読書記録

2019年11月26日(火) たそがれてゆく子さん / 伊藤 比呂美

 タイトルに惹かれて読んだ。
比呂美さん、私より5歳年下のほぼ同世代。
正にたそがれてゆくお年頃。

鍋を焦がしたり、いつも何か探してたり、財布が冷蔵庫に入ってたりと、私と同じ、すごく共感できる。

人生の基本。 屬△燭靴呂△燭掘廚海譴麓分はようわからん。
◆屬さつぐうたらずぼら」だけど気づいたら掃除はしよう。
ついでにもう一つ、親への反抗。これは「あたしはあたし」に繋がるんじゃないかな。思えば自分も親には色々迷惑かけてきたが、そういうものなのだ。
比呂美さんはおばあさんになった。
でも踊るし、修験道よろしく崖をよじ登る。おばあさんになっても、はたと迷い、おばあさんになっても、進歩がある。

私は足が悪いから踊れないし、崖もよじ登れないが日々迷っている。
進歩はないかもしれないが、気持ちだけでも後ずさりはしたくない。


『おらおらでひとりいぐも』の比呂美さん版。
比呂美さんならではの親や夫の明るい介護が、エッセイというか本になるというのは正直、羨ましい。







2019年11月19日(火) 渦 妹背山婦女庭訓 魂結び / 大島 真寿美

 
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。(文藝春秋 HPより)

第16回直木賞受賞作。

私は浄瑠璃(文楽)を一度だけ生で見た。
今は大衆芸能ではなく、伝統文化としての位置付けだろうか。
文中にもあったが、歌舞伎に完全に水をあけられている。
お人形より、生身の歌舞伎俳優が話題になる時代なのだ。

物語は語り口が多く、とても読みやすかった。
主人公の半二はもとより、妻になったお佐久と娘のおきみがいい。

吉野の妹背山も入鹿塚も、そして道頓堀や三輪など、そうそう詳しくはないけれど多少とも土地勘のある場所が物語にでてくるというのもなかなかいいものだ。








2019年11月06日(水) 羊の告解 / いとう みく

いつもと同じ朝、中学3年生の涼平の父が殺人の容疑で逮捕された。
真相も知らされないまま、母さえもが父に面会できぬまま突如“カガイシャカゾク”となった涼平。
自分は父と同じ加害者なのか、それとも被害者なのか…。

父のことが知られていないかと恐る恐る約束していた縁日には行ったものの、ゆとりのない気持ちのせいでガールフレンドの美夏とは気まずい別れをした。夏休みを経て、友達ともガールフレンドとも連絡を絶ち母の実家に引っ越しした。名前も母の旧姓に変わった。

祖父たちとの事件の話を偶然聞いてしまった小2の弟は2学期から学校に行けていない。
涼平は新しいクラスに溶け込むこともしなかったが、兄が痴漢容疑でからかわれている同級生の女子のことは何かと気になった。



【告解】
罪を神に告白し、許しを求めること。人を殺した父さんは、そして父さんの息子のオレは、許されることを願ってもいいのだろうか。




 < 過去  INDEX  未来 >


fuu [MAIL]