陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2008年09月29日(月)      あさがお

横浜は、朝からしっぽりと雨になりました。気温も低く、涼しいを
通り越してこっ寒い陽気です。こういう雨の日には仕事なんぞ
おっぽって読みかけの本でも読みながらゴロゴロしたい気分です
が、かまなりやは芋乃市場の真っ最中、寝言を吹いている場合
ではありません。今日も早朝からお蕎麦を打ちました。

 お店の玄関脇の植木鉢に、去年の種が
 落ちた朝顔がひっそりと咲いていました。
 ひょろひょろの、たけの短いツルですが
 花は一人前に大きく、きれいに咲いてい
 ます。コウ涼しいと朝顔の花もなんだか
 不似合いな気がしますが、夏の名残りを
感じつつ涼しくなったことを喜びながら、秋咲きの夏花をしみじみ
眺めました。

明日は晦日、9月もお仕舞いです。今年も残すところ90日余り、
ここからは早いですからねえ、あっという間におしつまりますぞ。
どーぞ皆様、風邪などお召しになりませぬよう、ご自愛下さい。





2008年09月28日(日)      ほとり

先だて伺った銀座での作品展 『南正彦絵画展記憶ノヲト』 で
購入した南さんの絵が届きました。小品ですが、モノトーンの
絵には重厚感があり、早速、芋乃市場の壁に飾りました。

 タイトルは 「ほとり」 どこかの湖の
 畔のようにも見えますし、大きな河の
 岸辺のようにも見えます。記憶ノヲト
 と冠された作品展だけあって、作品は
 全て心象スケッチといった趣でした。
 画材は鉛筆と木炭、画布は和紙です。
この作品 「ほとり」 は鉛筆で書かれています。今回の作品は
どの絵もどこかで見たような懐かしさを覚えるものが多く、作家
である南さんと、その絵を見る人が、何がしかの記憶の共通点を
垣間見るような展示でした。痛みや、刺激に訴えるような作品は
無く、初個展ということもあり、作家さんのお人柄が素直に抽出
された良い展示だったと思います。

南さんとは茨城修行時代から親交があります。中々画家としての
活動を始めないので外野ながら少々じれったく思っていましたが、
いよいよの始動にたいへん嬉しい思いです。

今後の益々のご活躍をご期待申し上げます。





2008年09月26日(金)      NHK

テレビの視聴を止めて3ヶ月、もっと無聊を感じるかと思いきや
我が家の茶の間には静かな時間が回復し、音楽を聞いて過ご
す時間が増えました。そして何より、日本放送協会の受信料を
支払わなくて良くなり、無駄な支出が減りました。

 ケーブルテレビの解約に伴ってNHKの
 団体一括払いも中止され、ケーブル局の
 方からNHKへ連絡が行くというのでそれで
 手続きは良いのかと思っていたら、銀行
 振り込みが振込用紙請求に変わっただけ
 で、請求書が送付されてきました。問い
合わせてみると、放送受信契約そのものの解約手続きが必要と
のこと。テレビ受信をしなくなった状況を 『廃止』 といい、その
旨を書類で提出しなければならないそうで、追って書類をお送り
しますと担当者の説明を受け、やれ面倒な事よと思いましたが、
こういうことはきちんとしないと気が済まないので、それじゃあ
しとつその書類とやらを送っつくれぃ!と見得を切りました。

NHKはネット上での番組配信を発表しましたので、気になっていた
来年の直江兼続を描く大河ドラマもパソコンで見ることができそう
です。1番組300円だかだそうで、中々に良い値段だとは思います
が、まあ、良いものにはお足を払うのもやぶさかではありません。

ただただ垂れ流しにテレビがついている状況は嫌なもの。
これからは良質なものだけをきちんと選択して見ることにします。





2008年09月25日(木)      茜 雲

 彼岸の中日も過ぎ、秋が手に取れるよう
 になりました。夕方、鷺沼よしみやさんへ
 乾麺のおそばを仕入れに行った帰り道、
 夕焼けの雲がとてもきれいでした。日が
 暮れればコオロギの声も聞こえます。朝
 の日の出も随分のんびりになりました。

枯れ始めた中年オヤジでも、こんな時にはちょっと切なくなって、
夜にはほろ酔い気分でギターなどつま弾きながら 『オフコース』
の歌なんか歌いたくなっちゃうのは、やっぱり秋だからですかねえ。





2008年09月24日(水)      ボア・ボッカ〜芋乃市場

 『レストランBoaBoccain横浜』 は
 盛況のうちに終了いたしました。ご来場
 の皆様、誠にありがとうございました。
 さあ、明日からは9月の芋乃市場です。
 須知さんの作品には作家さん自ら花を
 添えて下さり、金属の鉄もまろやかな
雰囲気をまとったように思います。お天気もまずまずのようです。

どうぞ皆様、足をお運び願います。





2008年09月21日(日)      portuguesa

 明日、明後日のポルトガル料理の会の
 仕込が始まりました。昼から9羽分の
 鳥ガラスープをじっくりとり、夕刻に
 は丹田さんもお見えになり材料の点検
 やデザートの用意に着手されました。
 今夜はそこそこにして、明日いよいよ
朝から厨房は仕込みに拍車をかけ、宵のお客様の到着に
むけて回転します。あの、カタプラーナの鍋も揃いました。

お天気も明日には回復してくれることでしょう。
ご予約を下さった皆様には道中お気をつけてお越し願います。





2008年09月19日(金)      マザール

風呂をかき混ぜる攪拌機が、ポキリと折れました。この棒は、
靴作家の曽田さんが何かの機会に作ってくれたものです。

 枝をそのまま使った曲り具合がとても
 心地よく、もう何年も風呂の湯加減を
 整えるのに重宝しています。Tの字型の
 接合部は経年劣化で度々折れています
 が、その度に切ってすげ替え、最初は
 2尺ほどあった柄も今回の修理で尺4寸
までに短くなってしまいました。しかし、まだまだ風呂の攪拌に
は充分使えます。料理人の包丁が砥がれて砥がれて小刀に
なっても使われるようにこのマザール君が木槌ほどになっても、
風呂をかき混ぜ続ける覚悟です。そしていよいよもうということ
になったら、漆でも塗って化粧をし、『お風呂の殿堂』 に
入っていただきましょう。

どこにあるんじゃ、そんなもの・・・





2008年09月18日(木)      大 蒜

 生徒さんからニンニクの種を貰いました。
 今年は播こうと思っていたのでとても
 タイムリー。今年採れた物なので食用
 にも使えます。畑を作って大きな物を
 播いたらあとは食べてしまいましょう。
 夏の疲れを吹き飛ばすにはこういった
スタミナ野菜がもってこいです。これから催しの準備などで
とても忙しくなりますが合間を見て畑をやりましょう。

うまくすれば来年の6月頃には新ニンニクが頂けるでしょう。
お彼岸も間近です。台風13号の動きが気がかりですが、
秋の到来をことのほか喜ばしく思います。





2008年09月17日(水)      鉄 器

須知大さんの鉄の作品が昨日搬入されました。
須知さんは、笠間市の体験学習館 『分校』 の管理人をしつつ、
造形活動を営んでいらっしゃいます。実はこの施設は私達が5年間
暮らした旧岩間第一小学校第一分校です。陶器も大工も味噌造り
も飯炊きもみんなこの施設で学ばせていただきました。
そのご縁で展示をしていただくのはなんとも嬉しいかぎりです。

 画像は2対の鳥をモチーフにした作品
 『Welcome Bird』 の一部分です。首の長い
 二羽の鳥が向かい合わせにスーッと居住まい
 を正す姿は鶴の求愛にも似て、野鳥ファンな
 らずとも心を動かされることでしょう。全ての
 作品に共通して実用途を加味する制作理路は、
 この鳥にも採用され、鳥の部分は器の体裁を
 併せ持っています。花など活けて演出すれば、
さらにあでやかなお出迎えになることは請け合いでしょう。

この他に木と鉄を組んだ作品や、照明器具などが多数展示されます。
先月のアイヌ刺繍もとても良い雰囲気でしたが、今月はまた一段と
アーティスティックなムードの芋乃市場になるでしょう。
どうぞ皆様、初秋の横浜へ足をお運び願います。





2008年09月16日(火)      やきざかな

十六夜の宵、生憎曇天でお月様は拝めませんでしたが、
祝日ということもあり、仲間とつどうて秋の旬をいただきました。

 炭火をこんこんと熾し、強火の遠火で
 じっくり焼くのは勿論、秋の王者サンマ
 です。七輪で焼くのも乙ですがたくさん
 焼くには少々小さいのでバーベキュー用
 のグリルに大きな網を乗せ、魚はマルの
 ままどーんと転がして、さくさくと塩を
振り、じっくりと焼きました。難しいのは返すタイミングです。
早いと皮がはがれてしまいますし、ぼんやりしているとコゲて
しまいます。火の加減を按配しながら焼網の高さを調節し、油が
落ちて炎が上がってもその油煙で魚が黒くならないように注意を
払いながらきれいに両面を焼き上げます。充分火が通って皮が
パリッと狐色になったら出来上がり、たっぷりの大根おろしを
添えていただきました。

これから暫く秋刀魚の美味しさが楽しめます。鮮度の良い魚が
安く市場に出回り楽しめることでしょう。折を見ては焼き魚を
して、旬の秋味で夏の疲れを癒しましょう。 果報果報





2008年09月14日(日)      文化祭

倅の通う高校の文化祭 『瀬谷高祭』 へ行ってきました。

 今年で第31回をむかえる文化祭は
 私達が通っていた頃とは随分さま変わ
 りをし、各教室での展示や催し、食品の
 販売に加え、中庭のステージではクラス
 ごとのダンスやパフォーマンスがにぎにぎ
 しく披露され、皆はつらつとお祭を盛り
上げていて、とても楽しい見応えのある催しになっていました。

今回は昨年行きそびれた茶道部にも行ってきました。在校時には
近寄った事もなかった茶室は、立派な畳敷きで炉が切ってあり、
部員の皆さんがきちんとテーマを決めて茶会を組み立てていたの
に驚きました。今回は十五夜が近い事もあってお月様を主題に
床の掛け物は輪の一字を月に見立てたお軸を掛け、花は秋海棠
が活けてありました。道具もそのテーマに合わせて取り合わせ、
お菓子もきちんと菓子鉢でコスモスの花に見立てた主菓子が供さ
れて、実に行き届いたお茶会でした。お手前はやはり稽古中でも
あり、お浚いで手一杯といった感じでしたが、後輩たちの一生
懸命さに、いたく感心しました。

がんばれ、瀬谷高茶道部!右左を考えちゃうすり足も、よろけた
一足立ちもいつかきっと板につくようになるでしょう。何より、
お茶がとっても美味しかったですよ。形は稽古で取り繕えますが
おもてなしの心はお茶の味にきちんと出ますから、それさえでき
ていれば良いのです。作法は勿論大事ですが肝心のお茶を好む
気持ちを忘れないで、長くお茶道を楽しんでいただきたいです。

倅は今年度で卒業ですが、お茶を頂きに来年も伺おうかなあ。





2008年09月12日(金)      挑戦状

先月の芋乃市場にガラス作家のイイノナホさんが三人の
お嬢さんと連れ立って遊びに来てくれました。ご縁があって、
古くからの知り合いですが、久しぶりにお会いしたイイノさん
はすっかりいいおっ母さまになっていらっしゃいました。

 またこのお嬢さんたちが何ともかしましく、
 低学年で年が近いこともあって元気いっ
 ぱいです。しかし、仲良し三姉妹の元気に
 負けてはいられんぞ!と、三人の得意な息
 を吸って鼻をくっつける技で競いましたが、
 あっさりと敗北しました。負けっぱなしで
 は武士の一分が立たないので、山に籠り、
 瀧に打たれキビシイ修行をして再度戦いを
挑む事を心に誓い、その旨をしたためた挑戦状を書きました。
今頃は勝って油断している彼女たちにこの檄文を送りつけて
度肝を抜いてやろうと思います。思うに敗因は鼻毛ではなか
ろうかと思います。私がやると何だかしゅーっと息が吸えてし
まいます。お子達の鼻はピシーっと吸い付いてそらぁ見事な
ものでした。まずは鼻毛をきれいに抜いて、更に鼻梁を柔ら
かく良く揉んでビッと吸いつけてやりましょう。その上で
ひょっとこ踊りでもひとさし舞えば、いかなかしまし娘達も
「ぎゃふん」 と言わずにはいられますまい。

いいオヤジが何を大人気ないと思われるかもしれませんが、
ああいった敗北は全人格を否定されたも同じこと、このまま
引き下がれば、やれあいつは子らに侮られた奴よと笑われる
は必定、家名をかけて果たしあわねば義が立ちますまい。

どんな手を使っても勝ってみせますぞー。
首を洗って待っていたまえお三方、ふふふふふふふ。





2008年09月11日(木)      にじっせいき

 近所のスーパーでも二十世紀梨が出始
 めました。嬉しいことです。昨今、果物は
 甘い物ばかりがもてはやされ、生産者も
 消費者に阿って糖度ばかりを云々しがち
 です。しかし果実は甘酸のバランスがと
 れていてこそ美味。その上で果物特有の
香りを楽しむことができれば本望です。幸水、豊水も美味い梨
だとは思いますが、やはり梨は 『二十世紀』 が司と心得ます。

重陽も過ぎ、季節はぐいぐいと秋めいてきますねぇ。気になる
のは台風ですが、今年も大きな被害がない事を祈るばかりです。





2008年09月10日(水)      かたいいれもの

やっぱり、買っちまいました。ギターのハードケース。
お正月に知人からアコースティックギターを頂いて8ヶ月、
下手糞ながら楽しく弾いています。すぐに飽きるか、嫌に
なってほっぽり出すのが関の山ぐらいに思っていましたが、
これが案外に面白く、そうなるとやはり箱がなくては納ま
りが悪くていけません。
 とは言え中古品のそれもオークション
 ですから、そこはそれなりの品物で、
 やれ、マーティンの純正だぁギブソン
 のプレミアだってなぁわけには参り
 ません。新星堂オリジナルのブランド
 ROCKINNだかいう汎用品で、落札
価格も1890円というお手軽価格。然し乍ら、届いた物は
多少の修理痕などあるもののしっかりした物で、身の丈に
合う、手持ちのギターとつりあいの取れたケースだなあと
満足しています。

さあ、このケースにイカすステッカーを矢鱈とベタベタ貼り
つけて、ぼさぼさの髪に裾っぴろがりのジーパンを掃いて、
本場アメーリカヘ武者修行に出かけましょう!イェーイ。
まってろよー、クラプトン。

カンツリーロー♪ テークミーホー♪ っときたもんだ。





2008年09月09日(火)      勇気凛凛

7月、浅田次郎の 『プリズンホテル全4巻』 を一気に読み、
8月は柳田国男の 『遠野物語』 と井上ひさしの 『新釈
遠野物語』 を重ね読みし、さあ次は時代小説にいこうかと
思っていた矢先、弾みで浅田次郎のエッセイに手を出してし
まいました。流暢な文体と、豊富で抱腹なエピソードに掴ま
れてすっかりのめっています。

 タイトルの 『勇気凛凛ルリの色』 は
 団塊の世代の人なら誰もが口ずさめる
 少年探偵団のテーマソングの一節です。
 昭和中盤以降の生まれの私でもこの歌
 の節はわかります。でも、最早これを
 知らない世代のほうが多いでしょう。
 内容は、エッセイだけに浅田氏の経験談
 なのですが、直木賞をとる前の本だけに、
作家として有名になる前の豊富な人生経験が赤裸々に語られ、
時に露悪的に時に真摯な私見を整然と書くその文章は、後の
直木賞作家だけに語彙が多く構文は巧みです。

何といっても自衛隊時代の話は傑作が多く、隊内で洋式便所を
使う話や、『員数(いんずう)』 という自衛隊特有の物品管理の
方法を紹介したエピソードは笑わずには読めません。あとがき
にはこんなご本人の説が披露されています。 「人生笑って暮ら
せれば言うことはないが、そうもいかない。でも笑ってなけりゃぁ
泣けてくるので、笑うのだと思う。」 曰く、ごもっともです。

泣きながら生まれてしまい、死ぬために生きねばならない一生
ですから、笑って暮らしたいもんですよねえ、この本を読むと
そんな生き方ができそうな勇気が湧いてくるのです。
が・・・かなりゲビた話題(クソ・ゲロはあたりまえです)も
ありますので、お読みになる方は、重々ご注意願います。





2008年09月08日(月)      CRIU

益子の古川潤さんご夫妻から東京代官山での作品展のご案内
をいただき、女房が行ってきました。木と布を主にした生活用具
はきどらない無垢な造りのものが多いですが、要所要所は省か
ないきちんとした仕事ぶりで、幅広い品揃えです。

 今回はギャラリー開設の旗揚げ興行的な
 位置づけのようで、益子のアトリエの名を
 冠したブランドを前面に押し出していらっ
 しゃいます。その名は 『CRIU‐クリウ』
 何か造語のようにお見受けしますが、
 なじみやすいネーミングだと思います。
私たちが茨城に住んでいたころ美大の学生だった古川さんは
よく岩間に来て石や木の勉強をしていらっしゃいました。
私たちの結婚式の時には酒樽神輿の制作を引き受けてくださり、
当日は褌一丁で神輿組の皆々様と奮闘してくださいました。

いつか芋乃市場でも展示をお願いしたいと思っております。

まずは、代官山での展示のご成功をお祈り申し上げます。

アトリエ CRIU http://criu.seesaa.net/category/5511182-1.html





2008年09月07日(日)      はたけ

 畑のゴーヤーが鈴生りになりました。
 やはり9月になてしまいましたが、ぶら
 ぶらと実が生っているさまは、作り手の
 労苦を何よりねぎらいます。いっぺんに
 は食べきらないので酢漬けにして保存し
 ていますが、これがとても好評です。

 一方7月10日に播いた津久井大豆は、
 花が終わりサヤがつきました。まだ
 ペタンコの豆ですがだんだんにこの
 サヤが膨らんで豆を実らせるでしょう。
 うまくすれば来月の初旬には枝豆で
 食べられるでしょう。塩で茹でて、
ビールのお供に食べたらさぞ美味いでしょう。

素人の手作り野菜は形も悪く、出来も不揃いですが採りたて
の美味しさは味わえます。夏が終わったら、今年は一丁冬越し
野菜にも挑戦してみようかと思っています。下手の横好きも
長く続けばそれなりに収量もあがるでしょう。

何より、季節に敏感になることは何よりの薬です。





2008年09月05日(金)      荻 窪

昨日は杉並区に一泊してきました。荻窪に1軒だけあるビジネス
ホテルに部屋を借り、わざわざ泊まったのは夜ゆっくりとお酒が
呑みたかったからです。目当ては天沼のお鮨屋さん 『鮨なんば』
本格江戸前寿司をきちんと出すと評判のお店です。飛び込みでは
気が引けるので予約をし、6時からかれこれ3時間、堪能しました。
寄寓にも大将は小学校の後輩で、私が通っていた頃の町の話など
をしながら美味い酒を呑み、美味い魚をいただきました。初回にも
かかわらずお好みでお願いしてしまいましたが嫌な顔ひとつせず
握って下さった大将はまだ随分お若いようにお見受けしました。

 昼のそば屋酒、銭湯、江戸前カウンター
 お好み鮨一泊旅行という、この世の贅を
 尽くした休暇は少々散財となりましたが、
 一夜明けた今日は憑き物が落ちたように
 すがすがしい気分でした。そしてさらに
 せっかく荻窪へ来たのだから、昼は荻窪
ラーメンを食うべえと帰る前に駅へ出ました。春木屋は好きでは
ないので素通りし、すっかり変わってしまった駅前を抜け、目当
の店は白山神社門前の 『らーめん菊池』 まずはガキの時分よく
遊んだ神社(ここだけは変わらないですなあ、さんざ賽銭をかっぱ
らった前科があるのでふんだんに小銭を投込み手を合わせました。)
にお参りをして、お店に赴き、らーめん『黒』 をいただきました。
少々味が濃いものの脂っこくないスープで美味かったです。

私は親の仕事の都合で迂闊にも東京で生まれてしまいました。畢竟、
生地が荻窪ということになってしまったのですが、この世に湧いて
たったの12年かそこいら居ただけですので荻窪を故郷と言うには
なんとなく憚る気持ちがあります。ただ、鳥の雛が初めて見たもの
を親と思い込むように、荻窪は私にとって何ともいえない縁のある
土地なのです。故郷は?と聞かれたら迷わず 「よこはま」 と答え
ると思いますが、お国はどちら?ときかれたら相模と答えずに武蔵
とこたえたくなるのもそういったことがあるからでしょう。

昼を食べ終えてさあ帰ろうとハンドルを握ったとき、
ああ早く横浜に帰りたいと、しみ〜じみ思いました。

鮨 なんば
http://gourmet.yahoo.co.jp/0007237083/U0003018231/


荻窪らーめん 菊池
http://www.walkerplus.com/tokyo/gourmet/DETAIL/V-TOKYO-2RTAT720/






2008年09月04日(木)      湯 屋

休暇2日目は遠出をし、西荻窪の 『鞍馬』 でまったり
と昼酒を楽しみました。そしてその足で念願の銭湯へ・・・

 その名も 『銭湯Gokurakuya』
 雑居ビル1階の風呂屋はいかにも都内の
 立地を偲ばせる半地下、午後4時開店の
 直後にも関らず数人の先客がいました。
 よく見れば地元のご隠居風の親父2人と
 どう見ても堅気でない若い衆2人、その
うち1人は腰まであるような髪をくしけずり、こいつぁ女か?
とよく見れば立派なヒゲ面・・・もう1人ははた目にも豪気な
モンモンを掘り込んだ任侠風、しかし更によく見れば彫り物は
何とミッキーマウスの滝登り!・・・自分もすっ堅気とは言えな
い身分では有りますがこの2人の間にどかっと座り、頭と体を
洗い、湯につかり、風呂を楽しみつつも我ながらこの異様な
雰囲気によく耐えたものだと思います。

ともあれやはり銭湯はいいですなあ。硫黄の温泉も悪かぁない
ですが、水道水でうぶ湯を使った関東者には塩素の効いた水道
のお湯がなによりの効能。風呂に入ったなあという実感が違い
ます。さあ、昼酒も頂いて湯に浸かってこざっぱりとしたとこ
ろでこれからもう一つの楽しみがあります。

さて、それはまた明日にでも。





2008年09月03日(水)      ひ ゅ う

個人的大型連休初日、身も心も大いにのびています。
が、散らかりきった自室の掃除をし、洗濯などもして、
のんびりではありますが、よく動いたと思う一日でした。

 滋賀の友人から残暑見舞のお葉書を
 頂戴しました。自前のイラストに文の
 添えられたきれいなお便りで、こらぁ
 お返事でも出さにゃぁ義理が立つめぇ
 と、白の団扇に一筆したためました。
 『風』 の一字です。木の間を吹きぬけ
るすずやかな風をイメージして、ひと筆で書き抜きました。
一発勝負のわりにうまく筆がすべり、心地よい字ヅラにまと
まりました。早速近場の郵便局で出しましたが、最近はこん
な変形の郵便も嫌な顔せず受け付けてくれるので助かります。

来週にはもう重陽だというのに、残暑が延長していて、聊か
堪えます。一日も早くすず風がたってほしいものですねえ。





2008年09月02日(火)      いいわけ

日々直面した仕事に追われ、教室と催しに汲々としたこの頃、
忙しいのは大変結構なことなのですが、注文の品物が遅々として
捗りません。本業のそれも作品作りがおろそかでは全くもって
本末転倒なのですが、作品作りは腰をすえてよい状態で取り組み
たいので、尚更に密度のある時間作りが困難なのであります。

 画像は鎌倉の 『天ぷら大石』様から
 のご注文、天丼用の小丼です。ヒマを
 作ってはろくろにかかって成形は終え
 たのですが焼く段取りがつきません。
 焼き締めにしようと思っていますので
 窯詰めに時間をかけたいです。
ってなことを言ってるとまたぞろ後回しになっちゃうのですが、
手は抜けません!思えばこの注文をいただいたのは昨年の秋、
早一年が経とうとしています・・・誠にもって申し訳ありません。
この他にも種種ご注文を頂戴しているのですが、これまた捗々
しく無いのが実情です。しかしながら忘れては居りません。
必ずや時間を拵えて良い物に仕上げてお手元にお届けいたします。
もういくばくかのお時間の猶予を私めにお与え願います。 頓首

と、言い訳をさせていただいた直後に僭越の上にも僭越ですが、
私若林和正は3日間の夏季休暇をとらせていただきます。日報は
更新するつもりでおりますが、茹ですぎた麺のように延びる予定
ですので、お約束はいたしかねます。重ねてお詫び申し上げます。

では皆様、しばしのおいとまをば・・・





2008年09月01日(月)      しゅうりょ〜う

8月が終わりました。芋乃市場も無事に終わりました。
荒れた天気の7日間でしたが、大勢の方にご来場いただき、
今回も実り多い市場が開けたと思います。ありがとうございました。

 画像はアイヌ刺繍の首飾りです。この飾り
 を中心に、両側へ紐が伸びています。
 頭に巻いてよし、首に巻いてよし、
 縫い付けてある銭はちょうど急所を
 守る位置になっています。 南方系
 の人相の私が巻くとあまりに似合い
すぎて笑われました。鏡で見てみたら自分でもふきだしました。
でもとても素敵なので一つ買い求め、腹に巻いて雷除けにしよう
と思います。銭がちょうど臍に当るように巻きましょう。

 今月からの新メニュー 『肉味噌うどん』
 も大変好評をいただきました。夏野菜
 と自家製味噌のペーストに胡瓜と茗荷を
 添えて卵のスープと一緒にお出しします。
 盛岡じゃじゃ麺のようにスープをかけて
 食べるもよし別々に食べるもよし、麺は
もちろん愛麺家若林和正渾身の手打ち!小麦粉は 『さぬきの夢
2000』(香川県産)100% 体重73kg28cmの大足で踏んだグルテン
のコシは弾力とモッチリ感のマッチした快感です。好評につき、
来月もこのメニューは継続と決定しました。

9月の芋乃市場は須知大さんの鉄の作品を展示します。
どうぞ皆様、9月の末も芋乃市場へお越し下さい。




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