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2007年02月28日(水)
一期一会の精神。





去年のちょうど今頃、知り合ったYくん。
そのYくんが今日を持って仕事を辞めました。


初めて知り合った時は、ただの可愛いボクちゃんで、
どっちかというと怖いもの知らずなおバカな子で、
こんな子と仲良くなる筈もないだろうと、
元々、年下嫌いのあたしはそう思っていたのだけれど、
妙になついてきて、少々困ったりもしたものだ。


けれどその半年後、あたしの肩にもたれかかり、
そのまま抱えていた心の重荷を下ろし、
肩を震わせて泣く姿を見たときに、
心にひっかかっていた何かが音を立てて外れた。


無性に守ってあげたかった。
壊れもののような、彼を。


だけど、ただの可愛いボクちゃんも、
1年も社会に揉まれれば、
良い意味で可愛さも抜け、
あたしが守ってあげなくてもいいくらいに、
とても良い瞳をするようになった。


そんな良い瞳でYくんは言った。


「1度しか言いませんからね?ちゃんと聞いて下さいよ?
 この1年で僕、成長したと思います。本当に。
 色んなこと勉強になったし、色んな人とも知り合えました。
 色んな人の良い面も悪い面も知ったし、
 良い意味でも悪い意味でも狡賢くなったと思いますし、
 沢山バカなこともやらかしてきました。
 でも、1番大きな出来事は間違いなく、貴女に出逢えたことです。
 貴女が居たから、貴女がいつも傍に居てくれたから、
 どんな状況下においても、僕を決して否定したりしなかったから、
 今の、この僕が在るんだと、心からそう思ってます。
 本当に、本当に、どうもありがとう。」


凄く嬉しくて、だけどちょっと恥ずかしくて、
Yくんの言葉を笑って、茶化して、誤魔化した。


だけど、この言葉だけであたしは頑張っていける。
離れ離れになって疎遠になったとしても。
誰かにとって自分が意味のある存在で在れたから。


最高のプレゼントを貰った気分だ。


この1年で本当に成長したYくんの、
この先歩いていく道が、
幸福いっぱいであることを、
ひっそりと、だけど強く願うのです。


離れ離れになっても、ずっと、友達だよ。







2007年02月26日(月)
誕生石と秘密の言葉。





もう暫くずっと、同じピアスをしている。


光を受けると、きらきらと輝く、
オレンジ色の小さな一粒石のピアス。


時折、きらきら。
時折、かがやく。


あたしらしくないアクセサリー。


らしい、とか、らしくない、とか、
それは他人の、自分の、
その中にしか存在しない判断基準。


もう暫くずっと、同じピアスをしている。


小さいくせに、存在感だけはある、
きらきら輝くオレンジ色の一粒石。


何より大切なあのひとの。
何より愛しいあのひとの。


それは、誕生石。


いつも傍に感じていたいから。
いつも傍に居て欲しいから。
どんな時も愛を届けているから。


誰1人として、それに気づいてはいないけれど。







2007年02月24日(土)
ユメノマタユメ。





意識的なのか、最早、習慣化されているのか、
愛しい人は片腕を広げて、ベッドに転がる。
あたしがその腕の中にすっぽりと、
収まるのを、待っているかのように。


ご主人様にジャレつく猫のように、
広げられた腕にジャレついてみた。


傍に居ることに安心したのか、
それとも睡眠欲の限界値なのか、
それは定かではないにしろ、
愛しい人は小さな鼾を立て始め、
暫くすると完全に眠りに落ちた。


「腕が痺れた・・・」


そう寝言のように呟くので腕から頭を外す。
あたしの心の声が聞こえたのか手が伸びてくる。
今度は手を繋いでから、再び眠りを貪る。


そんな姿が愛しくて、何度も、何度も、
眠る愛しい人の、こめかみに唇を寄せた。


ふいにマスターの台詞が頭を過ぎる。


人の温もりや愛情や安らぎに飢えてるのは、
あたしだけではないのかもしれないと、
横で眠るその人の顔を見ながらそう思った。


「彼は貴女に癒されたいんだよ」


前に聞いた知人の台詞が頭を過ぎる。


急に愛しさが込み上げてきて、
眠りから現実世界に引き戻したい衝動に駆られるが、
ぐっと堪えて唇を唇に寄せ、
横で眠る愛しい人をただただ眺めていた。


そんな風に、朝が来ないのを願う日もある。







2007年02月21日(水)
ユメノアト。





「貴女は、例えば、足に手を触れてるとか、
 腕枕をしてくれるとか、
 お腹にちょっと手を乗せてるとか、
 少しでも肌が触れていれば安心できるんだろうね。
 人の、温もりと愛情に飢えているものね。」


バーのマスターがそう言い終えて、笑う。


「そうですね。でも、腕枕をして欲しいとか、
 抱きしめていて欲しいとか、そういうんじゃなくて、
 ただ、手を繋いで眠ってくれればそれでいいかな。
 目が覚めた時に離れていても構わないから。」


マスターに真っ直ぐ言い終え、同じく笑う。


目の前で柔らかなキャンドルの火が揺れ、
お気に入りの紅いカクテルがキラキラと輝き、
その向こう側で父親のようなマスターが微笑む。


そんな風に朝を待つ日もある。