☆空想代理日記☆
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2007年09月30日(日) 9月30日(日)

 昨日は免許証を失ってから疎遠になったガソリンスタンドへ、最近のシステムの研究に行った。

 不逞者が自動車を運転していた頃は、笑顔を絶やさない人々があれこれと世話をやいてくれていたが、その頃の人情味溢れることは一切なく無機質なものだった。

 なにより、へんてこりんな帽子をかぶった店員さんがみあたらなかった。

 近頃ではガソリンを運転手自身が入れるのだと知った。実に勝手な商売である。

 ガソリンが出てくる魔法のピストルが刺さっている機械に興味をもった。不逞者は好奇心に満ちていて、とても輝いていたのだろうと思う。

 機械にはタッチパネルのようなものがあった。次に眼球をスキャンするレーザーが出て、人物を識別していた。

 数秒後に奥の扉がひらき、秘密の入口があらわれた。

 そこには、マーライオン像の口からお湯がでている温泉みたいなものがあって、闇組織のボスらしき人が葉巻を吸いながらアルバイトたちに指示をだしていた。

 ガソリンスタンドとは、独裁経営によって運営されていて、アルバイトたちはガソリンを捻出するために血の滲む努力をしているのだと知った。


2007年09月29日(土) 9月29日(土)

 昨日の不逞者、究極の選択で頭を悩ました。両手で頭を抱え、膝から崩れ落ちそうになったが、実際は足首から崩れ落ちたのだった。

 金曜日といえば病院へ行って白衣の悪魔と他愛のない会話をしながら血液を盗まれたりするのであったが、実はTSUTAYAがレンタル半額だった。

 病院は朝はやくに行って受付を済まさねば診察までひどく待たされる。しかしTSUTAYAでレンタルする場合も、朝はやくに行かなければ借りたいものがすでに借りられているのだった。

 外に出てサンダルを飛ばしてみたりした。表が出たらTSUTAYAにしようと考えての行動である。ただ、サンダルは視えている部分はすべて表ではないのかと疑問をもつ。

 花びらをちぎった。ヒゲを抜いた数で決めようと引き抜いた。神様の言うとおりにしたがおうと思った。水道水から赤錆が出てきた。

 病気とともに生きている不逞者、やはり病院を選ぶべきだと考えた。何のDVDを借りようかと陳列棚の前をうろうろしながら考えた。

 人差し指でDVDのジャケットをとんとん叩きながら考えた。


2007年09月28日(金) 9月28日(金)

 近づいてくる者は切り刻め、もしくは石に変えろ! で有名である『髪斬り般若』君のところへ行った。散髪するならうちの店に来なさいと命令されたからであった。

 実に良いタイミングだった。不逞者の髪の毛は伸びまくっていて、極限の空腹時なら喰べてしまおうかと思ってしまうくらいの伸びっぷりだった。

 店の前には犬の置物らしきものがあった。石でできていたが、まるで生きているのではないかと疑ってしまう出来映えだった。

 たぶん、彼の眼力によって石にされたのであろう。

 誰かに前髪を切りすぎてしまう呪いをかけられていた不逞者、やはり前髪を切りすぎた。これは呪いであって、彼の嫌がらせではないはずだ。

「ジェイソンより怖いのは、ジェイソンに服を売った人ではなかろうか?」

 と、こんなくだらない会話で散髪の退屈さをまぎらわせた。

 すると彼は、もう少しマシな会話をしようと不逞者のことをバカにした。

 当然、納得のいかない不逞者は彼に罵詈雑言を浴びせた。だが彼は両手を軽くあげて余裕で不逞者をかわした。

「実は俺、結婚したんだ」

 その告白に不逞者、眼が飛びだしたのだった。


2007年09月27日(木) 9月27日(木)

 昨日は久しぶりに『るのあ〜る』がやってきた。旧い友人との再会のように逞しくなっていて身長が不逞者より高くなっているようなことはなかったが、それでも元気そうであった。

 元気のかたまりのようでもあったし、かたまりの元気のようでもあった。どちらでも良いのである。

 猛暑を乗り切った『るのあ〜る』はひどく甘えてきた。頬を不逞者の右手にこすりつけてきたり、ザラザラした舌で指を舐めていた。

 不逞者の指はそんなにも甘いのかと思って指を自分の口に近づけてみた。すると指はすっかり猫くさくなっていた。

 顔面の中心、つまり鼻にむかってすべてのパーツが集まっているように感じるほどくさかった。

 もっと野生猫と遊んでいたかったが、実はショックを受けた事件があり、それどころではなかった。

 楽しみを奪われたのだった。楽しみを奪われたといっても、好物のおかずを最後まで残してあったのに盗まれたわけではない。

 毎週毎週、楽しみにしていた『サラリーマンNEO』という番組が最終回をむかえてしまったのだった。

 野生猫には申し訳ないけれど、しばらくはそっとしておいてほしい。


2007年09月26日(水) 9月26日(水)

 昨日はバカでクズでどんぐりの背比べのことを昔から『コンドルの背比べ』と間違ったまま記憶している友人たちとジョギングで汗を流した。殺し屋みたいな顔面をしている友人ばかりなので、1ミリたりとも爽やかさはないのだった。

 それから走るためには目的地が必要だということになった。もっともな意見であるが、殺し屋みたいな顔面をしているので違和感がある。

 目的地はとある橋の下にしようとなった。

 やけに自信に満ち溢れている友人がいた。彼はくしゃみを我慢することを生き甲斐にしている変人である。

 不逞者が彼に目的地まで走れるのか、そして君は足が速いのかと訊いたところ、

「ああ、もちろんさ。俺が大物ならお前たちは拍手しながら出迎えてくれるはずだ」

 と言った。
 つまりは、不逞者たちが呼吸を整えて笑顔を出せるまでに復活した頃に到着すると宣言しているのだった。

「目的地に到着するまでには、親が泣いて喜ぶくらいお金のにおいがする大物になってくれ」

 不逞者はそう言って、ほかの友人たちと走りだした。未来の大物予定の友人はあっという間に視えなくなった。


2007年09月25日(火) 9月25日(火)

 昨日の日本はすっかり秋めいていたが、不逞者はまだ秋らしいことを何ひとつしていないことに気がついた。

 秋といえば松茸しか思い浮かばなかった。となると、秋という季節は、松茸しか浮かばない自身の脳みそを呪う季節であるのだった。

 そういえば松茸は、とても危険な喰べ物である。中にカミソリが入っていることもあり、舌べらがズタズタになるという。または有毒ガスを発生させるらしい。このことは不逞者がうんと小さい頃に両親に教えてもらった。

 両親の話によれば、ある家の近所から松茸の香りがしていて、翌日になるとその一家は惨殺されていたそうだ。

 また別の話は、1人の青年が松茸が置いてある八百屋の前で店主にむかい、右手親指で鼻をこすりながら左手のてのひらを太陽にむけて親指以外の4本の指で威嚇したそうだ。

 不逞者、それはブルース・リーだと思った。

 ともかく松茸というやつは不良が上半身にダイナマイトをくくりつけているような危険なものだそうだ。

 なので松茸を焼いて喰べたり土瓶蒸しにしたり炊き込んだりしている映像は、すべてCGに違いない。


2007年09月24日(月) 9月24日(月)

 昨日は行くところ行くところに、陽光で眼球をやられた人たちが眼から血を流してふらふらしていた。まるでゾンビのようだった。

 不逞者は普段からサングラスをかけているので、おそらくはターミネーターなのだった。

 そしてターミネーターである不逞者の昨日の標的はレンタル店だった。理由は、なんとなくである。

 サイボーグであるが、実は重大な欠陥がある。右足はせっかちな性質をもっていて、左足は負けず嫌いな性格なのだった。

 なので歩いていると右足が素速く前にでて、左足が負けじと前をいくのだった。その速度はどんどん速くなり、不逞者の躰は後ろに45度くらい傾いてしまうのだった。ちなみに、下半身はぐるぐる模様である。

 陸ウェイクボード姿でレンタル店へ突入した。初めて知ったことがあった。なんとCDもレンタルされていた。

 いくつか物色していると、価格表示された中吊りのようなものがあった。300円だった。DVDより高いのだった。

「のび太のくせに、生意気だぞ!」

 と似たような感情が湧いてくるのがわかった。CDは一生借りないことを決意した。


2007年09月23日(日) 9月23日(日)

 ここ最近、不逞者の周りでは理解しがたい不可思議なことがおきている。昨日はそのひとつを解決した。

 そのおかしなこととは、パンツが立て続けに破れてしまうということだった。まさしく怪奇現象なのだった。

 パンツ一丁でブロック塀におしりをこすりつけたりはしていないし、犬におしりを咬まれたまま走りまわったこともなかった。

 たぶん、パンツに対して心をこめて祈りを捧げてなかったからかもしれない。または、神棚に置いて崇めてなかったからだとも考えられた。

 このようなくだらない反省はどうでもよくて、パンツを早急に補充しなければならない。

 すべてのパンツが破れてしまった場合、下半身がスースーしたままズボンを履いて外出することになるからだった。

 それは避けねばならない。パンツを履いてない状態で満員のエレベーターに乗っているところを想像してみたところ、変態としか思えないのだった。

 または、近所にある小学校の近くを歩いていて、陽光のしたでサッカーをしている少年たちを下半身がスースーしたままの不逞者が覗いていると思ったら、逮捕されても仕方ないのだった。


2007年09月22日(土) 9月22日(土)

 昨日も放心状態になって口からだらだらとよだれを垂らしてしまいそうになるくらい暑かったが、病院へ行かなければならなかった。

 風はわりと心地よい品質のものが吹いていた。おそらく南国の風である。しかし、地面は巨大なフライパンのようだった。小太りな小学生は丸焼きになっていてもおかしくない気温だった。

 歩いて病院へ行く場合は、笠をかぶって杖をつき、あとは勇気が必要であると思った。

 笠と杖はなんとかなるが、不逞者の心のなかには勇気がからっぽなので、小石を蹴飛ばしながらバス停まで行った。

 バス停は日陰になっているので安全だと思っていたがそれは大きな間違いのようだった。

 ベンチに座って壁にもたれている太った女子高生がいた。まるで死んでいるようだった。

「あぢぃ。あちぃよマジで。マジうぜえし。太陽は眩しいし、バスはおせえし、あたしのワキはびちょびちょだし」

 とかなんとか1人でぶつぶつ言いながら怒っていた。たしかにワキはびちょびちょだった。というより、上半身が透けていて、かなりの有毒であると不逞者は判断した。

 そして不逞者はタクシーに乗った。


2007年09月21日(金) 9月21日(金)

 昨日は、あまりの暑さに気が狂ってしまいそうになったが気は狂わず、行動だけはしっかりと狂っていた。

 どこかにスプリンクラーがあるはずだと思った。霧状になった水を浴びるために必死で捜そうと思いつつもやっぱりやめた。そして海のそばにある市場へ行った。

 中国の買い物風景によく似ており、豚の顔面や皮をはいだ蛇などが売られてそうだった。生きたにわとりを目の前でさばいたりもしてそうだった。

 だが、そんなことは一切なく、健全な市場であった。

 入口付近にあった店では試食し放題だった。思わず店のおばさんに向かって「お母さん」とか呼んでしまいそうになるくらい慣れ親しんだ。が、途中で言い間違いに気づいた不逞者は見事に軌道修正した。

「おば母さん」
「おバカさん? なんですって」

 という危機的状況だった。紛れもない事実である。不逞者のほうこそ、おバカさんなのだった。

 そしてたくさん試食をさせていただいところで、ひとつどうですか? と言われたが無言でその場を去ったのだった。実に不逞者、ひとでなしだった。それもまた、不逞者の長所であるのだった。


2007年09月20日(木) 9月20日(木)

 昨日はなにもしなかった。というより、重い悩みを抱えていてなにかをする気力がなかった。

 その悩みとは、視力と視覚についてである。

 人間の成長において、良い影響をもたらす人物といれば、それが自分にもはねかえってきて幸運がおとずれたりするのである。が、視力はまったく違うのだった。

 女風呂を覗いたり雑誌を読んでいる人に接近して盗み読みしたこともないのに、視力はうなぎさがりで悪くなっていった。

 そして左眼の視力がおちていくにつれて、右眼まで悪くなっている。視力は、その力をネガティブに応用しているのだった。

 視覚のほうも問題がある。右眼では白く光る玉や黒い蟲が視え、左眼は肌色の腕や肩が天井あたりを飛んでいるのが視えるのだった。

 実はこの現象は数年前からあるのだった。

 きっかけは何かわからないけれども、温度差で眼球が白くくもったりすることを感じるようになってからだった。

 このことを電話で眼科の先生に伝えたところ、

「そりゃあ、なんでですか?」

 と、逆に質問されてしまった。なぜなんだろうか。


2007年09月19日(水) 9月19日(水)

 不逞者の住んでいるところから少しだけ歩くと、誰でも利用可能な体育館がある。昨日はそこで運動しようと友人を誘った。

 しかし不逞者はかの有名な約束ぶち破り人間なので、体育館へ行くことはなかった。

 怒った友人はえらい剣幕で不逞者宅へやってきた。ものすごい形相だった。

 怒りに肩をふるわせている友人は、ここへ来るまでにロングヘアーの女性をひきずりまわしたかのようだった。

「テキサス、テキサス」

 とか言いながらカウボーイ気取りで女性をひきずっていたのだろうかと疑った。

 ここまでは冗談だったが、友人は本当に「テキサス、テキサス」と呟いていたのである。

 人類の平和を常に願っていて毎年しろいハトを捕獲しようとがんばっている不逞者は友人の言葉をよく聴いてみると、

「敵、刺す。敵、刺す」

 という、物騒な日本語を喋っていることが判明した。

 刺されるわけにはいかないため、家のなかに招き入れてアルコールをどんどん呑ませて酔っ払ったところで友人の顔面に油性ペンで線路や薔薇を描いて遊んでいたのだった。


2007年09月18日(火) 9月18日(火)

 昨日はドラえもんでも読みながら友人を絶望させるイタズラを考えていようと思っていた。が、ドラえもんに恐竜がでてくる話に不逞者はひどく感動したのだった。

 偶然にも不逞者が住んでいるところの近くで化石掘りができる場所がある。2級河川の上流のほうである。

 発掘セットみたいな便利なアイテムを持っていない不逞者、こんな時ドラえもんならどうするのだろうかと考えた。たぶんロボットなので水場には近寄らないのだろうと思った。

 仕方なく化石がありそうな石を拾って、大きな岩にぶつけた。ずいぶんと原始的であるが、有効だった。

 割れた石を視てみると、紫色だか茶色だかわからない不気味な色がにじんでいた。化石どころか呪いの詰まった石のようだった。

 たぶん、あの色の石を直視すると副作用があるのだった。そして不逞者はもはや手遅れなのだった。

 魚を喰べるたびに骨が咽にぶっ刺さったり、新品の電池がまったく空だったりする副作用なのだろうか。または、歩いていると何もないところでつまづいたりするのかもしれない。

 おとなしくドラえもんを読んでおけばよかった。


2007年09月17日(月) 9月17日(月)

 実は不逞者のパードレは、男性のくせにシンデレラに限りなく近い才能をもっているようだった。

 先日、『微笑み悪魔隊長』なるおばさんのことを日記に書いた。不逞者宅へ来る時には、どこかから仕入れたものを持ってくるとも書いた。

 今回はいなり寿司を持ってきたらしかった。それは不逞者のために持ってきたらしいのであるが、危険を感じて断った。

 マードレはいなり寿司を捨てるわけにもいかず、パードレにすすめたのだった。

 パードレは鉄の胃袋をもっており、まるでゴミ箱のような人間なのである。

 自分のためにいなり寿司を持ってきてくれたのだと軽い勘違いをおこして、えらく上機嫌であった。まるで今から札束の海で水着の女性数人と肩をくみながら、幸運の石の写真撮影をするような笑顔だった。

 野良犬のようにいなり寿司をたいらげ、しかも誰にもとられないように隠していた。まるで弁当をフタで隠す女学生のように視えた。

 気持ち悪いほどの上機嫌は深夜まで続き、タレ目になるほど笑っていた。が、午前零時を過ぎたあたりから腹痛をうったえ、トイレで夜を明かしたのだった。


2007年09月16日(日) 9月16日(日)

 残暑の厳しさとともに、再びセミの大合唱が復活したようだった。えらくやかましく不逞者は思った。

 やかましいといえば、昨日は来客があった。マードレの友人で、不逞者はそのおばさんのことを心のなかで『微笑み悪魔隊長』と名づけているのだった。

 この異名をとるきっかけとなったのは、不逞者の気遣いのない一言にあった。なので不逞者も悪いのである。

 おばさん、この言葉に過剰な反応をしめしたのだった。

「あら、みのもんたには『お嬢さん』て呼ばれるのよ、わたし」

 といった具合で、それ以来不逞者のことを敵視しているようだった。

 それからは用もないのに不逞者宅へやってきて、喰べかけのバウムクーヘンを持ってきたり、不逞者の傘を盗んでいったりするのだった。

 注意しようと何度も思ったが、悪気を感じさせない微笑みをかえしてくるので注意できないでいるのだった。

 靴のなかに入った小石のような存在のおばさんでも、一応はマードレの友人なので、2人まとめてガス室みたいな場所におくってやりたいと思った。


2007年09月15日(土) 9月15日(土)

 昨日は近所にある電機量販店まで歩いていった。向かう途中、下り坂が2つもあった。不甲斐なさを爆発させた力士のような歩き方になっていると客観視できた。

 残暑の厳しさを感じていたが、量販店は冷房がきいていて床がひんやりしていそうだった。寝そべりたくなったが、それはしていけないように理性がはたらいた。

 とりあえずパソコンのキーボードを端からちゅるるんと押しながらうろうろした。たぶん、不逞者は無意識にブラインドタッチに憧れをもっているのだろうと思う。

 そして、最新の家電製品には驚かされたのだった。とくに、ドラム式洗濯機には度肝を抜かれた。

 何がドラム式なのかがさっぱりわからないからだった。しかし店員さんに教えてもらうのははばかられた。

 とにかく人間や地球に優しいマシーンだということは、細かい文字で書かれた詐欺まがいの説明文でよく理解できた。

 一見すると乾燥機のような洗濯機だった。右上に開閉ボタンがあった。何度も開け閉めして驚嘆の声をあげていると、店員さんたち数人が不逞者のことを監視していた。舌打ちしながら店をあとにした。


2007年09月14日(金) 9月14日(金)

 昨日は、なんだかもやもやしていて、今ひとつすっきりしない感覚が腹の底からせりあがってくるようだった。つまり、イライラしていたのである。

 たぶんイライラの原因は、おかずに醤油をかけすぎたのがきっかけであると考えられる。それでない場合は、下着姿のままキューピー人形に話しかけているマードレを目撃してしまったことであると思われる。

 不逞者は普段は沈着冷静なのであるが、それは一種のフタのようであるのだ。そのフタがはずれると、もうひとつの人格が貌を出すのだった。

 もうひとつの人格とは、小指サイズの妖精で、なぜか宇宙服を着ている。名は、スミスという。

 スミスはものすごく狂暴で、意地悪なのである。狂暴といっても、ジュースのプルタブをひねる時に人差し指の爪を割っても動じない、とその程度だった。

 彼が不逞者を乗っ取っている時は何がおきているのか不逞者は知らない。のちに笑いながら頭の中で教えてくれたりするのだった。

 他人から聞かされる時は、友人から「無言電話はやめなさい」と怒りのこめられた注意をされるのであった。だが、犯人は不逞者ではなくスミスなのである。


2007年09月13日(木) 9月13日(木)

 バッティングセンターとかいう安価でストライクを生産することができる工場で汗を流したせいか、昨日は筋肉痛だった。

 右のおしりに鈍い痛みがはしっていた。したがって不逞者、負傷した旧日本兵のようなぴょこぴょこした歩き方であった。冗談ではなく真剣にぴょこぴょこしていたので、なおさら残念である。

 歩き疲れて偶然ちかくにあったベンチに座ったとき、背後から優しい光がさしているナイチンゲールのような女性があらわれて無言で不逞者の筋肉痛を治癒してくれたということは、ない。

 知らない人から後ろ指をさされてしまいそうで恥ずかしかった。本当に後ろ指をさされたら、筋肉痛のおしりがさらに痛むはずだった。

 人目を避けるように帰宅した。透明人間になれる魔法の汁をつくることを決意した。

 鍋に、バラバラになった動物の肉や呪い薬っぽくなるような着色料をぶち込んだ。

「くわぁーくわっくわ!」

 笑った。これで透明人間になれるのかと笑った。鍋からは肉眼を灼きつくすような刺激のあるかおりを放出しており、気分は最高潮であった。

 しかし、カレーでは透明人間になれないのだった。


2007年09月12日(水) 9月12日(水)

 昨日の不逞者、なぜかむしゃくしゃしていた。五線譜をぐちゃぐちゃに丸めて元に戻そうとしたり、ピアノの鍵盤を力いっぱい叩いて「どこが『ド』なんだ!」と叫んでしまいたかった。

 このようにイライラしている時は、視るからに不倫カップルだとわかる人たちを捜しだして首のうしろにチョップをくらわしたり、バッティングセンターで金棒を振り回すにかぎる。

 そうしてバッティングセンターのほうを選択したのだった。

 反対側の壁面に設置されてある、白球を吐きだす殺人マシーンに向かって、不逞者はぶんぶん金棒を振り回したのである。

 イライラを解消するにはもってこいだと思う。そして不逞者のイライラも絶好調であった。

「サボテンのステーキって、何だそりゃ!」
「ラムネの入れ物の上のほうって、『ゴン太くん』に視えるんだよ!」
「刺身? 切り身の間違いじゃねーのか!?」

 などと叫びながら白球を打ち砕いた。

 もちろん周りにいた人たちも、カウンターに座っていた店主も、口をぽかんと開けたまま不逞者のことを視ていた。


2007年09月11日(火) 9月11日(火)

 昨日は男らしい背中について考えた。なぜ、こんなことを急に考えたのかというと、頭がどうかしたに違いないからだった。

 しかし逞しい背中には強い磁力のようなものを感じるのだった。なので、海へ行こうと思った。しかも港である。

 港に着くと、豪華客船が幅寄せして停泊していた。何階建てだか視上げるのも大変そうな船だった。

 圧倒的な存在感に不逞者の背中などどうでもよくなった。たとえば架空の大会で背中選手権なるものがあって偶然にも不逞者が優勝候補であったとしても、船の存在感には到底かなわなかった。

 こういった巨大船にはどのような人が乗っているのだろうか気になった。アイパッチに片腕が鉤爪になっていて人相の悪いヒゲ面のおじさんは乗ってなさそうだった。

 性格の悪そうな赤毛の少年が半笑いでツバをふきかけてくるようなことはなかったが、実際にいてもおかしくない雰囲気があった。

 とりあえず巨大船の雰囲気を一言で説明すると、「あと三言ください」とかわけのわからないことしか浮かばないのだった。

 ちなみに、長時間うえを向いていたせいか、首が痛い。


2007年09月10日(月) 9月10日(月)

今日の一言
ひろく浸透しているが理解できない言葉。腕時計。


 昨日はトレーニングをしなければならない日だった。

 最近、あんまり運動してないため、ひたすら走って体力を回復させることを自分に義務づけた。

 ついこの間まで世界陸上が開催されていたようだが、不逞者のやろうとしていることは下界陸上だった。

 河川敷にはサイクリングロードがあり、そこを走る自転車と併走しようと考えた。たぶん、道端に落ちているジャッカルのフンを視るような感じで気持ち悪がられるであろう。

 そんな誓いもむなしく独りで走った。がむしゃらに走った。両手をひろげて走る姿を想像しながら走った。

 しかし30歳の壁は厚く、また高かった。昔のような軽いステップは踏めず、ドジでノロマなバクのようだった。

 運動能力低下もそうだが、いろいろなところにガタがきているようだった。

 つい先日、友人から電話がかかってきて「24、観た?」と訊かれたことがあった。不逞者は「明日は晴れらしい」とこたえた。

 どうやら、『24』が天気予報と聴こえていたのだった。実に無念である。そして30歳は怖いのである。


2007年09月09日(日) 9月9日(日)

 昨日の不逞者、足の先から爪先まで電撃がほとばしるような衝撃をうける料理本を探しに古本屋へ行った。

 最近、フライパンをがんがんあおる自分に酔いしれている不逞者、そろそろ調子にのって揚げ物に挑戦するべき時がやってきたと考えているのだった。

 そうして手羽先をつくることにした。
 手羽先といえば名古屋風である。名古屋風のあの甘辛く味付けするタレは、おそらく天下無敵だろうと思う。

 が、そんな都合のよい料理本はないばかりか、こういう時こそインターネットを使うべきであると、あらためて平成時代の常識を肌で感じた。

 だが不逞者はヘソが無いのではないかというくらいのヘソ曲がりなので、勘でつくることにしたのだった。

 理科の実験のような気持ちだった。理科のレベルがビーカーとか受粉な不逞者、不得意であるのだった。

 軽い小爆発をおこし、不逞者の髪の毛がアフロになり顔面が黒くすすけて口から白い煙を吐きだすようなことはなかったが、寸分の狂いなく手羽先を甘辛く味付ける魔法のタレの作成は失敗におわった。


2007年09月08日(土) 9月8日(土)

 昨日は銃撃戦のようなうるささで目醒めた。カーテンをあけてみると、銃弾が降りそそいでいるような強雨で、銃撃戦という感想はあながち間違ってなかった。

 なぜか突然、外に出たくなった。雨のなか、上を向いたらレンコンのような鼻になるんじゃないかとワクワクした。

 それから昨日は、回転寿司を喰べに行った。厚手の布の端と端を背後で引っ張るように持って、雨にあたらないよう工夫した。そして「ひゃあ」と叫びながら不逞者は疾走したのだった。

 回転寿司店では相変わらず皿はまわっていたが寿司は1ミリも回っていなかった。

 不逞者の隣席に1人のおばさんが座っていて、大食い大会を思わせる喰いっぷりだった。

 少食の不逞者はなぜか競争相手に選ばれているような錯覚をおぼえた。なのでがんばってむしゃむしゃ寿司をほおばった。

 稲妻のような速さで喰べた。途中、2人の攻防がスローモーションになり、誰が視ても白熱しているようだった。

 ただ、攻防の攻めるは喰べることだとわかるが、攻防の防ぐは何をすればいいのだろうかと思った。考えているうちに負けてしまった。


2007年09月07日(金) 9月7日(金)

 昨日は激闘の1日だった。いままでの人生において、あれほど燃えあがった闘いはなかった。

 そして不逞者、かなりの寝不足であった。寝不足常習犯なので、そこらへんはあまり気にとめていない。

 この闘いと寝不足は同じ理由からだった。

 もう夏も終わりだというのに、いや、終わっているといっても問題はなさそうなのだが、蚊の異常発生により闘わなくてはならなかった。

 寝ていると耳許で羽音がした。えらくやかましかった。小学生の頃、マードレから「パンツは喰べちゃいけません」としつこく注意されていたのを思いだした。

 寝ながら器用に耳許の蚊を退治しようと掌どうしを叩くが、体勢が不利だったため、取り逃がすこととなった。

 それに、寝ながら顔面を歪めてフラメンコを踊っているようであった。たぶん。

 結局のところ、蚊は仕留められず、行き先の知れない献血大会の被害者になってしまった。

 躰には赤い痕がたくさん残っていた。もしも刺された箇所がブラックライトに反応するのなら、二足移動式プラネタリウムのようだと思った。


2007年09月06日(木) 9月6日(木)

 昨日は近所にある定食屋さんへ行った。

 この定食屋さんは不思議で、メニューの種類はそこそこ豊富なのであるが、まともに喰べられるものが3種類くらいしかないのだった。かなり致命的である。

 しかし、注文してから眼の前に出てくるまでが異常に速いのであった。まるでつくっておいてあったかのような素速さである。

 もしくは不逞者のことを少し離れた場所から双眼鏡で見張っていて、さらには読心術や読唇術を極めているのかもしれない。

 サトリ、ふとそう思った。

 どれくらい速いのかというと、ドアを開けて椅子に座り、おばさんが水を運んでくる途中に不逞者が「焼きめ」と全部言いきらないうちに焼き飯が出てくるのだった。

 なぜなのか考えた。記憶をたどってみる。

 たしか、定食屋さんに行く前に開店しているのかを電話で確認し、焼き飯が喰べたいと伝えた。そして何分後に到着するかを雑談のなかで喋ったような記憶がおぼろげながらあった。

 雑談していただけなのに、どうして店主は不逞者の喰べたいものと到着する時間がわかったのだろうか。やはり、誰かに監視されているのであろうか……。


2007年09月05日(水) 9月5日(水)

 昨日はチラシというか、告知のプリント作成に没頭していた。3度の食事以外では何も喰べなかったほど没頭した。

 タイトルは『残暑にハイキック』。内容は、各分野で活躍するアーティストたちが一堂に会して、残暑を吹き飛ばすイベントを開催するというものである。しかも入場無料。

 さらに詳細を書くと、有名アーティストのコラボ企画として、唄いながらマジックをやったりするのである。

 また休憩時間になると、サイン入りみかんが全力投球で来場者たちにぶつけられるのだった。そのほか、リフティングしながらカレーを喰べる猿などもゲストとしてやってくる。

 会場となる場所は、能登半島。被災者たちに元気をという裏テーマがもうけられている。

 そのため不逞者は超特急で配布プリントをつくらねばならなかった。最低でも3000枚はコピーして配らなければならないからだった。

 とくに不逞者の友人たちには必ず配らねばならない。

 なぜなら、こんな企画があるわけないからである。単なるでっちあげのイベントなのだった。


2007年09月04日(火) 9月4日(火)

 かつて免許証の更新を忘れてしまって免許を失った不逞者、久々にドライブという青春が間近に感じられることを楽しんだ。

 しかし昨日は運悪く天候が優れなかった。が、助手席の窓枠に手をのせて、初めて外の世界にふれるごっこをしたのだった。

 ドライブはなかなか楽しいものだと思ったが、ドライブしているのは運転手であって、助手席でチュッパチャプスを舐めながら景色を視ている不逞者は参加してないのかもしれないと考えられた。

 ドライブ中ずっと隣の車のホイールを眺めるために横を向いていたせいか、少しだけ気持ち悪くなってしまった。それにホイールは逆回転しているようにも視えたし、仮面ライダーの変身ベルトのようでもあった。

 ドライブの感想を書こうと頭をひねっているのであるが、頭蓋骨が邪魔してうまくひねれないのだった。

 ともかく不逞者、自動車のなかに隔離されているように思った。駐車場へ入って停車した時は、自動車というカプセルに閉じこめられて、見物人たちに果実などを与えられて笑顔をみせなければムチで叩かれたりするのではないかと心中穏やかでなかった。


2007年09月03日(月) 9月3日(月)

 昨日は日曜日だった。日曜日といえば、日本で1番有名な磯野家もたまに弟のカツオを連れてデパートへ行く日である。ということで不逞者、デパートを偵察に行った。

 とはいってもスーパーマーケットの研究であった。いつもと違うマーケットの偵察またはスパイ行為、と表現するのが正しい。

 ここ最近、スーパーマーケットに通っていてわかったことがある。店内の外まわりが重要なコーナーだということだ。

 鮮魚や肉、または野菜などで『コ』の字を占領しているのである。

 サイコロ型のハムや半分になったウインナーなどが試食として爪楊枝がぶっ刺さっていた。

 喰べるよりほかはない。が、1度にたくさん喰べると、店員さんに殺人犯を視るような睨みがいただけるのである。

 こうなると不逞者はおてあげで、店員さんが不逞者の存在を忘れるまで店内をぐるぐるしながら鷹の眼を光らせた。

 法律がかわって、『試食自由法』みたいなのができれば人の眼を気にせずたくさん喰べられるのにと思った。

 ただ、昨日は知り合いと会わなくて良かったと、心の底からホッとしたのだった。


2007年09月02日(日) 9月2日(日)

今日の一言
逮捕されるスレスレの服。ポロシャツ。


 昨日は、不逞者が入院していた時に仲良くなった友人と会うことになった。この、たまにある会合は、同窓会ではなく『病巣会』と呼ばれているのだった。

 久々にあった友人のG太郎君は元気そうだった。病室にいた頃の彼は頬がやつれていて、口癖は「最高のオネショがしてみたい」だった。

 G太郎君の顔を視たとたん、様々な記憶がよみがえった。

 ほかの入院患者も誘い、皆でいっせいにナースコールをしたこともあった。誰のところに最初に来るのかで好感度がわかる便利なイタズラであった。

 G太郎君以外にも変わった人がいた。携帯電話が紛失したといって、看護師さんに勤務が終了したら番号に鳴らしてみてくださいとお願いをしておき、いつの間にか番号を入手する汚い人もいた。

 年に数回もない『病巣会』は、例によって病気の話題ばかりであった。途中から病気自慢のようにも思えるくらい白熱していた。

 お互いに長生きすることを誓いながら、医者にとめられているアルコールをがんがん呑んだ。


2007年09月01日(土) 9月1日(土)

 昨日はずっとテレビにかじりついていた。借りてきたDVDを夢中で観ていたからだった。

 こういう時の不逞者は無心で、強烈な寝不足になることがわかっていてもやめられないのだった。

 ダメだとわかっていても振りかえることをしないのは、菩薩のような心境にもなれるし、どうしてあんな奴なんか好きになったんだ、という逆境こそを愛するタフガイに感じるのだった。

 借りてきたDVDのなかには、たいして面白くもないものがあって、針に糸を通すような集中はできなかった。

 一応、画面に視線はおくっていたが、ラー油の成分は全国各地のお父さんの頭皮からでる油だったらどうしようなどと考えていた。

 国が結成した秘密の軍隊に世のお父さんたちが連れ去られて、1人ひとりの頭皮から油を搾り出している光景を想像してみると、眼にうつる映画よりも面白く思った。

 なぜ急にこんな想像をしたのかというと、犬の散歩中に公園に立ち寄り、フリスビーを投げるも犬が無視して、淋しい背中を揺らしながら自分でフリスビーを拾いに行くお父さんを目撃したからだった。



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