しておきますね。あと個人的にどうしても桂三度という表記がなじまない世代ゆえ、もう元ジャリズム鐘でいくことに決めた。

銀シャリに対する鐘の評価「決勝全組のうち20年後いちばん幸せに暮らしてるのが銀シャリ」。珠玉のコメント。あとメッセあいはらの「姿をくらます癖のあるスーマラ田中君はこの舞台に立ってる時点で無の境地です」も。つまりスーマラの漫才は成功しかない、ということだね。
ただやっぱり大阪のスーマラ和牛ジャルジャル銀シャリあたりのネタは劇場テレビで擦り切れるほど見てきたので、メイプル超合金やバカよ貴方はの鮮烈さには勝てなかった…。ハライチは初めて見たネタでよく攻めてたのに、思いのほか点数低かったな。やっぱり練習量や仕上がり方の差は歴然と見えてしまっていた。あと同じ誘拐ネタならダウンタウンの誘拐には勝てていない、と鐘。あいはら「ハライチはもう世に出て立場が確立してるから攻められる」。なるほどそういう見方もあるか。

あと鐘の発言で印象深かったのは、M-1史上いちばん評価してるのはチュートリアルのバーベキュー。ダウンタウン以来の新しい方向性のネタだと。だからこそラジオブース内ではタイマの評価がとても低かった。まあね。それでも賞レースは笑いの量が多いほうが勝つし、一番笑わせた芸人が偉いの。ただこのM-1で売れるのはメイプル超合金だろうなあ。素直にもっとネタ見たいし、もっとキャラ知りたい。

敗者復活からの優勝は想定内のトレエンでしたが、ラジオブースでは「このへんでチャンスがないととろサーモン久保田が腐る」という愛あふれる兄さん達の応援がありました。久保田は最近飲み屋で会った怪しいおっさんに40万だましとられ、生活できないのでヨシモトにお金を借りようとしたら断られたそうです。事件起こす前に何とかしたってくれ!という兄さん達の募りまくる不安と心配により、久保田募金が立ち上がりそう。もっと久保田の話ききたいわー。そういえばスーマラ武智が荒れないかも心配されてた。

トレエンが悪いわけではないけど、私はデブネタをしないデブ、ハゲネタをしないハゲをかっこいいと思ってしまう感性です。すまんな。いつかのオールナイトライブで斉藤さんが登場したとき、ハゲネタばっかでマジ寝してしまったことがある。でもタイマやトレエンのような芸が世間を笑わせるほうが明るくていいし、何より心に闇を抱えたお笑い自体をそもそも知らない層がいまや圧倒的に多いのだろうと思います。同じハゲという点を差し引いても畑中フーさんのトレンディに対する嫌悪感おもろかった。

敗者復活も面白かったんだけど、とりあえずダイタクと吉田たちとの住み分けは今後問題になりそう。

2015年12月07日(月)



 ゴミの中で生きている

ギャラクシー賞ラジオ部門にお笑いで唯一ノミネートされた「それゆけ!メッセンジャー」に六車さん復帰。お子さんを出産されてなおますますの悲惨さで「あーこれこれ」とふるさとの味を噛みしめています。ぎっしゃんは底抜けにええ娘ではあったが、メッセンジャーがいじりたおすだけの人生の深みが足りない。そしてぎっしゃんには六車さんのような人生の苦味を味わってほしくない。
あいはらとあつむのM-1生放送ラジオ楽しみですね!敗者復活はテレビで見、決勝はラジオで聞くと思う。和牛の決勝進出が決まって以来、本日記の過去記事「ワっとしてギュっと!」レポへのアクセスがやたら増えていますが、5年以上前の情報なので何の参考にもなりませんよ?

きのうのM-1の事前番組でオードリーが衝撃の準優勝コンビとして紹介されていた。ネタが「引っ越し」ではなく「選挙演説」だったことに番組制作側の若干の悪意を感じる。しかし間違いなくネタ選びを間違えた伝説の選挙演説ネタをもう1回見れてうれしいです。今見直すとなかなかよいネタではないか。
オードリーはなぜ消えなかったのか?最近よく考えてる。

そんなオードリーは今週のANNで若林さんが体調不良により初欠席。テンパりたおす春日さんがマシンガンズ西堀の悲劇を彷彿とさせる。といったところで最後に西堀ご本人が登場して禊を行う美しい流れ。最近やっとパラダイスの異常さがツボにはまってきた。

2015年12月06日(日)



 笑うボビンは可愛い

SHERLOCK特別編劇場公開の報に小躍りしていたら、エリヤン年内解散のお知らせ。そうか、もうそんなところまできているのか。

同世代で鍋をつつきながらFNS歌謡祭を見る。「懐かしい」が嵩じた結果、ひっっさしぶりにTSUTAYAでCD借りたった。DVDはちょくちょく借りてたけど、Huluに加入して以降さっぱりだったし、CDにいたっては10年くらい借りてなかった。でも昔のアルバムは何となく歌詞カードみながら聴きたいよね。

ずっと十四松はオジーみたいだと思ってたんです。あ、オジーは木更津キャッツアイで古田新太がやってた元野球部エース→白痴アル中浮浪者→オジーたぬきね。でもおそ松さん9話をみて十四松は寅さんみたいだとも思った。十四松はAV落ちした絶望から死のうとしている女の子を救い(救われ)、恋をし、彼女を笑わせるために毎日出かけるようになる。ただ恋をしただけなら、いつものバカ全開の奇行をやめてしまう(=分別がつく)理由にはあんまりならない気がする。だから多分、十四松は彼女と出会って何かを知ることで大人になってしまったのだ。
おそ松兄さんは彼女の真実を十四松から隠すためにAVを買い占めたけど、彼女のリスカ痕を隠すためにナンバー入りのリストバンドをあげた十四松は、きっと何もかも知っていたんですよね。トト子ちゃんに「AV出たの?」と無邪気に聞ける子どもではなくなってしまった。ただ、少なくとも彼らはこうして泣いたり酔っ払ったり笑ったり喧嘩したりして成長しているので、死んでいるかどうかはわりとどうでもいいことです。次の回になれば十四松はもとの奇行バカに戻る(はず)。その世界観でよかったとは思う。

2015年12月04日(金)
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