ゲンゾー日記
2006年09月29日(金)  オオバコの花 

今日ボクは庭でオオバコの花を見つけた。
オオバコの名前は漢字では「大葉子」と書くのだそうである。
葉が大きいから「大葉(おおば)」で、「子」は「どじょっこふなっこ」
の「こ」と同じ「子」だそうである。
ボクは「どじょっこふなっこ」をよく知らないが、そうだと言うのだから
そうなのだ。

この花は春からずっと咲いていたのだが、今日あらためてじっくり見てみ
ら、なかなかかわいい花だった。
ボクがどうしてずっと咲いていたオオバコの花を今日になってじっくり見
たのかと言うと、実はまたアキコのジッカに出張させられると聞いたから
なのだ。
出張と聞いて少しいじけた感じを出そうと思って下を向いていたら、目の
前にこの花が咲いていたのである。

オオバコの花を見たら、主張に出かけるのもそれほどイヤでなくなった。
なんといってもアキコのジッカのパパとママはボクをとてもかわいがって
くれるのだ。
パパは朝5時に起きてボクと一緒に散歩を楽しんでくれるし、ボクと散歩
に行くことでパパの健康ゾウシンにもなっているらしいのだ。
ボクはまた出張に出かけてパパと色々ゾウシンしてしまうつもりである。


2006年09月28日(木)  タンキリマメの花 

今日ボクは散歩道で写真の花を見つけた。
これはタンキリマメの花である。
そういえば今年の1月にタンキリマメの実を見つけて驚いたことがあった
のだ。
豆はサヤが赤くて黒い目玉がギョロギョロしていたっけ。
にらまれると少し怖ろしい感じだったが、花は黄色くてなかなか控えめな
感じである。

1月に見つけた豆は1個だけだったが、これだけ花が咲いているなら、こ
れに実がなったらたくさんの赤い顔があちこちをギョロギョロ見ているよ
うな格好になるに違いない。

冬になってこれに実がなったらまた見に来たい。
でも、ボクの庭以外のところで見つけた植物は花や実を楽しみにしていて
も誰かに草刈りをされてしまって、ある日急になくなっていることが多い
のだ。
このタンキリマメも実がなるまで草刈りされないで残っているといいな。


2006年09月27日(水)  ゴロゴロよけ 

今日のお昼頃である。
どしゃ降りの雨が降ってきてボクの庭は嵐のようになった。
そのうち時々空がピカっと光ってはものすごい音でゴロゴロという音をた
て始めた。

アキコがボクを心配してガラス戸のところにあらわれた頃、ボクはもう後
足がガタガタ震え始めていた。
ボクはいくら雨が降っても平気なのだが、ゴロゴロが近づいてくるのはと
ても怖いのだ。

怖いのにどうしても耳をすまさずにはいられないボクを見たアキコはボク
にタオルのほっかむりをかぶせてくれた。
アキコがタオルでボクの耳をたたんでしまったら、あんなにゴロゴロいっ
ていた空の音が少し遠くへ行ってしまったようだった。
タオルのほっかむりにゴロゴロよけの効果があったとは知らなかった。

ほっかむりをかぶったボクはもう怖くないので、雨の中でも空を見張るこ
とができるようになったのだ。


2006年09月26日(火)  雨のてっぺん杉 

今日は1日雨が降っていた。
こんなにしっかり雨が降るのは久しぶりのことである。

ボクは雨降りも嫌いではないが、こんな日は小屋の中に寝ころんで雨音を
聞きながらお昼寝をするのが一番なのだ。
小屋から少しだけ頭を出して寝ころぶとちょうど上の方にてっぺん杉が見
える。

てっぺん杉は強い風にあおられて右に左に体を揺らしていた。
てっぺん杉に降った雨粒が下の枝へ下の枝へと大きくなりながらポタポタ
と落ちてくるのを見るのは楽しかった。

だんだん雨も風も強くなってきて、小屋から頭を出していてはおちおち眠
れなくなってきたので、そのままボクは小屋の中に潜り込んでお昼寝をし
た。
夢の中でもてっぺん杉がゆらゆらと揺れながらボクを覗き込んでいた。


2006年09月25日(月)  アカネ 

今日ボクは散歩道でアカネの花を見つけた。
去年は背の低いアカネしかなかったのだが、今年はヤブの高いところま
でツルを伸ばしたアカネがたくさん花を咲かせていた。

アカネの名前は「茜色」のアカネである。
花も葉もちっとも赤くないのにどうしてこの草がアカネかと言うと、この
草の根は橙色をしていて、これを使って布を染めると驚いたことに赤く染
まるのだそうである。
これの根を使って布を染めると赤く染まるなんて、一体誰が発見したのだ
ろう。最初にこれで布を染めた人はさぞかしびっくりしたことだろう。

歌を詠む時に使うマクラコトバというのに「あかねさす」というものがあ
るらしい。
万葉集という遠い昔の歌を集めた本に載っている歌にも「あかねさす」と
いうマクラコトバが使われているらしいが、この「あかねさす」もこのア
カネだそうである。
日本の人は遠い昔からこのアカネを使って着物を染めていたのだ。
小さくて見逃してしまいそうなこんなちっぽけな花が昔から人々の生活に
結びついていたのだと考えるとなかなか感慨深い。

ボクのライオンくん枕もこの草の根を使って染めたらマクラコトバが似合
うライオンくんになりそうである。


2006年09月24日(日)  家の見張り 

今日は1日アキコが家にいた。
アキコが家にいるのは嬉しいのだが、困ったことにアキコは時々ガラス戸
からこっそりボクを観察して、ボクが寝ていたり変な格好をしたりしてい
たものなら、すぐにカメラを取り出して来るのだ。

ボクはもう少しで泥のように眠っているところの写真を撮られそうになっ
たが、幸運なことにボスの家はうぐいす張りの廊下なので、無様な格好を
写真に撮られることなく済んだ。

アキコが家にいる日、ボクは家を見張りながら暮らさなければならないよ
うである。
今日も午後からボクはずっと家の見張りをして過ごしたのだ。

下の写真はボクが見張っているとも知らず、アキコがガラス戸の透き間か
らこっそりカメラだけを外に出して撮った写真である。
アキコは隠し撮りのつもりだったので、撮影した写真のボクがきっちりカ
メラ目線だったことに驚いたらしい。
ボクはオリコウな犬なので、いつでもきっちりカメラ目線なのだ。


2006年09月23日(土)  アキノタムラソウ 

今日ボクは草むらで写真の花を見つけた。
これは「アキノタムラソウ」という花である。

この花の名前の由来は、紫色をしているので「多紫草」だという説が有力ら
しい。紫色をしている花をみんなタムラソウにしていてはキリがないと思う
のだが、実際この花はキリがなくなってひどい目にあった花なのだ。

この花とはまったく違う種類だが、「タムラソウ」という花があるらしい。
この花の名前を決める時「タムラソウ」があるから、季節の名前を冠につけ
ようということになったのだ。
この花は夏から秋まで咲いている花なのだが、もう別の花で「ナツノタムラ
ソウ」という花があったので「アキノタムラソウ」という名前になった、と
いうことらしいのだ。
「秋まで咲いているから『秋の』でもいいじゃないか」という感じがして、
少し気の毒なのだ。

植物は同じ名前のものがあるともう同じ名前はつけてもらえないらしい。
考えてみるとボクの名前がゲンゾーだということはラッキーなことなのか
もしれない。もしボクのまわりに同じ名前の犬がいたらボクは今ゲンゾー
ではなかったかもしれないのだ。
もしかしたら秋に生まれたから「アキノゲンゾー」だったかもしれない。
アキノゲンゾーは格好悪いので普通のゲンゾーで良かった。


2006年09月22日(金)  ヒガンバナと棚田 

今日ボクはボスとアキコと一緒に近くの大山千枚田へ行って来た。
大山千枚田というのは日本の棚田百選の1つに選ばれている大きな棚田な
のだ。明日からの連休にはたくさんの人が遊びに来るらしい。

千枚田はもう稲刈りが終わっていた。
土手にたくさんのヒガンバナが咲いて、土手が真っ赤に染まっていた。
ヒガンバナが咲いていない土手では野焼きをする煙があがっていて、とて
ものどかな風景だった。

ボスとアキコが前に鶏をたくさん飼っていたのは、この大山千枚田のすぐ
隣の土地なのだ。
ボクも1年ちょっとの間、この大山千枚田の隣の土地に住んでいたので、
その頃ここはボクの散歩道だったのだ。

あの頃ボクはこんな風景の中を散歩するのが当然のように思っていたのだ
が、お休みになるとたくさんの人が遊びに来るような場所を毎日散歩でき
たのは幸せなことだったらしい。
今日の棚田散策もとても楽しかった。


2006年09月21日(木)  ツルボ 

今日ボクはお隣の畑の草むらで写真の花を見つけた。
この花はツルボという花らしい。
ボクもアキコもこの辺りに咲く花をいろいろ見てきたが、この花を見るの
は今日が初めてである。

ボクが出張に出ている間、アキコも一人で野草を見て歩く気にならなかっ
たらしい。
ボクと一緒に出かけて新しい花を見つけたアキコは大喜びであった。
初めて見る花を見つけるとボクもアキコもとても嬉しいのだ。

ツルボという名前の由来は不明らしいが、この花は別名「サンダイガサ」
と言って、長い茎の先に咲いた花の様子が、お公家様が宮中に参内(さん
だい)する時に差す柄の長い参内傘というのをたたんだ時に似ているから
そんな名前がついているらしい。

この花の根の部分は球根になっていて、食べられるらしい。球根の皮を取
るとツルツルしているからツルツル坊主でツルボというようになったとい
う説もあるらしい。
こんなにステキな花なのに、ツルツル坊主でツルボだなんて、少し気の毒
なのだ。


2006年09月20日(水)  スペシャルにオリコウ 

今日ボクは目が覚めた時に自分の小屋に寝ていたので、とても嬉しかった。
もう出張は懲り懲りなので、今日からボクはオリコウな犬として生活し、も
う出張に出されることがないようにガンバルことにした。

今日のボクはオリコウなので、アキコの言うことは何でもきいてしまうので
ある。
アキコがカメラを持ってきたら、全部カメラ目線。
アキコがオアズケと言ったら、どんなにビスケットが気になっても絶対ビス
ケットの方を見ないでアキコの目を見る。
アキコがハウスと言ったら、アキコと遊びたくても小屋に入る。(でもすぐ
出てくる。)

今日のボクはスペシャルにオリコウな犬であった。
「こんなにオリコウな犬はどこにもいないね」とアキコが誉めてくれた。
でもアキコが最後に「これならまた出張に出してもオリコウでいられるね」
と言ったのでがっかりしてしまった。
明日からボクはスペシャルに悪い子の犬になることにしよう。


2006年09月19日(火)  挨拶のできる犬 

ボクをかわいがってくれたパパとママの庭ともサヨナラし、今日ボクはまた
ボクの庭に帰って来た。

ボクの庭に到着するまで、ボクは何だか興奮状態だった。
何度も出張に出されて、何だかもうボクの庭へは帰って来られないような気
がしていたのだ。
もしボスとアキコが迎えに来たら少し知らんぷりをして、ボスとアキコを悔
しがらせてやろうかと考えていたのに、ボスとアキコが迎えに来た時、ボク
はどうしてあんなにシッポを振ってしまったのだろうか。
とても不思議である。

ボクはあんなにかわいがってくれたパパとママにろくに挨拶もしないで帰っ
て来てしまった。
ボクがもう少し冷静な犬だったら、きちんとパパとママにお世話になった挨
拶をしてから帰って来ることができたのに、失敗であった。

今度またパパとママのところへ出張に出されることがあったら、ボクは今度
こそきちんと挨拶のできる犬になろう。
でも、本当はもう出張はイヤなのである。


2006年09月16日(土)  また出張? 

今日、ボクはまたアキコのジッカに出張に出されてしまった。
せっかく庭に帰って来たのにまた出張に出されるとは悲しいのだ。

ボクが出張に出される理由は「ボスとアキコが明日とあさって朝早くから
出かけるから」ということらしい。
ボスとアキコは写真のバカな粘土細工などをフリーマーケットというとこ
ろで売るらしいのだ。

ボクがアキコのジッカに着いたら、またパパとママが大歓迎してくれた。
また出張に出されたボクは少し淋しいのだが、今度は2日だけということ
らしいので、その間、パパとママに甘えてギュウニュウやビスケットをた
くさんもらって暮らすことにするのだ。

パパはボクと散歩に出かけると1時間くらい一緒に歩いてくれるので、パ
パもボクもとても健康なのだ。
ボスとアキコが冷たいので、この際、パパとママの家の番犬になってしま
おうかな。


2006年09月15日(金)  ゲンノショウコ 

ボクの庭にゲンノショウコの花が咲いた。
ゲンノショウコはボクの帰りを待っていてくれたらしいのだ。

この花の名前「ゲンノショウコ」は「現の証拠」と書くのである。
植物の名前とは思えないような名前をしている。
これは下痢をした時にこの草を煎じて飲むとピタリととまったということ
からつけられた名前らしい。
「ほらこの通り、現の証拠でゴザイマス」という名前なのだ。

その昔、この花は「タチマチグサ」と呼ばれていたらしい。
「太知末知久佐」と書いてタチマチグサだそうである。
こちらの名前も「この草を煎じて飲めばたちまち治る」のタチマチなので、
これもまたこの草が薬としてとても効くという意味の名前なのだ。

こんなに愛らしい花なのに、みんな薬効のことばかり考えて名前をつけて
しまったらしい。
ボクだったらもっとステキな名前をつけてあげるのにな。



この草の花は、ボクのいる東日本では白、西日本では赤い花が咲くらしい。

2006年09月14日(木)  サオトメ流その後 

昨日は踊りを踊って疲れ、早々に眠ってしまったボクなので、今日はゆっく
りボクの庭を観察してまわることにした。
ボクがいない10日ほどの間にボクの庭はだいぶ変わってしまっているよう
だった。

まず、ボクが楽しみにしていた「サオトメ殿」の花はもう咲き終わってしま
っていたのだ。
斬新なサオトメ流のラセンに咲いた花を見てみたかったのに、見ることが
できなくてとても残念なのだ。

でも、アキコがボクのためにサオトメ殿の花の写真を撮っていてくれたの
で、写真で我慢することにした。
グルグルのサオトメ殿の花はやはりなかなかの美しさなのだ。
ススキの葉をのぼり始めた時よりもさらにぎゅーっと締め付けて、ススキ
の葉が少し丸まっているのが見える。

サオトメ殿のニオイは臭いらしいので、花の香りを愛でることはなかった
だろうが、やはり実物を見てみたかったのだ。
これからボクは毎日何も見逃さずにボクの庭を楽しむことにするのだ。


2006年09月13日(水)  帰宅 

今日ボクはとても嬉しい。
ボスとアキコが迎えに来て、一緒にボクの庭に帰って来たのだ。

ボクの庭は相変わらず草がボウボウ生えているが、なんてことない草の
香りは懐かしくてとてもいい。
てっぺん杉を吹き抜ける風も、田んぼの向こうを流れている川の音もす
べてが素晴らしいのだ。
生意気な鶏たちも今日は心なしかボクの帰宅を喜んでくれているような
気がする。

ボクは帰ってきた喜びのあまり、踊りを踊ってしまった。
走り回っても踊りを踊っても表現しきれないくらい今日のボクは嬉しい
のだ。
嬉しくてボスにもアキコにも飛びついたので、ボスのズボンもアキコの
シャツもボクの足跡がたくさんついた。
ボスにちょっぴり叱られたけれど、ボスに叱られることだって今日のボ
クには嬉しい出来事だったのだ。


2006年09月12日(火)  センパイ日記3 

ゲンゾー君の庭で楽しく暮らしていた吾輩だが、いよいよ今日はこことも
お別れだ。今日、吾輩は自分の家に帰る。

コンクリートの上で暮らしていた吾輩にとって、土の上で暮らしたこの
10日間はとても楽しかった。
草がボウボウに生えた庭で草の上に寝る感触も楽しむことができたし、川
や草のニオイがする土の道を朝夕楽しく散歩することもできた。
散歩道はなかなか楽しくて毎日はりきって散歩をしたので、吾輩はここに
来た時よりも少しスリムになったのだよ。

でも吾輩はやはり今まで暮らしていた土地の方が落ち着くので、ここはゲ
ンゾー君にお返しする。
ゲンゾー君には苦労をかけた。
またいつかここをお借りすることもあるかもしれないが、その時はぜひ会
って牛乳で乾杯しよう。

そうそう、ここにいる間、吾輩は誰のことも噛まずに終わったよ。
「写真を撮られる時はカメラ目線」もできるようになったしの。
そうだ、日記を3回書いたこともよい思い出だ。
さらば、ゲンゾー君。
でも、ゲンゾー君が挨拶に来なかったことは忘れてないぞ。




ゲンゾー「センパイ、これはカメラ目線ではなく『ビスケット目線』でご
     ざるよ。挨拶に伺わなかったことはまことにかたじけない。
     でも明日はいよいよボクもボクの庭に帰ることができるのだ!」

2006年09月11日(月)  イヌガラシ 

今日もセンパイが日記を書いてしまう前にボクが日記を書くのだ。
まだお昼過ぎだが、そんなことは気にしない。

アキコが一人で写真を撮ったこの花はイヌガラシの花である。
またアキコは名前に「イヌ」がつく植物の写真を撮ってしまったようだ。
ボクがいなくて淋しいから名前に「イヌ」がつく写真を撮ってしまうのは
わかるが、それにしても「イヌ」のつく植物がこんなにあるとは驚きなの
だ。

イヌガラシはカラシに似ているけれど違うから「否ガラシ」、それがなま
ってイヌガラシになったらしい。
アキコが新しく見ている名前の由来の本には「イヌ」=「役に立たない」で
はなく「イヌ」=「否」だと書いてあるらしい。
「図鑑によっては犬のように役に立たない植物だからという説明があるが、
昔から番犬や猟犬として役に立っているので役に立たないというのは失礼
である」と書いてあるらしい。この本を書いた人は犬の味方なのだ!

でもボスは「犬侍」や「犬死に」というコトバもあるから、「犬」には役
に立たないという意味もあるに違いないと言っている。
ボスはイヌの敵なのだ!
センパイに頼んで一度ボスに噛みついてもらおう。


2006年09月10日(日)  センパイとボス 

昨日はボクがうっかりしている間にセンパイに日記を書かれてしまった。
今日はセンパイが日記を書く前にボクが日記を書くのだ。

アキコが撮った写真を見ていたら、センパイがボスと遊んでいる写真が
あった。
ボスはボクとだってなかなか遊んでくれないのに、センパイが遊んでも
らっているのを見てボクは少しジェラシーなのだ。

センパイは年寄りだと聞いていたのに、写真を見たら年寄りとは思えな
いほどはしゃいで遊んでいる。
年寄りでもボスと遊ぶと楽しくてついつい悪ノリしてしまうらしい。
ボクよりも10年以上長く犬をしているというのに、こんなに悪ノリし
てしまうとは。

ボクも一緒に遊びたいが、悪ノリしているセンパイのそばに寄るとうっ
かり噛みつかれそうで怖いのでやっぱりやめておくのだ。
センパイがジッカに帰ったら、ボクもボスと遊んでもらおう。



2006年09月09日(土)  センパイ日記2 

今日はセンパイの吾輩が日記を書くことにする。
後輩のゲンゾー君はここ3日ほど日記を書くのを忘れていたらしいから、
吾輩が少しくらい日記を書いても良いだろう。

今日、吾輩が庭でくつろいでいたら、郵便配達員が電動二輪車に乗ってや
って来た。
吾輩は郵便配達員など興味はないのだが、ヒマだったので少し脅かしてや
ろうと配達員の足下に走り寄ったら、ちょうどよくヤスタカがガラス戸か
ら出てきたので噛みつくことはできなかった。
まったく運のいい郵便配達員だ。

郵便配達員はヤスタカに「もといた犬はどうしたんですか?」とゲンゾー
君の安否を尋ねておった。
ヤスタカが吾輩のことを「昔は暴れん坊の犬だったが今は年を取ってもう
大人しい犬になった」と言ったら郵便配達員が「今でも凶暴ですよ」と言
っていたのを吾輩は聞き逃さなかった。

あの郵便配達員はゲンゾー君のことを気に入っているようだ。
ゲンゾー君は郵便配達員を甘やかしているようなので、吾輩が一度、犬と
郵便配達員の関係について郵便配達員にしっかり教えなくてはいけないよ
うだ。




ゲンゾー「センパイ、写真を撮られる時はカメラ目線が基本でござるよ」

2006年09月08日(金)  オヒシバ 

この写真はオヒシバである。
これはボクの巣に違いないのだ。
今ボクがいる庭には雑草と言われている草がちっとも生えていないので、
ボクは巣に寝ころぶことができないでいる。
きれいに手入れされた庭は気持ちがいいけれど、たまにはフサフサのボク
の巣に寝ころんで空を眺めてみたい気もする。

ボクの巣のオヒシバに穂がついたのは、きっとしばらくボクが寝ころんで
いないからに違いない。
ボクの巣はボクがいないのをいいことに、フサフサを通り越してガサガサ
に成長してしまっているのかもしれない。

いつもはオヒシバの穂など気にせずにゴロンと巣に寝ころんでいたボクだ
が、こうして写真を見るとオヒシバの穂はなかなかきれいな形をしている
のだ。
ときどきアキコがボクにクローバーのカンムリを作ってくれていたので、
庭に帰ったらボクがアキコにオヒシバの穂でネックレスを作ってあげよう
かな。


2006年09月07日(木)  イヌホオズキ 

またまたアキコが一人で淋しく写真を撮ったこの花はイヌホオズキの花で
ある。
アキコがこの花の写真を撮ったのはこの花に「イヌ」の名前がついている
から、つまりボクがいなくて淋しいからに違いないのだ。

この草の名前に「イヌ」がつくのは、この草がホオズキに似ているけれど
違うかららしい。
「否ホオズキ」が「イヌホオズキ」になったのだ。

この草は毒があるので気をつけなくてはいけない花なのだ。
ボクがこれを見つけるとアキコはいつも「噛んじゃダメだよ」と言ってボ
クのヒモを引っ張っていたのだ。

ボクもこの花を眺めたいのだが、ボクが帰るまで咲いていてくれるだろう
か。咲いていてくれると良いが、もし咲き終わってしまったら小さくてか
わいい実を眺めることにしよう。


2006年09月06日(水)  アキノエノコログサ 

愛犬生活に夢中ですっかり日記を書くのを忘れていたのだ。
いかん、いかん。
ちょっとズルをして、まとめて日記を書くのだ。

アキコがボクなしで淋しく写真を撮ったこの草はアキノエノコログサと
いうのだ。
エノコロというのは子犬という意味の「犬ころ」がなまったものらしい。
この草が子犬のシッポに似ているからそんな名前がついたのだ。
もともとは「犬ころ尾草」と言っていたものがエノコログサになったら
しい。
ただのエノコログサは穂が直立するのだが、アキノエノコログサは穂が
垂れているので区別できる。

アキコが一人でこの草の写真を撮ったのはきっと、この草がボクのシッ
ポにそっくりだからに違いない。
ボクもちょっぴり淋しくなってきたが、男らしくボスとアキコがお迎え
に来てくれるのを待つのだ。


2006年09月05日(火)  センパイが寝ている間に 

コンニチハ。
今日はセンパイが寝ている間にこっそりボクが日記を書いてしまうことにす
るのだ。まだ昼間なのだが、そんなことは気にしないのだ。

昨日のセンパイ日記は大迫力であった。
センパイがいろいろなものに噛みついているという話はすごかった。
センパイの代わりにボクが日記をアップしたのだが、体が震えてうまくアッ
プできずに困った。

でもセンパイは年を取ってだいぶ犬が丸くなったようである。
ボクにすごいナンパ術を教えてくれると言っていたのに、すっかり忘れてし
まっているようなのだ。

アキコの話だと、センパイはもう耳も遠いし目もほとんど見えないらしい。
アキコがガラス戸を開けて小屋で寝ているボクの写真を撮ろうとしたら、ボ
クならすぐに気がついて小屋から出てくるのに、センパイは何も気がつかず
眠っているのだ。
ちょっとマヌケ・・・いや、堂々としたセンパイである。


2006年09月04日(月)  センパイ日記 

別世帯に出張しておる後輩のゲンゾー君が今日の日記を譲ってくれると申
すので、今日は吾輩が日記を書く。

ゲンゾー君は吾輩のことをとても怖がっているようだが、吾輩は長いこと
犬をしていたせいですっかり年寄りになってしまった。
もうゲンゾー君をいじめたりするような凶暴な犬じゃないのだがゲンゾー
君は何か勘違いをしているんじゃなかろうか。

そりゃ昔、ヤスタカとアキコのところにいた頃は鎖を外して逃亡し、近所の
メス犬めぐりなどしたこともあるが、今はもうそんなバカな遊びも卒業した
よ。
郵便配達員に噛みついたり、野菜売りのお年寄りに噛みついたり、散歩中の
犬にケンカを売ったり、飼い主のヨシノリに蹴飛ばされて噛みついたり、そ
んなこともあったかの。

でも今はおとなしくて甘え上手な犬と言われているのだよ。
自分よりもかなり大きいコリーというメス犬に乗ろうとしたこともある吾輩
のすごいナンパ術をゲンゾー君に伝授してやってもいいと思っているのだが。




ゲンゾー「よ、よろしくお願いイタシマス。
     ボクが日記をアップしておきますからどうぞお休みクダサイ。」

2006年09月03日(日)  センパイ 

ちょっと早めだが、今日の日記を書いてしまうのだ。
なぜならボクは老人世帯に出張中で、夜は早くに寝てしまうからなのであ
る。

昨日の夜、ボスの家にセンパイの大チャンがやって来たらしい。
愛犬通信でアキコから受け取った写真を見たら、センパイは思っていたよ
りも大きい犬であった。

何といっても同じ小屋から出てくる時の様子がボクとはまるで違う。
センパイの顔の大きさはボクが2頭一緒に出てこられそうな小屋の入り口
の幅いっぱいなのである。
ボクは一度くらいセンパイに挨拶に行った方がよいだろうかと考えていた
のだが、挨拶はやめておくのだ。

センパイが「1週間、この日記をよこせ」と言ったら、ボクは「どうぞ」
と言ってしまいそうである。
何やらセンパイも日記を書きたい様子なのだ。
センパイはボスの言うこともきかない王様のような犬らしいので、もしか
したら日記を乗っ取られるかもしれないとボクはドキドキなのである。

センパイ、日記の当番はせめて1日おきにしてもらえないでしょうか。


2006年09月02日(土)  ボクは出張中 

今日からボクはアキコのジッカに出張である。
ボスとアキコから離れて暮らすのは淋しいと思っていたのだが、アキコの
実家に着いてみるとヨシズで日陰が作られ、新しいボクの家もきちんと設
置してあった。
その上、優しいパパとママがボクを大歓迎してくれたのである。

ボスとアキコがボクを置いて出かける時、ボクはちょうどママからおいし
いビスケットをもらってモグモグしているところだったので、ボスとアキ
コが出発するのさえ見ていなかった。

アキコはボクが置いていかれる時にキューキューと悲しい声を出すのでは
ないかと心配していたらしいが、男らしいボクは鳴いたりしないのだ。
今日から10日ほどは番犬ではなく愛犬として暮らしても良いらしいので
ボクは今日から愛犬ゲンゾーとして鶏のいない暮らしをエンジョイしてし
まうつもりなのである。

今頃アキコの方が淋しくてキューキュー鳴いているのではないだろうか。
シシシ。


2006年09月01日(金)  明日から出張 

今日、ボクは散歩道で花のつぼみを見つけた。
これはセンニンソウのつぼみである。
センニンソウは、タンポポの綿毛のゴージャス版のような種ができるツル
性の植物なのだ。
センニンソウの種は白い綿毛がもじゃもじゃしているので、それを仙人の
もじゃもじゃの髪とヒゲに見立ててそんな名前がついているらしい。

ところで、いよいよ明日からボクはアキコのジッカに出張らしい。
そうなるとボクはこのセンニンソウが咲いたところを見られないかもしれ
ないのだ。
裏で見つけた斬新なサオトメ殿の花も。

アキコのジッカの庭には野草ではなく手入れされた草花があるということ
なのだが、お散歩に出かけたらまたボクの好きな小さな野草たちに会える
だろうか。
ボクは自分の庭や散歩道が気に入っているので出張は少しイヤなのだが、
明日からガンバって出張に行ってくるのだ。

あ、明日からのゲンゾー日記はどうなるのだろうか。


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