indexpastwill
2008年06月30日(月)   meet ze monsta

私は日々怪物に似ていく。冷たい鉄の心をもった、笑うこともなければ泣くこともない、血の通っていない怪物に日々似ていく。それはとても怖い。今日もまた一枚の鉄の扉が下りた。再度持ち上げるのは容易ではないだろう。こうして日々狭いところへと追い立てられていく。がしゃり、がしゃりと扉が次々に下りていく。私はきっと閉じ込められる。そのころ私は立派な怪物になっているだろう。


2008年06月29日(日)   

昨日の恥を雪ぐために今日という日が存在している、多分。けれど日々、恥は更新される。連綿と続く恥の軌跡。雪いでは汚し、雪いでは汚し。
恥ずかしいね、いやはや、まったく。


2008年06月28日(土)   carry that weight

「選択したから」。理由はただそれだけ。選択した時点で責任が発生する。自分に対する責任が。私は私に対して責任がある。しっかり背負え。


2008年06月27日(金)   

迂回どころか近づこうともしないのは、自分の望むものに、こっぴどく否定されるのが怖いから。臆病者は臆病者らしく、決して反撃してはこないものを相手に知恵比べをしているといい。ほんのわずかの間だけのことであっても、おまえのなかの少なくない部分は、この知恵比べのせいで確実にダメージを受けている。最小限のダメージで、最大限の安心を保障しようだなんて、虫が良すぎるとは思わないか。


2008年06月26日(木)   

ずいぶん予定が狂ってしまった。腕が痛くてペンが持てない、だなんてあってはならないことだ。私はペンより重いものは持たない、って、言えれば良かったんだけど。

無理解と、非協力の海で、もがく。


2008年06月25日(水)   

とはいえ、あなたがたにはまるで関係のない話ですが、と昨日書いたことの最後に付け加えておいて、壮絶な嫌悪感とともに目覚める。半日以上、気弱さに酔うべきではない。


2008年06月24日(火)   

突然声が聞きたくなったらどうしたらいいですか、私にだってそんなときくらいあるんです、けれど私が許してくれないんです、私は痩せて華奢なんです、なのに私は誰より重い荷物を背負おうとするんです、そして背負えてしまうんです、私にだってもう何も考えず、その腕のなかにすっぽりとおさまって、ゆっくりと眠りたいときくらいあるんです、けれど、もう何も話したくないから、そんな役割はぬいぐるみにでも任せてしまったほうが、よっぽど楽で、心地良かったりするんです、なのに貴方が、いいえ、誰かが、今この瞬間にここにいてくれたら、と、思うことくらい、あるんです。


2008年06月23日(月)   space dog

人の孤独などたかが知れている、と書いた。だがその犬の孤独を思うのもやはり人なのであった。孤独な金属の塊に閉じ込められ、極限の緊張状態を強いられて、張り裂けんばかりに波打ったであろう小さな心臓を思うのも、この世の誰も行ったことのない遠さまで、たった一人で運ばれていくことの底知れぬ不安を思うのも、やはり人なのであった。犬は自分の孤独を知らない。そのことの残酷さを思うのもまた、人なのであった。


2008年06月22日(日)   

懲罰のように課される頭痛のせいで卑屈になっていた。両目の奥がきりきりと痛んだ。耳障りな嬌声が弾けるたびに大きく深呼吸をした。「あなたは頭がいいから」という言葉とともに両肩に積まれる面倒くさい雑事の数々が底意地の悪さを助長する。せいぜい便利に使うがいい。わたしの大嫌いなあなたたち。


2008年06月21日(土)   

もの云わず、それでも着実に育っていく植物の芽がひたすらに愛おしい今日この頃。湿気にやられてキノコが生えたりもしたが(…)、それでもサルビアは双葉から四葉へ、ケイトウは今にも折れそうな小さく細い芽を出し、ヘブンリーブルーは逞しく、用意したトレリスに絡みつきながら青い蔓を伸ばしている。目には見えない、静かな力が、おまえたちを、上へ、上へと押し上げる。もの云わぬモノは美しい。


2008年06月20日(金)   mauvais sang

終わるな、そんなに簡単に。汚れた血など流してしまえばいい。おまえは女だ、月に一度は生まれ変わる。とりたてて言うほどのこともない。いちいち沈むな、気持ちが悪い。


2008年06月19日(木)   decay

疲労を餌にして汚れがじわりじわりと拡がっていく。汚れた部分は柔らかく、そして弱く、そこからすべてがなし崩しになっていく。やがて音もなく静かに折れていくだろう。いつもこうだ。いつもこうして終わる。


2008年06月18日(水)   

嫌気がさす、という緩効性の、それでいて除去しがたい毒素。一度罹患したなら回復など望むべくもない、元に戻ることなどありえない。染みのついたシーツなど捨ててしまうしかないではないか。


2008年06月17日(火)   

たかが睡魔や食欲に、こうも簡単に完敗していたのでは何事も為せやしない。敗北を許容できるのはせいぜい性欲くらいなものだ。自分一人の内部で完結しているはずの欲求くらい制御できなくてどうする。甘えるな。


2008年06月16日(月)   maybe i was mean

それにしても私も言わないのだから意地が悪い。寛容な素振りを見せておいてその裏で憤っているこの構図はたとえば飢えた人に食べ物を施しておいてそんなにがっつくなんてみっともない、と蔑むことと大して違いはない。「お礼くらい言ってよね」と言えば済むだけのことだがそんなことまで言わなきゃ分からないか、と思うと情けなくてね、もうそういう疲れる人種とかかわることはやめにして、耳栓でも突っ込んで私は私のするべきことに没頭します、ええ。


2008年06月15日(日)   numb

私は気持ちを求めているのではない、ただ礼儀を欲しているだけ。途中から呆れて、モノも言えなくなってしまった。この耳に、聞きたいと思う言葉はちっとも聞こえてこないから、いっそこの雨にやられて、また聞こえなくなってしまえばいい。


2008年06月14日(土)   

あなたの生はこれです、と早いうちに決められてしまって、決められた道を5年、10年、30年と、ただ淡々と、まるでカレンダーに×印をつけるみたいに、一日一日を消化していくこともきっと、素晴らしいことだと思う。だけど私はそうじゃない、いまだ、私の生は、どんななのかちっとも分からない。


2008年06月13日(金)   

あくまで私がそう思う、だけであって、貴方も貴女もそう思わなくて良い。説得するつもりもなければ強制するつもりもない、屈伏させるつもりなど毛頭ない。ただ、突き放すだけだ。私は違う、そうじゃない、って。


2008年06月12日(木)   

人は自分の話を聞いてくれるに違いない、というその無邪気さのなんと憎らしいこと。人は自分の話など聞いてくれないに違いない、という謙虚さをどれほど愛することだろう。キミはいつも震えながら、怯えながら、おそるおそる話した。


2008年06月11日(水)   

低いところへ照準を合わせて狙い撃ちをするような真似は、するべきじゃない、「あれ」はおまえの獲物ではない。可哀想に、質がまるで違ったのだから、もう放っておけば良い。「あれ」の小さく狭い世界を、破壊する資格などおまえにはない。上を見ることだ、遥か上を、そうでなければ、おまえが哀しい。


2008年06月10日(火)   

楽しいことやうれしいこと、気持ちのいいことだけを数珠つなぎにして生きていけると思ったら大間違いだ。むしろそういったものは何百分の、何千分の一の確率でしか巡り合えない奇跡的な状態である、という自覚を欠いてはいけない。欠乏している状態こそが常態である。おまえは選ばれし者などではない。ヒトは元来、そんなに幸福に生まれついていない。だから、この退屈とこのくだらなさを、条件として引き受けなければならない。


2008年06月09日(月)   working class heroine

私たちは、なんて貧しいのだろう。男女雇用機会均等法という舌で転がすには具合の良い言葉にだまされて、社会参加だの自己実現だのといった甘い言葉にほだされて、結局はより厳しい生を強いられているだけではないか。朝の地下鉄の女性専用車両に詰め込まれた女たち、白い麻のブラウスには黒いブラジャーが透けている、ベージュのスキニーにはくっきりと、太ももの真ん中まであるガードルの線が浮き出ている、大きく開いた背中には一面に吹き出物が芽を吹き、通勤用のハイヒールはつま先の革が剥げ、リフトの取れたヒールがコツコツと耳障りな音を立てる。満足に子どもを育てる時間もなく、手の込んだ料理を作ることもできず、洗濯物は部屋干しを強いられ、掃除は休みの日だけ、睡眠不足で肌はくすみ、足はむくみ、エアコンと電磁波で生理は乱れ、コンビニの脂っぽい昼食は腹周りを太くさせるばかり。それだけじゃない、上司はたいてい頭がかたく、同僚はたいてい仕事ができず、男に幻滅し、失望し、嫌気がさして、どんどん意地が悪くなり、口が悪くなり、可愛らしさやしとやかさを失って、打算ばかりがはびこって。そこまでして働いて、得るのはせいぜい中吊り広告に掲載されたブランド品と海外旅行。

働かされている女なんかみんな負け犬だ。


2008年06月08日(日)   curtsey that i despise in me

そんなの関係ない、と突き放すときには、そんなのの側からもおまえには関係ない、と突き放される覚悟をしておかなければならない。当たり前のことだけれど。だから遠慮なく容赦なく突き放してくれれば良いのに、なかなかつかんだ袖を放してくれないものだから、疲れる。


2008年06月07日(土)   wake up, and face me, don't play dead

絶対的な言い訳を次々に展開し、壁を築いて閉じこもるという常套手段。裏を返せば、論駁してくれる誰かをひたすら待っているのかもしれない。けれどそんな面倒くさいこと、誰もわざわざしようとは思わない。やさしい無関心に抱かれて、バカだね、あんたたち、ちょっとそのへんには落ちてない、面白いもの見せてあげるのに、とせせら笑う快感。


2008年06月06日(金)   this love becomes a tether

難しいこともあり得ないことも望んでいないのだから、望むことじたいを恥じる必要は一切ない。逆に情の薄さを罵倒することすら可能だ。けれどそうしないのは、この呪詛にも似た感情が、貴方と私を繋ぐ唯一の絆であるから。ほかにはもう、なにもない。


2008年06月05日(木)   you taste so bitter but you taste so sweet

虚しさだけを喰らっていたのでは腹が膨らまないというのなら、憎々しさをスパイスに、蔑みのフレーヴァを効かせたうえで、後悔をたっぷりとトッピングすればいい。少しはしゃんとするだろう。甘いものを欲しがるな、腹がくちくなる、眠くなる。そうしてついには見たくもない夢を見たくなる。


2008年06月04日(水)   you're already in hell

それが正しいのかそうでないのかを決めるのはおまえだ! ええい、うっとうしい、この期に及んでうじうじ迷うな、今更他人がどう思おうが知ったことではないわ、いろいろ言いたがる連中がいったいおまえに何をしてくれる、親切そうな顔をして、心配そうなふりをして、それで結局、邪魔しかできない、振り棄てて走れ、振り向くな。

「私は地の塩である。甘ったるい水が私まで流れ込むのを大目に見ることができない」(ロール)


2008年06月03日(火)   

虚しさをじっくりとかみしめて味わいながらまたデスクに向かう。カロリーの高そうな陽気さや気楽さの味よりも、実はこの味が大好きなんだろう? 無益で、無害で、無為な味。そんなものが糧になるとは思えないけど、好物なのであれば仕方がない。存分に味わえ。


2008年06月02日(月)   

そうはいっても厳しくなりきれないあたりが弱点なんだろう。すぐに例外を認めてしまう。最後に残った優しさだ、と言えば格好をつけすぎているような気もするが、譲歩を許していい時と悪い時がある、せめてその程度のことくらいは、きちんと見極めなければ。快楽原則がすでに崩壊しているのだから、もう損得勘定に従うしかない。とことんまでシビアなゲームに徹することだ。


2008年06月01日(日)   thought i had a witness

さあ、また新しいゲームのはじまりだ。とりあえず入場券を買わないことには何もはじまらないからね。自分を正当化するための舞台くらい簡単に見つかる。多忙さをでっちあげ、わずらわしさから離脱する権利を捏造し、あれやこれやの付き合いを全部放棄して、さあ、また観客不在の、ひとりよがりのゲームを。


nadja. |mailblog