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2007年08月30日(木)
金網の向こう側、照らす月灯かり。





眩暈を覚えるほど強い光を放ち、
世界中の何よりも強く其処に在る太陽を、
漏れる溜息よりも多い数のシャッター音で、
別れを惜しむかのように、
心と、カメラと、瞳に刻み続けた。


ふと思い出したかのように振り向くと、
車の後ろを開けてそこに座っていた彼が、
愛しいものを見るような、
優しさを湛えた瞳で微笑んでいた。


迷子が親を見つけて安堵して、嬉しくて、
両手を広げる温かな胸に駆け寄るのと同じように、
笑顔で見つめる彼の元に駆け寄り、
その首に手を回して抱きつくと、
「俺のこと忘れちゃったのかと思った」と言わんばかりな、
彼の腕が、優しく抱きしめ返してくれた。


触れ合う胸と胸、頬と頬から伝わるものに、
思わず、さらに頬が緩んで、
ありったけの想いを込めて思い切り抱きしめた。


首に回した手を緩めて見詰め合うと、
やっぱり彼は優しく微笑んでいて、
互いに微笑みを交わしてから唇を寄せる。


「綺麗だよ。とっても。」


彼の膝の上に座って、頬を寄せ合いながら、
腰に回されてる彼の手に手を重ね、
沈んでいく今日という陽の終りを眺めてた。


聞こえてくるのは風と波の音。
見えるのは強い、強い太陽。
そして、愛しい彼の笑顔と想い。


きみがそこにいるだけで私は幸せだ。







2007年08月22日(水)
きみがいれば。





友達の運転する車の助手席で、
変わり行く景色をぼんやりと眺めながら、
膝を抱えて何気なく笑ったら、
息を吸い込んだ瞬間に、
履いてたジーンズから彼の匂いがした。


一瞬、頭の中が真っ白になって、
愛しくて、恋しくて、
抱えた膝を解くことが出来なかった。


「どうして膝抱えてるの?寒いかな?」


突然、黙り込んだ私を、
友達が心配そうに覗き込む。


「自分で自分を抱きしめてるの。」


そう言って笑って見せると、
少し安心したように、
友達も笑顔を見せてくれた。


ここにきみがいれば。


もっともっと楽しいのに。
もっともっと幸せなのに。
もっともっと笑えるのに。


ここにきみはいないから。


変わり行く窓の外をぼんやりと眺めながら、
彼の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、
逢いたいよ、
そっと心で呟いて、力いっぱい膝を抱きしめた。


彼の匂いを抱きしめた。







2007年08月02日(木)
見つけた貝殻は、海の色。





椅子に座る彼の膝の上に頭を乗せて、
下からぼんやりと顔を眺めていたら、
私を見て彼が優しく穏やかに笑った。


私を見てあんな風に嬉しそうに、
優しく穏やかに微笑む彼を、
久し振りに見たような気がした。


「色々と本当に、ごめんね。
 俺は一生、お前だけのだよね?
 お前は一生、俺だけの。」


真っ直ぐに目をそらさずに私の目を見て、
そう言ってから抱きしめられて、
思わず涙が出そうになって、
抱きしめ返した腕に力がこもった。


そのまま彼が眠りに落ちて、
寝息を聞いたらほっとして、
気づいたら揃って眠ってた。


手を繋いで並んで歩いて、
手を繋いで眠って、
目が合ったらキスをする。


そんな何気ない時間が私に温もりを与えてくれる。


そんな何気ない時間が彼に安らぎを与えていればいい。