初日 最新 目次 MAIL HOME


ムシトリ日記
加藤夏来
→ご意見・ご指摘等は

2006年05月31日(水)
思い出し物件

更新は創作教室関連でオリジナルです。ひたすら完結のことだけ考えます。
男の方のキャラクターと冒頭シーンだけメモってあったもので、終わらせる練習。




これだけでは難なので、本日は他所さまの著作でお茶を濁します。先日大学時代の話をしたついでに思い出した物件になります。

当時、安いを理由に定期購読していたテレビブロスで、えらく異彩を放っていたコラムがありました。いやこの雑誌、「番組表つきコラム雑誌」と陰口を叩かれるくらいコアな記事ばかりだったのですが、その中で特に異彩を放っていたシリーズ。オタキングで一部のマニアに有名な、岡田斗司夫氏の『オタクの迷い道』です。

その中の白眉。「セバスチャンシリーズ

当時涙が出るほど笑ったものですが、受けたのは私だけはなかったらしくて、以後ブロスで林原めぐみに関連した記事が出るたびにセバスチャンは引き合いに出されていました。というか今でもセバスチャンで検索するだけで、上から五番目にこれが出るくらいなので、ものの分かったマニアの方々は既にかなりご存知なのかもしれません。

ちなみに私が最後にセバスチャンを見たのは、まるで関係ないSAPIO誌の海外オタク特集でした。一般のファンのフリしてインタビューされており、本当に茶を噴いたものです

。岡田氏のコラムは基本的にツボに入るので、同じサイトのバックナンバーもチェックをお勧めします。超Z級メキシコ製映画『ロックンロール・レスリング・ウーマン対アステカのミイラ』とか、コアな知識がハンパじゃありません。



2006年05月29日(月)
××繋がりではありませんが

「君それEDだろ?」
「………(死亡)」

という診断が下りました。いつも楽しい創作教室の日です。やっほー(乾燥)

何か書きかけては「違くない?」と筆が止まってしまう方はいらっしゃいませんか?
いつの間にやら途中書きの小説が山になっている方はいらっしゃいませんか?

そんな時には疑ってみましょう、勃起障害。何はともあれ、最後まで勃っていなければセックスはできないのです。ホテルに入ってからぐずぐず迷っていたら、彼女にケリ入れられるのです。男としての自信がぐらつきかけているそこのあなた!

ぐだぐだ言わず、勃起することだけ考えましょう。

セックスだけが人生じゃないとか、男のコケンなんてものの存在自体を疑うとか、今のあなたに必要なのはそんなものではありません。

最初の一発です。




……うちの先生の表現力は世界一…… orz

雷に打たれたように納得したので、加藤さん勃起します。



2006年05月28日(日)
補足説明

FACETさんの一周年記念に役者もののブツを差し上げたのですが、堂々と間違った内容を記述してしまったようなのでフォローします(汗)

マルチェロが例として引いている××な祭の件ですが、色々検索してみたところ男根の神体を担ぐものは実際いくつか見つかったのですが、女陰の神輿を同時に出展させ、これ同士をぶつけ合うというのはソースが見つかりませんでした。以前SAPIO誌で読んだ記憶があるのですが、確定していないためお詫びさせていただきます。申し訳ありません。m(_ _)m

俗に男根祭と呼ばれるものは以下の二例が有名であるようです。外国人観光客が多いのも共通らしいです。


愛知県小牧市田懸神社 豊年祭

神奈川県川崎市金山神社 かなまら祭


上記二例のご神体はほんまにそのまんまの形をしておりますので、閲覧の際は重々ご注意ください。この底抜けに明るいど助平根性、確かに国際的に誇る価値があると思っております。エロスを心から楽しむのは、高いレベルの文化がないとできないことですので。



2006年05月26日(金)
信仰に関するメモ

友達と飲んだ関係で、mixiのカトリックコミュを検索していたのですが、「ヨハネ」「小さき花のテレジア」「グレゴリオ」といった中に七衛門という洗礼名の方がいらっしゃいました。

よう考えたら長崎で列聖された二十六聖人の例もあるんだから、日本人の聖人がいてもぜんぜん不思議はないし、地元の聖人を大事にするのはとてもいいことだと思うのですが……。

……やっぱりスルーされがちな聖人とかいるんだろうなあ。



2006年05月25日(木)
そう言えば

夕方になって思い出したんですが、今日地球は滅亡するそうです。





……別にとうとうおかしくなったわけではありませんよ。

私も昨日の夜知ったことなのですが、フランスだかの学者? 作家? (放送禁止用語)? だかが、五月二十五日に彗星が大西洋に衝突して、その結果人類は滅びるであろうという予測を出していたんだそうです。実際彗星はけっこう近くに来てるみたいですが、中々滅亡する様子がありませんね。あ、言い忘れてましたがコミスクのレポはまとめて数日中に出します。

思えば1999年の夏、私は大学生でした。その前の年だったかに、同期の子に「地球が滅亡したらどうする〜 何やっても無駄なら遊んどかないと損だよね〜」とちびまる子ちゃんみたいなことを言われ、思わず相手の肩に手を置いて答えてしまったものです。


私:「みーこちゃん(仮名)、知ってる? 1986年だかの10月24日にもね、人類は滅亡する予定だったんだよ」

みーこちゃん:「……」

私:「この日付がすでにギャグなんだけど、言い出したのは韓国の宗教の人で、詐欺で刑務所入ってね。その日になったら教会に信者の人たちが泣きながら集まってきたんだ。で、いざ当日に教会の幹部の人が出てきて言うことにゃ、神様の予定が変わったようです、って」

みーこちゃん:「(目を落としてる)」

私:「あとこれは中世の話。昔は人類滅亡ってか、ノアの大洪水がまた起こりますって話になってたらしいのね。ある貴族、それを信じて自分だけは逃げられる方舟作ってね。当日偶然本当に雨が降り出したもんだから、パニック起こして殺到してきた民衆に踏み潰されて死んじゃったんだってさ」

私:「人類の滅亡予定って昔からすーーごくいっぱいあるの。まあ百歩譲ってその中のどれか一つは当たるとしようよ」

みーこちゃん:「うん……」

私:「だとしても、そういう方々の仲間入りすんの嫌じゃん?



みーこちゃんは納得してくれました。


考えてみれば、いつかどこかで自分が死ぬことを知っている人類からしてみれば、「終末の日」という概念はお馴染みなわけです。日時不明のその予定を待ち続けている人が、ふっとある朝目を覚ましてその寄る辺無さに愕然としたとしても、誰もそれを笑えないのかもしれません。

『永遠に生きるかのように学べ。明日死ぬかのように生きろ』という格言があります。例によって出典は忘れました。そりゃ確かに正論なのですが、それができれば誰も苦労はしません。このテーマは、三度のご飯くらいの頻度と気安さで扱っているのが、一番適当なのかもしれないと思います。






拍手レス

容赦ない友(笑)>

おお久しぶりようこそ! BBMは私はあれから三回見てきたよ。すでに原作文庫もゲット、しかしあれは多分訳者の問題だね。何か文章が薄っぺらい。地の文までああだと「もともと無学なカウボーイの話だから」で片付けるのはよろしくなかろう……。
BBMファンが語りたがりなのは万国共通みたいで、ファンサイトとかを見てみると各人濃くなりすぎてて展開がすごく面白いです。
こことか
もう上映はほぼ終わってるのでDVDが待ち遠しい……。
またいいのがかかったら見に行こうね。次はパイレーツあたりか(笑) それでは!



2006年05月15日(月)
『煉獄(インフェルノ)』 始め

子守唄だった。

女は窓の傍を動かない。ゆえに、女が手にした燭台も動かない。窓の外は天地を水の糸で繋ぎ止めるような容赦のない雨で、子供には『それ』がまったく聞こえなかった。にもかかわらず、子守唄であることを疑ったことはなかった。女が石組みの窓に向かって彼に背を向け、微風に揺れる長い黒髪以外に動くものがなくなっている間も、やがてゆっくりゆっくりとこちらへ体を回し、その紅の唇が開閉しているのを眺めるときも、彼の耳は唄を聞いている。木と金属の擦れあっているような、見たことのない虫が死のうとしているような。果たしてそれを聞いていると表現してもいいものだろうか。頭の中、頭蓋骨の裏側、意識の表皮の内側を這いずっている、それは終わらない血の蠕動だった。



ぎりぎりぎり。ぎりぎりぎりぎりぎりぎり。ぎりぎり。ぎり。



またあるときは、扉の端の黒い鋼鉄の枠に、ずらりと黄色い骨ばった指が並んでいる。外は午後の光の中に、しゃくなげが赤い花を開いている。金色の日光が煙のように広がった灰色の老人の髪をすかし、その女の輪郭を燃え立たせていたが、動くものはやはり一つも見つからなかった。女の円い目がたったひとつ、扉の端にかかるようにして彼を見つけ、それも同じように動かない。母の髪はその息子と同じように濡れ光って黒く、瞳は海の向こうの翠玉のように澄んでいることを、幼いながらによく知っていたが、彼は扉の向こうのそれが母であると考えていた。匂うように温かい大気の中、子供は母と向き合っている。その片方の目は、彼を決して離れない。

彼は幻覚を見る。見えないはずのものを見る。つじつまの合わないことを聞く。偽の記憶を得る。眠っているときもそうでないときも、悪夢は構わず彼をおとずれ、統一のとれた記憶の中に、すすの交じった傷のような、由来のわからない幻を残していった。もうずいぶんと馴染んだものだったので、彼は唯々諾々と幻覚を受けた。黙々と記憶のつじつまを合わせた。教えられて無い記憶の穴を埋め、こまごまと推し量りながら自分の心を作り直していく。それでも彼の目は、耳は、時には肌もが、無表情に彼を裏切った。

ふつうは気が狂う。

彼はこれには素直に首肯する。

自分は気が狂っている。







雷神の日の午後遅く、カァラはマイエラ卿の息子を産んだ。日の数え方は古来よりの慣習であって、雷神の日はカラス麦の日と魚の日の間であるにすぎない。しかし、この時ばかりは神々の父である雷神の威光が、紫色の空いっぱいに荒れ狂っていたという。

下女の出産にすぎないとは言え、生まれてくるのが領主の息子であることは分かりきっていたため、カァラには少なくない数の付き人と医師がつけられていた。しかし、そのうちの幾人かはうずくまってものの役に立たず。残りのものは領主に初めての子が生まれることを、天が憤っているのだと囁き合っていた。

マイエラ卿クレメンテの世が続くことを是とするものはきわめて少なく、言祝ぐものとなると絶無である。大河エイナールの南北に暴威を振るったクレメンテの軍勢の爪跡はこの年まだ生々しく、侍者たちの中にさえそれによって身内を失った者が存在した。クレメンテはそれを知っていた。知っていて愛妾の傍に配した。民の心を縛る恐怖の力を信じていたからである。それは正しかった。そして少しも善くはなかった。

初めての産褥を呪われた薄暗がりの中で迎えながら、カァラは気丈だった。ただ、繰り返し主人の所在を尋ねた。貧しい移民の女である。身内も友人もない、子の父以外にすがるものがなければ当然のことであろうが、彼女にそんな寄る辺なさや弱弱しさは無縁のものだった。侍女を急き立て、医師を叱り飛ばし、彼女が見せようとしていたのは生まれてくる子供以上に、空を裂く白い閃光であったという。

「悪魔だ!」
カァラは叫んだ。
「悪魔だ! 空を見ろ! 空を見ろと伝えろ! 空が吼え猛っている! 大気がのた打ち回っている! 何が生まれるか、何の子供が生まれるか! 天地が呪い狂っている! 悪魔の子が生まれると叫んでいる! 空を見ろ、空を見ろ、空を見ろ!」

……マイエラ卿は閃光のほとばしる空を見ることはなく、生まれた子供を見ようともしなかった。

何故だろう? 妾腹とは言え、彼は領主の初めての息子だった。乱脈をきわめた生活にも関わらず、この子を含めてたった二人の子にしか、領主は恵まれなかったのだ。にも関わらず、彼はその子供たちに、何一つ与えようとはしなかった。武の世界に生きる者が自らの血を継ぐ人間に注ぎこもうとすること、狂気の如し。マイエラ卿はその数少ない例外である。彼の与えるものは、恐ろしい。







これらの二つの物語は、同じ人物によってもたらされた。いつどこでかははっきりしない。彼は私の僚友で、上官となった。その縁も切れてかなり経つ。だから私は自分の語るものが彼についての記憶なのか、自分のまぼろしなのか、今ひとつ分からずにいる。それでも構うまいと思うのは、話そうとしているのが他でもない彼についての思い出だからだろう。その顔を思い出すたび、私は人の皮一枚の下に眠る異郷のことを考える。常にその身を灼く劫火の向こう側から私たちを見ていた、一人の男のことを考える。



2006年05月10日(水)
世界名作劇場「マッチ売りの少女」

「マッチョ……マッチョはいりませんか…?」

おおみそかの近い街角。一人の可愛らしい女の子が、積もる雪で真っ赤になった足を引きずりながらマッチョを売っていました。

たよりなげなおずおずとした足取りのあとについてくるのは、そろいも揃ってブーメランビキニいっちょうのボディビルダー。しずしずと半円形の隊列を組んでは無言で各々ポーズを決め、三角筋を誇示し、テカテカのスキンヘッドの下で磨きぬかれた白い歯を見せて笑います。目が笑ってませんが。

年の瀬の街を急ぐ人々は、女の子のマッチョなんかには目もくれませんでした。っていうか、見なかったふりをしていました。できれば近づくのもいやなので、すごく不自然な軌道で道の反対側を歩いていました。
何せこのクソ寒いのに、女の子の売っているマッチョからはソフトフォーカスでもかけたような白い蒸気が上がっているのです。嗅ぎたくありません。

「あ、あの……マッチョを……」

誰も声をかけてくれないのを見てとった女の子は、ついに勇気をだして、傍を歩く立派な身なりの紳士にすがるように声をかけました。紳士はさっぱり返事したくなかったのですが、周りの人が助けてくれそうにないので諦めて女の子に向き直りました。軸足は後ろです。隙が見え次第スタートダッシュです。

「何かね、可愛いお嬢さん」
「マッチョ……マッチョを一つ買っていただけませんか? あったかいマッチョですよ。すてきな夢が見られると思います……」
「いやべつに見たくないっていうかどう使うんだ? ごめん私が悪かった頼むから答えないでお願い

よそよそしい態度の紳士を見上げながら、女の子の目に途方にくれた涙が溢れました。お父さんに全部売るまで帰ってくるな、と言われ、朝から足を棒のようにして歩き回っているのですが、日が暮れるまでに売切れそうもないのです。つまりいくつかは売れたのです。マッチョなんてそうたくさん買うものではありませんから、というか売れたら大問題ですから、親切な人が女の子を哀れに思ってくれたとしても差し伸べる手にも限界がありました。仏心を起こしたばっかりに、どえらい災難ですね。

メダリスト級のスプリントで遠ざかっていく紳士の後姿を、ため息をついて見送りながら、女の子はそっと胸に冷え切った手を重ねました。

「ああ、こんなときに亡くなったおばあさまがいてくれたら」
……いてくれたらどうなるっていうんでしょうか。

それはさて置き、女の子は可愛がってくれた懐かしいおばあさまの思い出を、冷え切った星空に託しました。翌朝、使ったマッチョに囲まれて安らかな眠りについている女の子を見つけた街の人は、巻き込まれないですんだ安堵の涙を交わしながら、やっぱり近づく度胸が無いので遠巻きに見守っていたのです。


ーーーーーーーーーーー

かるい駄洒落。






拍手レス(間があきました。大変失礼しました…)

うまむーさん>
ご無沙汰しております、カッパの件では大変失礼しました(汗)
大人のチキンハートにグサグサ来るアンパンマンの感動、共感していただけて嬉しいです。のんきに歌詞を読み直していられるのも暢気な立場のゆえですが、お忙しい時間のちょっとした箸休めになれたなら、それもけっこう悪いことではないなと思ったりします。是非「ふふふ……何も知らぬとは幸せなことよ……」と背後でこっそり企みながら歌ってあげてください。
花見弁当はフッツーに、焼き物が二品しか入ってないお弁当が美味しくできあがったのですが、使い捨てカメラで撮ってしまった写真をどうすればいいか分からず、考え込んでおりました。気を取り直したら、UPしようと思います。

mさま>
初めまして、ご訪問ありがとうございます! って全然失礼でないどころか、いつのどんな時でもコメントを寄せていただけるのは無条件で嬉しいので、どうぞご遠慮なさらず……!
改めてアンパンマンパワーの凄さを実感しております。この内容、大人に面と向かって言われたら反発するのは必至なんですが、同じメッセージをするっと心臓近くまで送ってしまう、これが情報媒体としての力、「メディア力」というものなんだなと、変な感心をしています。そして、「日曜日の取引」にもメッセージありがとうございました(笑 こういう座りのいい短編も好きなんですが、思いつきパワー勝負なので、どうしても運任せになるのが問題です。マルチェロは自分のぶんの指輪はどうしたんでしょうねー(笑
それではまたお待ちしております。ありがとうございました!