遠雷

bluelotus【MAIL

ものがたり
2007年10月21日(日)

私は読書が好きですが、恋愛小説は滅多に読みません。

あるひとつのジャンル(それは彼とも共通ではあるけれど、なかなか同好の士の友達ができないという)ものを偏愛するように読んでいて、それ以外も読みはするけれどだいぶ偏った作家になる、あまり可愛げのない本読みです。ただ、たまに甘ったるいラブストーリーが欲しくなることがあります。ここ数日も、なんだかスイッチが入ってしまったらしくて、なぜか所謂オンラインノベルを読んでいます。ケータイ小説では、ありません。

色々読み進んで行くと、拙いもの、練れたもの、様々です(失礼な言い方ですみません)。拙いなら拙いなりにその予定調和さが面白く、美男美女だったり、お金持ちだったり、ありえないくらいにドラマチックだったり、小さな幸せだったり。パターン化されたようなキラキラした世界がまぶしくて、ハッピーエンドであることがとても嬉しく思うのです。ハーレクイン小説(ロマンス小説)を読んでいる感覚でしょう。紙媒体のハーレクインまで手を伸ばしたらちょっとまずいだろうと、さすがにそちらは触れないようにしているのですが。

ここでは、私の体験と彼の話のがドラマチックだと思って比べたりしている訳ではないことが前提です。出会いのあたりだけでも書こうと思えば色々あるでしょうし、実際、似たようなシチュエーションなものもありました。でも、それはもちろん私ではないし、以前、ある曲を聴いて自分のことのようだと思ってしまった感覚は、これにはありません。

どちらかというと、「こういう恋愛があったなら、私の人生はどうだったのだろう」…そう、一種の憧れなのです。中学も、高校も、なんだか青臭い体験、若い故の勢い、つまりは青春のようなものがなかったと思うのです、わたしには。それと、こんなことを彼との生活の中でしてみたかったという、甘々な情景の羅列を、追体験したような気になれるということでも、あります。もちろん、自分好みな登場人物にときめいてしまったりということも含みます。それから、こんな私に取って夢のような世界を書き記す所謂文筆業のプロではないひとたちが、もしかして過ごしてきたのではないかと思われる私に縁のないような生活への、遠回しな羨望と嫉妬。

今のところ、ときめくようなシチュエーションを自分に置き換えたとして、その相手として想像がつくのは彼以外にありません。先日、(彼と私にあったことなどを知らない)男友達に告白されて断ったのですが、その前から何となく匂わされていた態度に、自分が自意識過剰なのかと悩みつつも彼としたことなどをその友達に置き換えられるかと考えてみたのですが、だめでした。どう考えても友達以上ではなく、手をつないだり口づけをしたり、そんなことが全く想像でもできないのでした。今回のスイッチの入るきっかけは、そんなことをつらつらと考えすぎたせいかもしれません。

そういえば、彼はよく言っていました。彼と私が、子供の頃から出会っていて、他の人などに目を向けないで、二人で今日まで生きてきたと言う妄想をして楽しむのだと。それをいかに実現可能な具体的な話にするためには、今の記憶を持っているままで中学生になり、記憶のない私と出会う為に綿密な計画を立てて出会って恋をするそうです。ちょっとストーカーみたいだけど、なんとかがんばって近くに引っ越してとか、その辺の「具体的」な計画を楽しそうに話していました。ぼーっと一人飲んでいても、それがツマミになるんだよ!とニヤニヤして。

結局、似た者同士だったということです。



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