ひとりごと
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一番乗り 2004年04月30日(金)

4月の最後の日、
この春最初の薔薇が一輪咲いた。

一番乗りはひらひらのペネロープ。
久しぶりの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
ぱっちり見開いた金色の目がまぶしい。


最後のお散歩 2004年04月29日(木)

お隣さんのお引越しの日が近づいている。
夕方、リズちゃんと最後のお散歩をした。
リズちゃんに会いたがっていた妹もやって来て、
お隣さんのお嬢ちゃんと妹、私の3人で緑の爽やかな道を歩いた。

妹にリードの端を持たれ、リズちゃんは先頭を切ってタッタカと歩く。
道順はすべてリズちゃんが知っている。
私たちはリズちゃんの後姿を見ながら、おしゃべりをした。

「こんどこうしてお散歩するときには、リズちゃんはすっかりおとなだね。
ユキちゃんも、もう中学生になっているのね。」
「うん、そうなるのかな?」
「私よりも背が高くなっているかもしれないね〜。」
「そうだね!」
ユキちゃんは私を見上げ、嬉しそうにジャンプした。
5年後、すっかりいいお嬢さんになっているのだろうな。
結んだ髪がぴょんぴょん跳ねるのを、まぶしいような思いで眺めた。

今度、お隣さんたちが住む街は、私が幼い頃を過ごした懐かしい街だ。
ちょうどユキちゃんと同じ年のころに、私はそこを離れた。
そんなことも話した。
明るいきれいないい街だ。
でも、お嬢ちゃんが生まれたころに大きな地震があって、その街も被害を受けた。
私の住んでいた家も幼稚園も、もうなくなってしまった。
新しい街で待っている彼女の友だちにも、そんな経験をしている人がいるのかもしれない。
もうすぐお隣さんが住む懐かしい街、いずれ訪ねてみたい。

今、私たちが住むこの街も、懐かしい街になるのだろう。
青葉が美しい並木道、薔薇が咲きこぼれる庭、優しい人たち。
ユキちゃんは、今日のことを時々は思い出すのだろうか。
リズちゃんは、この街の匂いを覚えているだろうか。

30分ほど歩いて、家の前まで帰りついた。
お嬢ちゃんは、道で遊ぶ友だちの輪にそのまま加わった。
私はインターホンを押して、お隣さんにリズちゃんをお返しした。
リズちゃんはもっと遊びたそうに、ぐるぐると私たちの周りを回っては顔を見上げた。
いつの間にか、近所の人たちが集まってきていた。
いい機会なので、みんなで相談して買ったお餞別の品を渡すことにした。
みんなが見守る中、お隣さんはすぐにそれを開けてくれた。

犬のレリーフがついているフォトフレーム&アルバムと、
リズちゃんと同じシェルティの絵が描かれた大皿と小皿のセット。
お隣さんも、お嬢ちゃんも喜んでくれた。
よかった!
そのまま、妹に頼んで、みんなが集まった記念写真を撮ってもらった。
それぞれのおうちの犬たちも子どもたちも、珍しく勢ぞろいしていた。

こうしてだんだんと別れの準備が進んでいく。
連休明けに小学校の遠足があって、その次の日に行ってしまう。
楽しい思い出をいっぱい持って行ってほしい。
そして、むこうでも楽しい思い出がたくさんできますように。

5年後、新緑のこの道をユキちゃんとリズちゃんとお散歩しよう。


小手毬幻想 2004年04月28日(水)

コデマリと出会ったのは高校1年の春。
出席番号が最後の私の席は、窓側の一番後ろだった。
その窓から中庭に植えられたコデマリのひと枝が
私の目の前に差し出されるようにふっさりと入ってきたのだ。

白い小さいまん丸の花びらが5枚集まって小さい花に。
その梅のような形の小さい花がたくさん集まって小さい手毬に。
そのポンポンみたいな手毬が集まってひと枝に。

かわいい。
きれい。
雪柳のように純白ではないけれど、アンティークのように
ほんのちょっと生成りがかった白が目に優しい。
金色の細い蕊が美しい。
ふんわりほんのり甘い香りがする。
ポンポンと手の上ではずませてみる。
ひんやりして柔らかい。
ノートのすみに、コデマリの花をスケッチしてみたり、
花びらを集めて筆箱に並べてみたり。
訪れた虫たちも、楽しげで小さくてかわいい。
時々テントウムシが教科書の縁を歩いていたりするのだった。

花が終わるとき、まん丸の小さな花びらが机の上にも制服の袖にも
紙ふぶきのように降りかかった。
私はずっと夢を見ているようだった。
コデマリが咲いている間、私はどれだけの先生の話を聞き逃したことか。
花が散り終わり、初夏が来て、私は我に返った。

こんな夢のような春は1度だけだった。
2年になると、教室は2階に変わり、窓からコデマリの枝が入ってくることはなかった。
それでも休み時間には中庭に下りて、コデマリの茂みの間にしゃがみこんでみるのだった。
大好きな花になっていた。

5年前、この家に住み始めてすぐに、コデマリの苗を買い求めて植えた。
私だけのコデマリだ。
いくら眺めても、いくらぼーっとしていてもいい。

この庭では、チューリップと薔薇の季節をつなぐように咲いてくれる。
チューリップのサテンのようなつややかさや、
薔薇のふんわりした花びらの重なりともよく似合う。
きれいで嬉しくて、やっぱりうっとりと夢を見るように時間を過ごしてしまう。
たくさんの白い手毬の中にうずくまり甘い香りに包まれていると
紺色の制服を着ている私に戻ってしまう。
コデマリも私も、あの頃と変わらない。


迷子のととちゃん 2004年04月25日(日)

ネットのセキセイインコのお友だち、
ととちゃんが迷子になってしまった。
その知らせを見て、頭がしびれたようなショックを受けた。

ととちゃんのHPを知ったのは、もう1年以上前。
どうやってたどりついたのだっただろうか?
「とと」と言う名前と、ととちゃんのかわいさに夢中になった。
それからこっそり、毎日更新されるととちゃんの日記を楽しみにしていた。
ご挨拶をしなかったのは、うちのトトがもう死んでしまったインコであり
同じ名前の若いととちゃんに対して、申し訳ないような気がしたからだった。
でもつい先日、やっと思い切ってご挨拶をすることができた。
これからインコのお話をいろいろできるのが嬉しかった。

ととちゃんとトトは似ていた。
体の模様は違うけれど、その出会いや飼い主さんとの暮らし方、
性格やくせまでが、トトと似ていた。
飼い主さんの愛情あふれる日記を読んで、私もトトとの生活をなぞっていた。
幸せな日々が甦るようだった。

そんなととちゃんが逃げてしまった。
飼い主さんはどんなにか悲しみ、心配し、ご自分を責められていることだろう。
ととちゃんは今この時間をどんなふうに過ごしているのだろう。
思うと、私まで胃が痛むようだった。
小鳥が逃げてしまうのは、突然であるだけにショックが大きい。

私も高校生の頃、飼っていたセキセイインコを逃がしたことがあった。
ほんのちょっとした気のゆるみ、ちょっとした不注意だった。
あっと思う間もなく、飛んで行ってしまったのだ。
去っていくインコの後姿を見て、「ウソ…」と思った。

激しい後悔と悲しみ。
ほんの1分前に時間を巻き戻したい!
たった今、ここにいたのに。
ばたばたと部屋を飛び回り、さえずっていたのに!
揺れるカーテンの向こうに飛び立ち、静かな部屋だけが残った。
インコが止まっていた指は、まだその温もりを覚えていた。

我に返って、鳥かごをつかみ、外に飛び出しインコの名を呼んだ。
人目をはばかることもなく、大きな声でインコを呼んで歩き回った。
高い木の上や、家の窓辺や、屋根に小鳥の姿を探した。
スズメの羽音にはっとして振り向いた。
街は広く、空はもっと広く高くて、小さなインコ1羽をやすやすと隠してしまう。
日が暮れ、疲れて家に帰った。
祖母や母、妹たちに慰められた。
後悔と悲しみは消えることもなく、考えれば考えるほど心配になっていくのだった。
カラスや猫に襲われてはいないか、おなかをすかせてはいないか。
どんなに家に帰りたいだろうか…。

でも、そのインコは帰ってきたのだった。
どんなことでもしたい私は、インコが飛び去った窓辺に鳥かごを吊るしておいた。
その扉を開き、えさと新鮮な水をたっぷり入れ、
かごの下にはインコへの、こんな手紙をぶら下げた。
 
 メグちゃん、おかえりなさい。
 空は楽しかった?冒険だったね。
 でも、おうちが一番いいでしょう?
 心配しちゃうから、もうお出かけはしないでね。
 ゆっくりいっぱいごはんを食べてね。

そんな童話のようなことを…と家族は思っていたらしいが、気が済むようにさせてくれた。
私は信じていた。
メグちゃんは、ちょっとお散歩に行っただけだ。
仲間や私のいるこの家に、絶対に帰ってきてくれる。
この手紙を見つけて、窓から入ってきてくれる、と。

2日後の朝、目が覚めてかごの中を覗いても、からっぽだった。
手紙を下げたまま、かごが揺れていた。
「やっぱり…」と言う気持ちと「でもまだこれからきっと」と言う気持ちがあった。
学校へ行く支度をし、階下のダイニングで朝食をすませ、
出かける前に、もう一度、自分の部屋に戻って窓辺のかごを見た。
そうしたら!
紛れもないメグちゃんが、かごの中で夢中になって餌をついばんでいるのだった。
あわてず、そっとかごの扉を閉め、部屋の中に入れた。
夢のようだった。
どんなによく見ても、逃げたあのインコに間違いはないのだった。

「帰ってきたよ!メグちゃんが帰ってきたよ〜!」
と、大声で家族を呼んだ。
みんなびっくりして飛んできた。
まさか、と思ったようだった。
私は安心して嬉しい気持ちで学校に行くことができた。

そんなこともあるのだ。
インコは家に帰りたがっている。
帰ろうとして、その道を探している。
そうでなかったら、どこかの人の家に舞い込んでいるだろう。
ジュジュやピピだって、迷子のインコだった。
手乗りでないこの子たちだって、自分の身を守るために人の手に飛び込んだのだ。
あんなに人懐っこいととちゃんだったら、優しい人のもとに保護されているに違いない。

ととちゃんの飼い主さんは、考えられるすべてのことをしていらっしゃる。
これ以上の手は打てないくらいだ。
ととちゃんを保護している方も、やがてポスターに気がつくだろう。
ととちゃんは優しい飼い主さんのいる居心地のいいおうちにきっと帰ってくる。
嬉しい報告が聞けるのを心待ちにしている。


ととちゃん捜索のページを作りました。
こちらです。
みなさまのご協力をお待ちしています。

かわいいととちゃんとととままさんの「ととにっき」はこちらです。


不良中年 in 渋谷 2004年04月24日(土)

おととしに同窓会で再会してから、
なんやかやと理由をつけては
2、3ヶ月に1度は集まる中学時代の仲間。
今回は、DJと言うかっこいい仕事をしている友人のおかげで
渋谷のクラブ(アクセントはなし、平らに読む)に行くことができた。

いつもの地元の居酒屋ではない。
この私たちが深夜の渋谷にいるのだ。
それだけでドキドキなのに、誰もが初めて行くクラブ。
こんな私でも行っていいのだろうか?
恐くないだろうか?
と、ドキドキする以上に、好奇心と期待でわくわくした。

あぁ、すごかった〜。
同じ踊るお店でも、20年前のディスコとは、全然違うものなんだな。
なんと言うか…すごかった。
でも楽しかった。
傍から見たら、もしかしたら私たちは浮いていたのかもしれないけれど。
(特に、デジカメを握りしめてダンスフロアにいる私)

子どもが大人ぶって、タバコを吸ったりお酒を飲んだり
繁華街に行ったりすると、「不良」と呼ばれたりしたけれど、
大人が若い人の真似をしたって「不良」ではないよね。
なのに、ちょっと「不良」になったような高揚した気分だった。

ハイテンションのまま、明け方のハンバーガーショップで始発を待った。
一晩中起きていて、ぺこぺこになったおなかに
ハンバーガーと温かいカフェラテが、染み入るようにおいしかった。
明るいお店の中で一息ついて、携帯電話の中に入れてある自分の子どもや、
ペットの写真を見せあったりして、みんなで笑った。

「それにしても」と、DJの彼が言った。
「中学生だったオレたちが、中年になって、みんな携帯を持っているなんてな。」
「えぇ〜〜〜っっ!私たちって中年だったの!?」と私。
「そう、調べたんだけれど、30代の後半から中年って言うらしいよ。」
「そうなのか…。それはもう立派な中年ね。」
「自分がオジサンオバサンだって、いつから思った?」
と、そんな話になってきた。

「自分のこと、オジサンだなんて思ってないよ〜。」
「まだオバサンじゃないよ。」
「うん、オジサンに見えないし。」
「そうそう、みんな変わってないし…って思っているのは自分たちだけか?」
「まわりが見たら、しっかりオジサンオバサンなんだろうね。」
「でもまだ若い!こんなに元気だし!」
「ほんと、みんな元気だよな〜。」

店内を見回すと、私たち以外のお客は若い人たちばかりだ。
こんな時間に、若い人たちでお店が賑わっているなんて…。
(そんなふうに考えるのはやっぱりオバサンだからか)
でも、私たちが一番元気なようにも見えた。

あとからどっと疲れが来るのかもしれないけれど、
今はみんな、朝日の中で晴れ晴れとした顔をしているのだった。
中学生のころと同じ顔だ。
みんな、また楽しい場所で会おうね!


ただ今、増築中 2004年04月18日(日)

最初に見たのは数日前だった。
大きくなり始めた薔薇のつぼみを見つめ、
シャッターを切っていると、
すぐそばで「ブン…ブン…」と、途切れ途切れの羽音がした。
見ると、1匹のコアシナガバチが、
メアリーローズの太い茎の上で忙しそうに仕事をしているのだった。

ウッドフェンスに沿わせたメアリーローズ、
そこにどうやら巣を作ろうとしているらしい。
茎からぶら下がるように、小さい土台がもうできていた。
一生懸命に作業をしているハチを見ていると、それを撤去するのも忍びなく、
「薔薇につく害虫を獲ってくれるのだから」と、そのままにしておいた。
先日、巣箱に眠っていたキアシナガバチを、
無理やり引越しさせてしまった罪悪感もちょっぴりあったかもしれない。
それから、見るたびにその巣は大きくなっていった。

この数日、外出続きで庭仕事もろくにできなかったのだけれど
今日はゆっくりと1日庭で過ごすことができた。
コアシナガバチの巣も、じっくりと観察をした。

巣を作っているのは、越冬した女王バチ(お母さんバチ)だ。
たった1匹で巣を作り、卵を産み、家族を増やしていく。
その子どもたちを育てる食料として、薔薇などにつくイモムシ類を狩るのだ。
ガーデナーにとってはありがたい天敵。
大事にしなくては。
巣を壊したり、むやみに刺激したりさえしなければ、
人を攻撃したりすることもない。
ここに巣を作るのだったら、私だけが気をつければいいことだ。
秋になって、みんな巣立っていくまで、ここで薔薇たちを守ってもらおう。

花に水をやったり、写真を撮ったりする私にはかまわずに
お母さんバチは、せっせと部屋を増築していた。
どこかに飛んで行っては、巣材を集め、口から吐き出して
きちんとした六角形の部屋をひとつずつ作っていく。
地道で丁寧な作業だった。
下から覗き込むと、もうできあがっている部屋には
ひとつずつ白い卵が産みつけられているのが見えた。
ここはゆりかごなのだった。

昨日8つあった部屋は、今日は2つ増えて10部屋になっていた。
どこまで増えていくのだろうか。
楽しみなような、こわいような。
そしていつになったら、あの卵から幼虫が孵るのだろうか。
どんなふうに育っていくのだろうか。
わくわくドキドキの日々が始まった。


初モッコウ、初アゲハ、初カマキリ! 2004年04月16日(金)

今朝、黄モッコウバラの最初の花が開いた。
ふわふわのカスタードクリームの
愛らしいお菓子のようだ。
薔薇の季節のスタートだ。

帰り道、初めてのアゲハチョウに出会った。
きりりと美しく、楽しげにすばやく
太陽のほうへ飛んでいった。
この嬉しさ。
やっぱり一番好きな虫かもしれない。

家に帰って、庭に出て。
ブルーベルの葉の上に
小さなカマをふりふり意気揚々と歩く、
赤ちゃんカマキリを見つけた。
いつの間にか生まれていたのだ。
ざわざわと、小さな命で庭は賑やかになっていた。


種が届いた! 2004年04月13日(火)

ふっくらふくらんだ封筒がポストにあった。
ごつごつとした手触り。
振るとさらさらと乾いた音。
お待ちかねの種たちだ。

ホチキスでひとつ、ぱちんと留められた封を開ける。
丁寧にひとつずつ名前が書かれた
小さな紙袋がいくつも出てくる。
「2004年4月春まきパック」の10種類の種たちと
交換会で希望した10種類の種たちと。
並べて名前を見ているだけでわくわくする。

こんな小さな袋に入っている小さな種たちが
それぞれ違った芽を出して、それぞれの大きさに育って
それぞれの花を咲かせて、実をつける。
スタートはみんな同じ、この紙袋から。
まとめて入っていたこの茶色い封筒から。

「たねまきガーデニング倶楽部」に入会して4年。
種が届いたこの瞬間が、いつも一番夢がふくらむのだ。
この夢を本当にしていこう。

心を込めて小さな種をまた蒔こう。
湿った土の中で目を覚ました種たちの緑の芽を見つけよう。
お日さまの下で伸びをする葉っぱにほほえもう。
やがて夏に咲く花々は私を幸せにしてくれるだろう。


心配性 2004年04月12日(月)

心配するって
その人をそれだけ大事に思っているってことなんだな。

心配して心配して
安心したら涙がぽろりとこぼれてきて
存在の重さに気がついた。



春が急いでる

なんて春は急いでいるのだろう。

昨日は土の中にいたはずの芽が
緑の渦巻きになって空へ向かっている。
昨日はいなかった虫たちが
薔薇の新芽をおおっている。
何色なのか忘れていたチューリップが
鮮やかにふくらんでいる。

いえ、一日も待っていない。
さっきまで固かったつぼみが
今はふんわりと花びらを開いて揺れているのだ。

ドキドキと気がせいてしまう。
そんなに急がないで。
春は嬉しいけれど
もっとゆっくり歩いてほしい。

私は足が遅いから、おいていかれそうなのよ。


結婚記念日 2004年04月09日(金)

15年前。
その日もどこかの庭では
こんなに花が咲いていたのだろうか?

あの日私は
青空と桜ばかり
見上げていたような気がする。


さらさらさら… 2004年04月07日(水)

朝から陽射しがいっぱいだった。
シジュウカラの澄んだ声が空に響いていた。
なんて気持ちのいい日!

いつもなら、ガーデナーなら外に飛び出したいこんな日だけれど
今日はおとなしく家の中でチクチク縫い物。
姪たちの入園グッズを仕上げなくては。
明るい外をうらめしく眺めた。
でも、こんな日は、家の中にいるのも素敵なのだった。

好きなピアノ曲が軽やかに流れる。
さらさらと柔らかい風が吹いてレースのカーテンを揺らす。
布や糸の感触も手にさらさらと心地いい。
鳥の声のあとに影が横切る。
こつこつ…とヒマワリの種を割るささやかな音が聞こえる。
顔を上げると白いカーテン越しに
花盛りになり始めた庭が明るく映った。

あぁ、気持ちがいい!
さらさら風に吹かれて眠くなりそう。
ちょっとだけ、お昼寝しようか?
こんなのを「しあわせ」って言うのよね。


桜と水鳥 2004年04月06日(火)

花びらは枝を離れて舞い降りた。
水の中の桜が満開になった。

旅立つ前の水鳥たちが
そのいただきで遊んでいた。
花を楽しんでいた。



トトが咲いた

友だちに「トト」と言う名前の水仙の球根をいただいた。
小さいかわいい球根をトトのブルーガーデンに大切に植えつけた。

そのトトが、今朝咲いた。
光の中で、小さい白い翼をひらりと広げた。
うつむく清楚な姿が愛らしくて嬉しくて、いつまでも見つめていた。
ほら、トトもこんなに嬉しそうだ。


桜散歩 2004年04月01日(木)

久々の庭仕事に励んで、一段落して腰を伸ばした夕方、
フェンスの向こうからお隣さんが声をかけてきた。
「これからリズの散歩に行くのだけれど、ご一緒しない?」
「行く、行く!連れて行って〜。」
私は急いで部屋に戻って手を洗い、デジカメだけ持って外に飛び出した。

子犬のリズちゃんは、最近やっとお散歩を許されるようになったばかりだ。
私はまだ一緒に行ったことがなかった。
もうすっかり私に馴れてくれているリズちゃんは
かわいいピンクのリードをつけて、立ち上がって歓迎してくれた。

仲よしのお隣さん2人と、そのお嬢さんたち2人、
そして私、の5人がリズちゃんのお散歩のお供だ。
はしゃいで跳ね回るリズちゃんに、お嬢さんが嬉しそうに引っ張られる。
お隣さんと話しながらその後姿を見ていたら、お嬢さんが振り返って、
「リズ、引いてみる?」と、私にリードを渡してくれた。
嬉しかった。
犬の散歩は久しぶりだ。

「さすが、慣れているね。上手ね〜。」と、みんなにおだてられながらも
あっちこっちに飛び跳ねる子犬を制するのに真剣だった。
好奇心いっぱいの子犬は、なんでも匂いをかいで、なんでも口に入れようとする。
「ダメ!」とリードを引っ張って叱る。
リズちゃんは、くじける様子もなく、また次のおもしろいものを見つけては目を輝かせていた。
こちらは目が離せない。
気がつくと、4人は先のほうに行っていた。

「おおーい!」と横断歩道の向こうで、お嬢さんたちが手を振る。
後ろに続く桜並木が輝いている。
私もリズちゃんも、早くあそこに行きたくてたまらない。
信号はまだ赤。
私が言ったとおり、ちゃんと立ち止まっているリズちゃんだけれど
しっぽもお尻もうずうずと走りたがっていた。
青になった。
みんなのところに駆けていった。

「桜を見ていこう。」とお隣さんが言った。
並木の桜を見上げながら歩いた。
都心よりちょっと遅めの桜は、もう少しで満開だ。
夕陽にほんのりそまって、暖かい色で揺れていた。
リズちゃんは、道路に落ちている花びらの匂いをひとつひとつ確かめている。
子どもたちは、先に走って行ってしまった。
私たちは、黙って歩いた。
転勤の話は誰もしなかった。

桜並木を往復したあと、「公園の桜も見たいな」とお隣さんが言った。
少し遠回りをして、小さな児童公園の桜の下を歩いた。
日当たりの加減なのか、この桜はまだ五分咲きだった。
線描きのような枝とつぼみの向こうの水色の空に、白い月が見えた。
「きれいね。」
と、道路に立ったまま、みんなでお花見をした。

「やっぱり行っちゃうの?」と、ついに聞いてしまった。
「うん。かもしれない。」と、お隣さん。
しんみりとしてしまった。
「でも、また帰ってくるよ。家があるし、みんなもいるものね。」
お隣さんは、いつもの明るい声で言ってくれた。

来年の桜は別々のところで見るのだろうな。
今日のことを思い出すのだろうな。
そしていつか、何年後か、大きくなった子どもたちとリズちゃんと
ちょっと年をとった私たちとでまたこの桜を見上げられたらいい。


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