日常のかけら
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◇どうなったの?◇

三蔵に貰った綺麗な金色の箱の入ったチョコレート。
すっごく美味しくて、甘くて、不思議な味がしたんだ。
半分くらい食べた頃から何だか胸がドキドキしだしたんだ。
そんで顔が赤くなって来るのが解って、そんで…そんで…。
そんで、身体が熱いんだ。
その上、腰の辺りがむずむずして、痒いような、痛いような感じ?
俺、どうかなったのかな?
チョコレートの食べ過ぎ?
なあ…三蔵…熱いし、苦しいよぉ…

(悟 空)

2006年02月22日(水)


◇どうしよう◇

一体、何処の何奴だ?
俺はな、仏門にいるんだよ。
生臭だ、鬼畜だ、人でなしだと言われてもな、坊主なんだよ。
女人禁制なんだよ。
だからって、男色でもねえ。
涸れてるだとか、病気だとぬかすアホウもいるが、単に興味がねえだけだ。
いくらコナかけてなびかねえからって…これはねえぞ。

…ったく…どうしろってんだ?

赤い顔して明らかに欲情してるぞ?
抜くにしても精通がねえからなあ…
と言って、放っておくわけもいかねぇ。

取りあえず…水でも飲ませてみるか?

(三 蔵)

2006年02月21日(火)


◇大丈夫◇

大丈夫、いつものことだから。
大丈夫、我慢すればいいだけだから。
大丈夫、へこたれない。

たいだいま!
なあ、今日雪の中にこんなちっこい花見付けたんだ。
ほら、これ!
これな、昨日、笙玄に教えて貰った花で、ふきのとうって言うんだって。
天ぷらにするとうめえんだってさ。
だから、俺、嬉しくってさ、こんなに取ってきたんだ。

差し出した上着の中のふきのとうを見て、三蔵が呆れた顔をした。
そんで、俺の頬に触れて…

「我慢すんじゃねえ」

って、ふきのとうごと俺を抱きしめて、頬の擦り傷に唇で触れてくれた。

大丈夫、三蔵がいるから。
うん、大丈夫だって。

でも、心がほっとした。

(悟 空)

2006年02月17日(金)


◇立 春◇

寺院の庭に蝋梅が咲いた。
薄く蝋で作った様な硬質で、けれど儚い仄かな香の黄色い梅。
冬の厳しい寒さの中、春を告げるように咲く。
その小さな花に金眼の子供を思う。
ちらちらと舞う雪の欠片を恐れて今日は部屋に閉じこもっているのだろう。
立春の勤めが終わったら帰りにひと枝手折って、お前を届けようか。
大地の子供が笑うように。
春はまだ遠い。

(三 蔵)

2006年02月05日(日)


◇節 分◇

今日、節分だったんだな。
三蔵は知ってた?
だって、この街の寺で偉い坊さんや芝居の役者や町長さんとかが豆撒きしてたからさ。
そういや、三蔵もしてたよな。
あん時は寺にはたくさん店が出て、俺も自由に遊ばせてもらってたから、面白かった。
今だから言うけどさ、俺、屋根の上から見てたんだ。
こーてーって人が連れてた女の人もすっげえ綺麗だったけど、それより三蔵の方が何倍も綺麗だったんだ。

ッてぇなぁ…

本当だって。
何も怒ることないじゃんかぁ…。
俺、そんな三蔵を見るの大好きだったんだから。

(悟 空)

2006年02月03日(金)