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ムシトリ日記
加藤夏来
→ご意見・ご指摘等は

2005年08月31日(水)
警句

共に行くものを疑うな。
疑うなら、共に行くな。

(出典不明)



2005年08月06日(土)
遠い日の花火

夏休みの時季です。本日は江戸川区の花火大会でして、最寄の駅ではご両親に手を引かれた可愛い浴衣姿の子供たちをたくさん見ることができました。東京に住むようになって今年で四年目ですが、普段見ることのない江戸の風情にこんな形で触れることができるのは楽しいものです。

昨年は江戸川に連れ立って出かけました。「混むに違いない」という同行者を説き伏せて出たもので、いざ現地について江戸川の河川敷がその程度の人数ではびくともしない広さであると知ったときには、嬉しかったです。花火そのものよりも意表をつかれ、感動したのは、夕闇の濃くなりまさる川面いっぱいに、光の溢れてくる屋形船が浮かんでいる光景でした。

船縁の電飾が江戸川に映っているのを眺めながら、同行者と「あれこそ出世と言うのに違いない」ということで、意見が一致しました。大人になって夏休みの気分からは遠ざかってしまいましたが、時折ふとした瞬間に再会できることがあります。暑くて、茫洋としていて、果てしなく、自由な気分です。大人になって夏の暑さの中にはひっそりと「死」が潜んでいることに気付いてしまった後でも、それが心を安らがせるものであることは変わりありません。

今年、江戸川に花火見物に出かけるのは止しまして、下宿のベランダから公園の暗い森の上に広がる花火を見ました。先年の同行者、男性ですが、この人物と今年は見に行けないのがその理由です。一人で見に行っても構わなかったとは思いますが、すぐにとっちらかってしまう記憶の持ち主ですので、年を越して同じ光景を見てしまったらどちらがどちらか分からなくなってしまう可能性が高いと思い、あえて外出を控えました。

毎年色々な場所で、色々な花が咲きます。同じように見えて、同一のものは一つとしてありません。それを見る人が決して同じ状態でないのと同様、状況は時々刻々と変化し続けているからです。全て覚えているわけには参りませんが、忘れたくないものがあるのも、また確かなことです。

花火の楽しさと同時に、花火の寂しさも豊かな時節になりました。そろそろお盆です。皆様のご予定は、いかがですか。