陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2006年09月30日(土)      ほるもんにんぎょ

 杉浦日向子さんが原作を提供し、内田春菊さん
 が描いた漫画があると聞き及び、時間を見つけ
 て古本屋へ探しに行きました。目当ての本は案外
 あっさりと見つかりました。が・・・買うことが
 憚られるような艶っぽい本で、本のページを繰る
 のも、会計も、すこぶる恥ずかしかったです。
 タイトルは 『ベッドの中で死にたいの』 題から
 して何やら妖艶です。内容もこれまた艶笑な大人
 のお付き合い物語が多く、いかにも内田春菊さん
らしい軽い感じの、男と女の、心と体の、白黒物語です。

そんな短編10話の中の、後半4話が杉浦日向子さん原作の廓話で、
『放流門人魚』と題されたやはり短編です。四谷新宿、板橋、深川
といった場末の宿場女郎がおりなす、客とのかけひきを、内田さん
の描くキャラクターが、飄々と杉浦節でものがたります。
表題の 『ほるもんにんぎょ』 も、吉原とは格式の違う遊郭の女郎
をさらりと言い得て痛快です。人の業の深さは、晒しても晒しても
真っ白にはならないことでしょうが、だからこそ人生を洒落通すし
か生きるハリを見出せずにいるのは、江戸の人も現代人もそうは
変わりないのではないでしょうか?

この漫画には、全編を通してそういったエスプリがギュッと詰まっ
ていて、描写は少々エッチなのに、読んでいてちーっとも後ろめた
さを感じません。杉浦さんと内田さんはきっと、かなり似た感性の
持ち主なのでしょうねぇ、またお二人とも女性であるというところ
がこれ、いかさま、乙ですなぁ・・・





2006年09月28日(木)      げんのしょうこ

 裏庭の一角にゲンノショウコの花が咲き乱れて
 きれいです。うちのは赤い花ばかりですが、白い
 花もあるとか。古くから民間薬として重宝される
 草花だと聞きますが、見た目からは薬効成分があ
 るようにはおよそ見えません。小さな花一輪にも
 サンチマンタリスムを感じる、秋ですなぁ・・・

       蜘蛛肥えて現の証拠の花盛り





2006年09月26日(火)      みかん

陶芸教室の生徒さんから黄緑みかん 『日南一号』 を
いただきました。流石に極早生みかん、すっぱい!すっぱい!

 私はすっぱいミカンが大好物なので、とても
 美味しくいただきました。私に下さった生徒は
 「先生なら食べてくれそうだから」と、遠慮が
 ちに差し出されましたが、こっちは好物ですか
 ら二つ返事でいただきました。まして、初物と
 あれば、ありがたいことこの上ありません。

       青い蜜柑を頂いた彼岸明け





2006年09月25日(月)      ちゃっちゃっ・・・

今日は外を回る仕事になり、お昼は外食となりました。
港北方面への用事だったので、天ぷら若松屋さんへ、芋乃市場の
ご案内をお願いがてら伺いましたら何と 「準備中」 定休日でも
ないのにはてなぁと首をかしげながら引き返し、じゃあ前々から
気になっていた 『くじら軒』 で魚介スープの細打ち麺を食うか
と阪急デパートに車を置いてえっちらおっちら歩いていけば何と
「定休日」 仕様がないので阪急に戻ってレストラン街の 『屋台味
ラーメン』 だかいうお店に入りました。

 ずいぶんお腹が減っていたのでラーメンとご飯
 を頼み、親爺が作るのをぼんやり眺めていました。
 麺を取り出し鍋へ放り込み、丼を出し、手際よく
 調理するしぐさは流石職人芸。と、次に何やら
 平たい手ザルに入ったものを持ってきて丼めが
 けて「ちゃっちゃっ」と勢いよくふりかけました。
げげえっっ・・・コレが噂の 『背油ちゃっちゃ』 か?!・・・ぐええっ
と気づいてもあとのまつり、出てきたラーメンはコッテリと脂ぎった
とんこつ醤油味でした。が、しかしここでひるんでは男がすたる。

べらぼうこちとら江戸っ子だぁ、男の働きだぁ、昨日今日麺を喰い
始めた若造じゃぁあるめぇし、たかがそれっぱかりの背油がなんでぇ、
一匹持って来て、まるごと絞られたって驚かねえんだ、こっちゃぁ
・・・と、精一杯のやせ我慢をして涼しい顔で完食してやりました。

只今午後5時、ギンギンにもたれております。
口の中はしわしわです・・・いやあ、背油はこわい・・・





2006年09月24日(日)      が じ ょ

ご祝儀にお招きをいただき、目黒雅叙園へ行ってきました。
噂に聞く 『現代の竜宮城』 は凄かったです。まさに雅叙!

 広重ゆかりの目黒川太鼓橋を渡り、坂を登れば
 どーんとそびえるアルコタワー。そして豪壮な
 瓦の大屋根が、おとなう人を圧倒します。
 玄関を入ると右手に折れるように廊下が続き、
 かぎの手に曲がった先には浮世絵から抜け出た
 ような花魁通りがぞろりと待ち受けます。

 そして大きな吹き抜けの大門が、第二の入口。
 左右に流れる小川と、狛犬よろしく鎮座ましま
 した伊万里の大壺が小さく見えました。大門を
 ぬっとくぐって赤絨毯を静々いけば、右手にフ
 ロント、左はラウンジ。鯉の泳ぐ小流れに目を止
 めてふと上を見ればこれまた吹抜けのガラス張。

 緊張のあまり催してハバカリを探せば、何と
 この中にも川が流れているではあーりませんか。
 エグーイ便所の内装は朱塗りに天井絵ときたも
 んだ。いや、参った。参りました。降参です。
 しかしコレで驚いていては命がいくつあっても
 足りません。螺鈿のエレベーターに、ギンギンの
宴会場。客室(和室)は総檜風呂、ジェットバス、サウナ、テレビ付き!

あたしゃ、すわりションベンしてバカになっちゃうかと思いました。

お彼岸の中日の祝言も素晴らしいお式でした。くわえて、
竜宮城での非日常体験ができ、まさしく果報でした。いや、極楽極楽。

目黒雅叙園を知る
http://www.megurogajoen.co.jp/introduction/about.html






2006年09月22日(金)      乾いた心に・・・

朝日新聞社より、週刊『藤沢周平の世界』なる冊子が刊行されます。
朝日ビジュアルシリーズの全30冊は、藤沢ファンには垂涎の読み物
となることでしょう。勿論、ずぶずぶの藤沢ホリックの私は予約を
して一括で申し込むつもりです。

 しかしこの刊行案内のチラシのキャッチコピー
 「乾いた心に、藤沢周平」は、いかがなもので
 ありましょう?藤沢文学は、どちらかと言えば
 暗い影を纏った主人公がきびしい暮らしの中で
 懸命に生きる姿を描いたり、微禄の下級武士が
 剣術に拠ってひとすじの光明を見出したりする
 小説が多いです。長編などは、おおよそ物語の
 中盤まではがまんの読書です。後半から終盤に
なると光が見え、最後の一行を読むと心が浄化されるという効果は
ありますが、乾いた心の人はこの序盤の辛抱ができないのではと、
少々心配になります。まあ、売る側の気持ちを忖度すれば、こんな
コピーもあっていいのかなとも思いますが・・・

私などは、じめじめと湿った心の持ち主なので、藤沢文学のこの
暗〜い生活観に同調しているのです。だからこそのめりこんで読
めるのだと解釈しています。人が生きる上で『いかんともしがたい
もの』 『動かしようの無いもの』 といった 『不条理』 が、人を不幸
にも幸福にもします。運命に甘んじたり、抗ったりしながらも、
小さな幸せを大事にする生き方を描く藤沢さんは、ご本人も常々
『普通が一番』と仰っていたと聞きます。まさしく、然り!

普通に生きることができれば、人は幸福に他なりません。
ほどほどで、ほどほどで、良いのだと思います。

朝日OPENDOORS http://opendoors.asahi.com/data/detail/7577.shtml





2006年09月21日(木)      ひがん

 お彼岸になって、空もずいぶん高くなりました。
 さわやかな秋晴れの空には鱗雲や鰯雲が流れ
 て目にも滋養の気持ち良さです。が・・・いつの
 間にか燕の姿は見えなくなりました。子育てを
 終えて、南へと渡っていったのでしょう。
 代わって赤とんぼが舞い飛ぶことでしょう。

       彼岸入りついぞ燕は見当らず





2006年09月20日(水)      ニコン

 オークションでデジタルカメラを買いました。
 今使っているキャノンのものも、これといって
 不満は無いのですが、いかにせん接写がきかず、
 いつか接写のきくニコンのCOOLPIXを手に入れた
 いと思っていました。折り良くオークションで
 見つけ、難なく落札できました。

 流石に噂に聞くニッコールレンズです。マクロ
 での接近なんと4cm!寄れること寄れること。
 この画像は相鉄のパスネットを撮ったもの
 です。老眼の始まった私には眼鏡なしには
 きつい小さな文字もこれこの通りくつきり写
 ります。アッパレ!ハラショー!ブラーボー!

とはいえ、画素数は3.2メガ、液晶は1.5型と、最先端のものに比べれば
もはや旧型の機種です。最新鋭機と比べれば見劣りすること夥しい限り。
けれども、肉厚なグリップ感、乾電池使用可、記録媒体はCFと、旧弊な
がら使い勝手がとても気に入っています。この機種を最後に記録媒体は
SDカードになり、高位機種以外マクロがきかなくなったことを鑑みると、
貴重な機種といえなくもありません。デジタルというお手軽なアイテム
になっても、やっぱりカメラを手にすると、道楽の虫が疼きます。

大事に使って、手に合う道具にしたいものです。





2006年09月19日(火)      あかね雲

 昨日はざあざあ雨が降って、湿度の高い
 いちんちでしたねぇ・・・日本海を通った台風へ
 向かって海から湿った空気が流れ込んだんで
 しょうね。昼間は、西に向かって雲がすごい
 速さで流れていましたが、暮れ方には晴れて
 きれいな夕焼け空でした。

       あめあがりあらしのあとやあきあかね




2006年09月18日(月)      強 弱

昨日は息子の通う高校の文化祭があり、同窓生の友人たちと後輩
たちの様子を見に行きました。そして帰宅後、いつもの酒宴となり
ましたが、楽しく歓談し、ほどほど酔うて気持ちよく休みました。

 一夜明けて、今朝も少々ゆるめの大用を足し、
 洗浄便座のスイッチを入れて、その水圧に飛び
 上がらんばかりに驚きました。思わず「おわっ!」
 と叫び、尻が浮きました。尻から温水が駆け登り
 鼻から出るかと思いました。慌てて止め、水勢
 の目盛を見ると、強の一つ手前でした・・・

我が家の基本設定は、弱の2つめです。どちら様が変えられたかは
存じませんが、ご使用後は元に戻しておいていただけると幸甚です。

よろしくおねがいします。

でも、おかげで私の水戸様はとてもきれいになりました。





2006年09月17日(日)      おんぶ

 ぐぐっと秋めいてきました。
 庭の珈琲の木にオンブバッタがとまってい
 ました。♪親亀の背中に〜といったのどか
 さを感じますが、実はコレ、もっと艶っぽい
 行為の姿でありまして、オスがメスを独占
 しているといった景色です。お熱いですな〜

       のどか也オンブバッタの後背位





2006年09月15日(金)      ところてん

こないだの日曜日の蒸し暑さと、けたたましい
雷様はどこへやら、朝晩とても涼しくなりました。

 我が家の周りは藪が多いせいか、気象庁の
 発表する最低気温よりもいくぶん低いこと
 が多いです。昨日も夜半は20℃を割りました。
 ありがたいことです。今日も暮れ方から良い
 按配で、夏の名残の 『トコロテン』 をアテに
 お燗酒をすすっての晩酌です。

南の海には台風13号 『サンサン』 がやってきて、コースを
ぐう〜っと東に曲げてくる模様です。荒ぶらないと良いのですが・・・

九月も折り返しました。季節のかわりめ、どうぞ皆様ご自愛のほど。





2006年09月14日(木)      日向子さんの本

9月6日に作り始めた杉浦日向子さんの本の紹介ページが概ね完成し、
本日、めでたく公開いたしました。とは言え、かまなりやのサイトのどこ
にもまだ入口を作っていません。この 『陶房日報』 をご覧下さっている
皆々様にまずはお披露目という趣向のご愛読感謝公開です。
(その心は、見せびらかしたいだけであります。頓首)

 杉浦さんの著書は、江戸物の随筆を軸に対談
 監修などを含め、現在24冊の本が出版されて
 います。その中で手元にある単行本と、文庫
 のオリジナルを19冊写真入りで上げました。
 画像はほとんどが初版のものです。マイナーな
 分野であるだけに初期のものは出版部数もそう
多くは無く、蒐集の道は長く険しく未だ道半ばですが、幸い、コレクター
も多くは無く、出版年月日も若いので、掘り出しの美本が出ることもあ
りました。そんな本に出っくわしたときには一人、感に絶えずじんじん
と蒐集欲求を満たし、本棚に並べて目尻を下げたものです。

あろうことか昨年、病に倒れ、杉浦さんが故人となったためこれ以上の
出版物は望めません・・・寂しい限りです。が、蒐集の完結が目に見える
かたちで凝結し、夭折の心の師匠の姿が憧れの域を出ないままに定着し
たことに一抹の安寧を感じたことも恥ずかしながら白状します。

漫画家としてデビューした杉浦氏の偉業の出発点はあくまで 『ガロ』 で
あり、その点を尊重すれば漫画作品から紹介するのが筋かと思いますが、
個人的に杉浦さんの文章に触れたのがエッセイからであったため、随筆
ものからの展開になりました。いずれ、折を見て漫画作品もご紹介でき
るようにと思っております。

それでは、御用とお急ぎの無い方は以下のアドレスから
お入り願います。日報読者の皆々様江、木戸銭無料の大奉仕〜

http://www.kamanariya.com/ltd/kura/hina-book/index.htm





2006年09月12日(火)      秋 雨

 しとしとと良い秋雨でした。
 湿度が高いのは決して快いものでは
 ありませんが、昨日の今日、暑さに
 困憊した身には、涼しさがうれしく、
 今夜はなにやらしみじみとした気分
 で、お燗酒で晩酌しております。

       すずしさやはらにしみいるさけのかん

(芭蕉様、すんません・・・)





2006年09月11日(月)      サンマ

おとつい秋刀魚が届くでしょうなどと書いたその舌の根の乾かぬうちに
釜石から魚が届きました。ちょうど友人たちと、日曜日には買ってでも
喰おうなどと予定していたところにタイムリーに秋刀魚到着。さっそく
炭を熾して塩焼きで食べました。

 が、しかし・・・昨日は暑かったです。
 火を熾すのも億劫なほど日中の気温は上がり、
 日が暮れても風は蒸し暑く、焼いている方は
 汗だくでした。ともあれ、美味かったです。
 ピカピカ光る魚にほどよく塩を振って遠火で
 じわじわ焼いたサンマに、たっぷりの大根お
ろしと醤油をひとったらし、口にした人は皆「うう〜」と唸りながら
夢中で食っていました。昨日は目黒でも恒例の 『さんままつり』 が
あったとか、きっと目黒も暑かったことでしょうねぇ・・・

一夜明けて今朝方は、大雨と雷で驚きの起床でした。
雨音に驚いて開け放していた窓を閉めようと外を見ると明け方の横浜
の空は朝焼けで赤く染まっており、その赤い空に稲光がフラッシュの
ように瞬くさまは何とも妖艶でした。恐ろしい雷鳴におののきながら
過ぎるまでまんじりともせず枕をかぶって萎縮していましたが、日中
は晴れ間ものぞいて、またまた蒸し暑い一日でした。

季節の変わり目は一筋縄ではいかぬようです・・・





2006年09月09日(土)      ちょうよう

暦は菊の節句となりました。
かかあの郷里釜石でも秋刀魚の水揚げが始まったという知らせ
が届きました。近いうちにごっそりと送られてくることでしょう。
そうしたら、炭火を熾して塩焼きにしていただきましょう。

 裏庭の柿の木に今年は実が生りました。
 この木はまったく気まぐれで、生る年と生らな
 い年が不規則です。例年、たいした期待もして
 いないのですが、なりゃあ生ったで欲の出るも
 んです。時に陽気のせいか、実が赤くなるかな
 らぬかのところでぽとりぽとりと落ちることが
ありますが、今年はいかがなものでしょう。

いよいよ秋ですなぁ・・・お彼岸を過ぎれば新米も出回るでしょう。
10月の声を聞けば、新蕎麦も出てくることでしょう。暑い夏を辛抱
したご褒美がたんとある秋は、まっこと良い季節です。





2006年09月07日(木)      ゴーヤー豊作

畑のゴーヤーが、たわわに実を付けて、今年もニガ瓜大豊作です。

 昨年は8月の末にはすでに鈴生りでしたが、
 今年は照る日の少ない陽気のせいで、いくば
 くか遅いのは、全国的な傾向でしょう。
 とまれ、コウ一編に生った日にゃぁこんだは
 喰うのが忙しくて難儀です。とは言え、そうそ
 うまいんちコレばかり食べてもいられません。

それでも献立を工夫し、 『炒め物』 『天ぷら』 『汁の実』 などにして
美味しくいただいてはいますが、いよいよ食べきらないときは酢漬けにし
て保存しています。鹿児島の方に教わった保存法ですが、これがなか
なか美味しくて、保存も効くので重宝しています。

今日は暑さが戻って、蒸す一日でしたが、こういう日こそ
ニガ売りをいただいて、夏の疲れをふっ飛ばしたいところです。





2006年09月06日(水)      日向子さんの本

今日は仕事を休んで、小田原の 『星月』さんへドライブがてら
お蕎麦を食べに行くつもりでしたが、ひどいお天気になってしま
ったのでとりやめました。じゃあってんで仕事をするのも後生が
悪いので、道楽に没頭して過ごすことにしました。

 そこで、杉浦日向子さんの本の紹介ページを
 作って過ごしました。自分の道楽にのめりこむ
 時間は何とも気持ちの良いものです。まだ八割
 がたしかできていませんが、体裁は決まりまし
 たし、必要な画像もあらまし貼りましたので、
 あとはこつこつと文章を書き込んで、中身を充
 実させていくだけです。HTMLで作りましたので、
 いずれ折を見て公開します。

今日は、紀子妃殿下に元気な男のお子様がご誕生なさいました。
誠にめでたいことです。これで政府も皇室典範改正をいたずらに
急ぐことは無いでしょう。何より、皇室の皆々様の男系皇位断裂
への憂いが霧散したことに静かな喜びを感じます。

紀子様には、ゆっくりとご静養いただき、御快復後は
元気に育児と公務にお励みいただきたいと思います。





2006年09月05日(火)      あおなし

 きょーはまた、暑い日でした。ぶり返した暑さに
 いささか閉口しながらも湿気の無さに救われて
 どうにか一日をやり過ごしました。そんな陽気
 の中、いよいよ青物屋には 『にじっせいき』 が
 並び始めました。暦の上ではあと4日もすれば
 重陽です。 あ〜、サンマが喰いてえなぁ・・・

       青梨を手にとる頃や鳳仙花





2006年09月04日(月)      秋のくも

 二百十日も過ぎて、空が高くなってきました。
 夕方ともなれば涼風も立ち、夕暮れの青空
 にはいろいろな形の雲が見られます。
 木々の葉はそろそろ色づく支度を始めてい
 ることでしょう。そんな木の枝の所々に
 ジョロウグモが巣をかけていて綺麗です。

       女郎蜘蛛掛けも掛けたり定置網





2006年09月03日(日)      襲 名

常滑焼の山田絵夢さんから作品展の案内状を頂きました。
いよいよ 『四代山田常山』 を襲名するようです。山田家は代々
急須の名工を輩出し、中でも先代の三代常山は人間国宝に認定
されて尚、謙虚に精進の道を進んだ名人です。昨年の秋の訃報
には悔やまれてなりませんでした。

 ご子息の絵夢さんはその先代に師事して腕を
 磨いたこれまた手練です。我が家にも『真焼け』の
 土瓶と『朱泥』の酒器がありますが、惚れ惚れする
 ような出来で、自分の急須作りにもたいそう参考に
 させていただいております。先代のきっちりした仕事
 を襲った作風に、飄逸な柔らか味のある絵夢さんの
味わいが加わって、四代常山は間違いなく現代伝統工芸の旗手となる
ことでしょう。因みに、今展に出品される画像の朱泥急須は50,000円
です。安いと思います。お茶を志す人、特に煎茶をきちんと煎れたい
方は一つは常山の急須を持っておきたいものです。手取り、口の切れ、
お茶の味、どれをとっても細やかに造られた急須は、まさに至宝と
呼ぶべき逸品です。

下世話なことを言うようですが、四代常山さんもいずれ必ずや人間国宝
に推されて、認定されることでしょう。期待もありますが、一度お会い
した印象から、人品ともに高潔な素晴らしい方であると確信します。
ここのところあまり活気の無い陶芸界ですが、久しぶりに胸のすく
ような襲名ばなしで嬉しいかぎりです。





2006年09月01日(金)      ぐるぐる

初めて、回転寿司というものを食べました。
案外、面白かったです。店の中ではまさしくコンベアの上を皿に
乗った寿司が回っており、寿司だけでなく湯呑と小皿も一段下を
ぐるぐる回っておりました。味のほうはまあ、こんなものかと
いったところでしたが、それなりに楽しんでいただきました。

 噂には聞いていましたが、お皿の色で値段が
 分けられており、5・6種類の野暮ったい柄の
 プラスチックのお皿が握る親爺の後ろにうず
 高く積みあがっていました。その昔、大阪の
 淀川で皿数で清算する川舟の惣菜屋があって
 「飯をくらわんかー」と川岸の人に声をかけ
ながら商売をしたことから、この皿鉢を 『くらわんか皿』 とか、
『くらわんか手』 と言います。回転寿司も発祥は上方であると聞き
ますが、まさに現代版 『くらわんか』と言えるでしょうな。
食べ終えて会計をするときには、なるほど店員がお皿を勘定し伝票を
切っていました。

しかし・・・食後には何か言いようの無いさびしさを感じました・・・
機能的で、斬新な店舗設計だと思いますが、『食事』 としてつらつら
惟みるにこの形態はいささか低俗です。まるで、家畜の餌のようだなあ
と感じました。お茶を作るお湯のノズルなどは、豚小屋にある鼻で押す
と水の出るノズルにそっくりですし、ボックス席などは囲まれているの
で、まさに畜舎の一区画のようでした。今日はお店が空いていたので
まだ救われていましたが、あれで満員のお客さんがワイワイ言いながら
食べていたら、きっとあの場で食事をする気にはならなかったでしょう。

良い経験をしたとはおもいますが、
もう一度行きたくなるお店ではありませんなぁ・・・




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