間違えたまま
君がデスクの中を整理していた。
引出しの中の雑多なものを見ていると、
たった一人で、真夜中まで仕事をしていた君の
数年間の姿が浮かんだ。
話し相手も、グチを言う同僚もおらず
たった一人で仕事をしている様子が浮かんだ。
君は独り言が少なくなった。
最初聞いたときは驚いたけど
一人呟きながら、深夜まで仕事をしてたんだ。

彼からメールの返事が来た。
とても素っ気無い。
これでいいのかもしれないと思ったり
この素っ気無さは、わざとらしいと思ったり。

激しさのない穏やかな関係を望んで手に入れた。
蜜月はなく、生活と仕事に追われる毎日。

私が恋しいのは、未だに彼だ。
未練を断ち切れなくて、いつまでも追いかけて
いるのは私のほうだ。
断ち切って欲しいと願って、そのとおりになった。

君には軽口をきく。
私の話に大笑いする。

ふとした瞬間
私はどこに行くんだろうと言ってしまう。
もうどこにも行きたくないと言ってしまう。

君は聞こえなかった振りをしたのか
なんて言ったの?と聞き返す。
なんでもない、何も言ってない
私は彼が恋しい。

君がたった一人でやってきたことに対して
感傷的になる。
だけど、恋情からではない。

私は間違ったまま、君と行く。

2004年11月30日(火)

また明日
一気に冬が来たみたいだ。
PCにむかったまま、じっとしている私は寒気がする。
会社中を動き回って、梱包している君は汗ばんでいる。
暖房を止めると、冷気が足元から這い上がってきた。

移転前にしておかなければいけない仕事を
途中までして、保存。
もう1枚のファイルを操作していると、
陰に隠れていた保存したばかりのファイルに異変。
真っ白になった。
消えた瞬間、脱力。

気分転換と身体を温めるため、梱包を手伝う。
消えた2時間は、また明日。
君はいい人だね。
私がミスをしても叱らない。
保存したのに消えたのは納得いかないけど
消えたものはしょうがない。
あまりの寒気に、怒る気力も出なかった。
いつもなら八つ当たりしてるのに。


2004年11月29日(月)

停滞
台風の時のような暴風。
毎日必ず雨が降る。

今回の部屋探しは、今まで以上に手強い。
自分で直接見に行けないし、家賃の上限を
可能な限り上げても、見つからない。

先の見えない人生は、私だけではないけれど
1年単位で生きてこられず、この数年は月単位でも
考えなくなった。
刹那で生きていくなら、せめて部屋くらい
まともなところを選びたい。




2004年11月27日(土)

現実
彼のしたことは、責められない。
私を少しでも落ち着かせようとした、彼なりの精一杯。
過大な期待を抱く、悪い癖がまだ残っていた私のほうが
悪い。

 全部、欲しかった。

 全部、あげたよ

 違うよ、半分だけだよ

 ううん、全部あげてたよ


  ようのために何もかも捨てようと思ったのに。

  いつも、思うだけだったね。

  そうだね、実行できなかった。

決意することと、その決意を実行することは
大きな隔たりがある。

  ほんの好奇心だけど、聞いていい?

  やめたほうがいい。

この答えがすべてを語っていた。
だけど、あえて確かめた。
思ったとおりだった。

  いつもいつも周囲に負けてしまうね

  そうだね…


彼だけを一方的に非難できない。
私を迎えに行こうとしたのに、拒否した。
未練を断ち切って欲しいと伝えた。
歯車が噛み合わないままだった。 

俺たちはどちらかが近づこうとすると
必ずうまくいかなくなる。
だから、少し離れたところにいたほうがうまくいく。

彼の言う全部は、私の望んだ全部ではなかった。
だけど、彼にとっては全部だった。
このずれが、どんどん広がっていった。

私も彼も、大きく包み込んでくれる
大きな翼が欲しい。
同じものを欲するから、お互いの翼になりえない。

順調に進んでいると思ったのに、
彼の実際は、停滞している。
私たちは似たもの同士だ。

2004年11月25日(木)

衝動
会社に行って、昨夜彼に書いたメールの返事を待っていた。
読んだ瞬間に、私は会社を飛び出した。
君は外出中で、私はヤケを起こしてた。
どうにでもなれ、もうどうでもいい。

クローゼットを開けて、やみくもに服をゴミ袋に突っ込んだ。
何もいらない、もう何も持たない
整理しておしまいにしよう
何もかもおしまいにしよう
急に力が抜けて、へたりこんでしまった。

自分がやってることは理不尽でくだらないことで
それでもどうしようもなく
胎児のように身体を丸め 床に横になった。

最後に声を聞こう
彼に電話した。
何もない 空っぽで何もない
訳のわからない私の話を聞いてくれた。

もうね、疲れちゃった。
どこにも行きたくないし 何もしたくないし
なにもほしくない

彼の昼休みを台無しにしたのに、
とにかく夜電話するからそれまで待っててと言われた。

君からの電話が何度も鳴る。
私は君に会いたくない。
固定電話、携帯電話、交互に鳴り続けた。

玄関にチェーンをかけて、布団をかぶって
いつのまにか眠ってしまった。

インターフォンが執拗に鳴る。
君はさすがにチェーンをはずせない。
フラフラとベッドを抜け出し、玄関に行った。

汗ばんだ掌で、私の手を包み込み
一体どうしたんだとまくしたてる。

疲れた、疲れた、もういい

全然訳がわからない
どうしたの?

ゆっくり話をした。

あのね、いないとダメなんだ。
何もしなくていいから
横にいてくれるだけでいいんだ。
だから、そんなこと言わないで。

君はまた東京に行ってしまった。
彼から電話がかかってきた。

私はまだ混乱したままだけど、もう少しだけ
歩くことにした。


2004年11月24日(水)

愛しいストーカー
愛してるよ 今も ずっと愛してる
 だから ね 言って
 言わないの?
 言えるでしょう?

 何?

 言うの 待ってるんだけど

 なんて?

 はい 言って


声に出して 
名前を呼んで 何度も 何度も 
繰り返した頃

幻を見た
私を探しに来たと思った

 そう ずっと探してた
 だから それは 俺だよ

あのとき 探しに行った時も
あの改札で 顔が見えたよ
だから いつもみたいに 笑った
 
私を見つけたら 笑ってと
頼んだことがあった
それを 忘れずにいてくれた

バラバラ 涙が 出てきた
ボロボロ 涙が 零れた

  私を忘れないでほしい

  忘れなくていいの?

会いに行く 会いに来て 

  待ってるのに

  何?

  だから 言って 早く

  愛してる 愛してる 愛してる


 ねぇ?私の日記 持ってる?

 うん 持ってる 最初の日からの 全部持ってるよ
 俺は ようのストーカーだから

 あはは 最高のストーカーだね

 最高なの?
 
 うん 最高   


***  ***  ***  ***

あなたのおかげだと思います。
手を合わせ 黙祷しました。
この数日 あなたを感じました。

2004年11月23日(火)

過敏
昨夜眠りかけた頃、ふと感じるものがあって
目が覚めた。
その直後、突き上げるような波が来た。

開けたくなかった目を無理に開けて、暗闇を凝視した。
だれかいる だれもいない 会いにきてくれたの
そんなことはない

過敏になると、いつも感じないモノを感じる。
悲しい 悲しい 悲しい と呆けたように
呟き続けたせいかもしれない。

ヤマにメールを出した。
最初はオチャラケてテンション高く書いていたのに
気が緩んだ。
今の私は、本当はこうなんだよと、書きたくなった。
で、ダラダラ書いた。

親に移動することを電話した。
 オマエは行く先々で、ろくな目にあわないな・・・
 でも今はどん底だから、これからはよくなるぞ。
 
私は、どん底にいたらしい。
知らなかった。

どん底だと自分が思っても、まだ本当の底は見えてない。
思わなくなって感じなくなった時が、本物かもしれない。
だから、まだ大丈夫だ。

あの目覚めの瞬間も、恐怖は無かった。
過敏になった時の症状だと知っている。


 

2004年11月22日(月)

悲しい
ある男性が亡くなっていた。
私が「嘘」について、ちょうど1年前に別の場所で書いた時
コメントをくれたSさん。
私は彼に嘘をつき、Sさんは付き合っていた女性から
嘘をつかれ続けていた、正反対の立場だった。
それなのに、Sさんは私に礼儀正しいコメントをくれた。
スポーツマンで海を愛していた様子が、Sさんの日記の
あちこちにあった。

私が「嘘」について書いた頃、ちょうど退院直後だった
ようだ。
Sさんの日記を最初から全部読んで、どんな気持ちで
私の日記に感想を書いてくれたのかと、考え込んだ。

1年前の一途さや、真摯な気持ちが薄れ、
元々猜疑心の塊だった私に、最近では拍車がかかっている。
だから、近親者だと名乗る人の最期の知らせを読んで
私は簡単に信じられなかった。

ネット上には、日記風の私小説や釣りのサイトがあること。
違法サイトだけでなく、愉快犯的なサイトがある。
そんなことをあれこれ考えて、Sさんの死を
受け入れられなかった。

だけど、Sさんが途切れ途切れに書いていたものは
作り話だと思わない。
何年もの間、Sさんと婚約しながら、既婚男性と
隠れて付き合い、別れたと言っては、嘘を重ねた彼女。
Sさんを精神的に殺した。
嘘をつくなら墓場まで持っていけ。
自分が苦しいからといって、ついた嘘をバラすな。

きっといいことあるよ
自分に言い聞かせ、なんとか現実の世界に戻ろうとする。
そして、また狂気の世界へ戻る。
Sさんは死を望み続けた。
自殺未遂を繰り返し、そのたびに監視の目がきつくなった。

Sさんは遂に逝ってしまった。

悲しい
日記を閉じたあと、何度も呟いた。
何が悲しいのかわからない。
涙は出ない。
Sさんの望みが叶ったのに、悲しかった。

数年前のクリスマスイブに、無理心中をして
自分だけ逝ってしまった友人を思い出した。
彼女の死に顔が目に焼き付いて離れない。
安らかな死に顔ではなかった。
10年前、狂気の宿った目で私を覗き込み
数時間後に車に飛び込んだ知り合いの目が甦る。

生は悲しい 死もまた悲しい。



2004年11月21日(日)

意に反して
君が新しく借りる会社内の配置図を作っていた。
私は、いつも紙に書く。
昔は方眼紙に几帳面に書いていた。
君がイラストレータで作るのを見て、ああそうだった。
そのほうが手っ取り早いし正確だ。

二人で部屋や会社の間取り図を見ていたとき
何枚も笑えるものがあった。
 この部屋、どうやって入るんだろ?
玄関がない、トイレに入るドアがない。
いい加減なものがけっこうあった。

私はまた、持っている家具の大きさを測り直した。
何度も測っているのに、そのたびにメモを取るのに
そのメモは、いつもどこかに捨ててしまった。

子供の頃、一人で旅行の支度をした。
一週間前から準備して、忘れ物がないか何度も出して
また詰めた。
回数を重ねて、今では前日の夜まで用意しなくなった。
旅行慣れではないけれど、引っ越し慣れもしたようだ。
君は諸手続きを書き出したほうがいいと言う。
役所、郵便局、銀行、ガス、水道、電気、NTT。
こんなことをソラで言えるようになるなんてね。
とりあえず、もっと詳しく手帳に書き出した。

もうすぐ、また忙しくなる。
いつまで続くのかと、溜め息が出る。
君は着々と準備を進めている。
本当は、私はじっとしてるのが好きなのに。






2004年11月20日(土)

ワクワクの街
住まいになる地域の情報がほしくて、まちBBSを見た。
マイナス面ばかりに偏っていて、暗い気分になった。
大手小町を見た。
女性が様々な角度から発言している。
マイナス面、プラス面もほぼ同量。
私が出した結論は、活気があって楽しめそうな地域だ。
君に頼らなくても、自転車であちこち行ける。

空気が悪いとか、水が不味いなんてどうってことない。
幸い私は花粉症じゃないし、水は今でも浄水器を使ってる。
通学路や進学の心配をしなければいけない子供もいない。
住まいの周囲に学校や児童公園があれば、騒がしいので
私にとって悪条件。

街の様子を撮った航空写真を見た。
林立する高層ビルを眺めると、それだけでワクワクする。
コンクリートジャングルに、ヒートアイランド現象、
晴れていても灰色の空。
そんなものは、とうの昔から知っている。

ヤマからメールが来た。
住むだけで高額な家賃になるのを、私が嘆いて
ゴージャスライフを送るのは、永久にない…らしい。
と、送った返事。
 諦めるな!
 諦めたらそこで止まってしまうんだよ。
 望み続けることは大切なことだよ。
ホントにいつものことだけど、気持ちを引き立ててくれる。

私が、
 大金持ちのパトロン紹介してちょーだい
と書いたのには、
  ヤマに宝くじが当たることを祈っていて下さい。
と、ちょっとばかり他力本願だったけど。
それでも、気にかけてくれる様子が嬉しい。
  
  


2004年11月19日(金)

何を捨てようか
ここに来た時、空間に驚いた。
一人で暮らすと思ってなかったが、それでも
大きく広く嬉しかった。
一つ前の部屋に行く時、洋服箪笥二棹、和箪笥一棹
ドレッサーを処分した。
ここに来る時は、処分する必要は全くなかった。
ベッドだけ置いている部屋の大きなクローゼットは、
まだゆとりがある。

今まで何度も移転したが、女が一人で動くのは
実はとても難しい。
母子家庭なら公営住宅に入居できる。
女一人は申し込みはできても、入居の可能性はゼロ。
保証人は近親者、それも収入のある男性が基本だ。
そして在職証明。
君はこの問題を簡単に解決してくれた。

親が高齢だと、審査は難しい。
運のいいことに、私の親は現役で仕事をし、雇用される
側ではなかった。
だから、一つ前の部屋を探すとき、親のことを口にした
だけで不動産会社の態度が好意的に変わった。
君と行かないなら、私はまた親に頭を下げなければならない。
そして私は、そのつもりがない。

君と行くことにした。
悪い方向に思考を傾けず、楽しもう。
処分しようがないほどモノを持たない私だったのに
君の希望で大型テレビを購入した。
だけど見つけた部屋は、今の半分以下の空間。
そして、ひとつ前の部屋より狭い。
さぁ、今度は何を捨てようか。


2004年11月17日(水)

この先もこのままならば
私の気持ちは、ほとんど固まっている。
だけど、何故決められないかを君に話した。
君は今もこれからも会社に寝泊りする。
多忙な時はもちろん、仕事がなければないで会社に
ずっといる。

こんな男性に恋人であれ、妻であれ、その女性たちに
姿は見えない。
恋人であれば、過ごすのは数時間。
妻ならば、寝ている姿だけを見て、生活費を運んでくれる存在。
長年連れ添った夫婦なら、お互いに干渉しなくなるけれど
生身の人としての君を感じなくなる。

私が彼ではなく、君を選んだのは、しゃべる相手もなく
PCデスクに夕食を乗せ、モニターを見ながら食事する
ことに倦んだからだ。

だけど今、仕事を終えてから食事を作る気力は残っていない。
君は深夜過ぎまで、仕事を続け、まともな食事を摂らない。
君はこの先も病気や不慮の事故以外では、
このままの状態を続けるだろう。

私には休日があるけれど、君に休日の概念はなさそうだ。
君と出会う前と同様、私は一人で休日を過ごし、
どこにも行けず部屋にいる。

続けて2日休みを取れない仕事をして、人並みの給与を
貰っていた時期、私は空しくなった。
休日は、普段できない洗濯や掃除、食糧の買出しで
一日が終わった。
お金が無ければ飢えてしまうけど、あの当時の私は
生きているだけだった。
彼に会えるとは限らない。
会っても翌日の仕事が頭から離れない。


君と出会って夢を見た。
一緒に食事しようね。
一緒に出かけようね。
連休できる仕事をすればいい。
旅行に行こう。
大きな部屋だから、何も捨てずに持ってくればいい。

夢と現実は違う。
一緒に食事するということは、私が作るものを食べると
いうことで、一緒に出かけた休日は数回で、
私の休日は、やはり一人でいることだった。
旅行に行くことは忘れてしまった。
君と行くならば、今まで暮らした中で一番狭い部屋に
一人で住むことになる。
この先このままの状態が続くならば
また、生きているだけだと思いはじめている。

2004年11月16日(火)

次の場所は
フミンになろうか、トミンになろうか迷っている。
今日、久しぶりに君に話をした。
会社の移転と抱えている仕事で頭が一杯の君。
不動産会社に電話して、内見の約束をしていた。
そこには私の部屋については、一切含まれていない。
金曜から一人であれこれ探していた。
私だけが暮らす部屋だから、自分で探せということだった。
そして、事務所の移転には私がもれなくついていくものだと
決めている。
バカバカしくなった。
第二の選択肢があることをわかっていない。

フミンだった頃、部屋から街の中心部まで15分だった。
何でもある街は、何でも手に入る街と同じ意味ではない。
休みたければ、テラスカフェ。
服を見たければ、多種多様なショップ。
食事をしたければ、ホテルの最上階から出前まで、
和洋中を問わず揃っている。
ビデオを見たければ徒歩5分で借りられ、
美術館も図書館もすぐに行ける。
だけど、それはゆとりがあってこそ手に入るもの。
目の前にあるのに届かない。
無関係の世界でしかない。

トミンになれば、その数十倍の無縁の世界が
目の前に広がる。
そして手が届かない現実に、また打ちのめされる。
そして両方にあるのは、一歩横道に逸れると
オモテの健全な煌びやかさとは違った、汚濁や
退廃的な世界がある。
どうせ横目で見て通るだけなら、見知った場所がいい。

君が言う。

 戻ってどうするの?

私が答える。

 どうもしない。

この数年の目まぐるしさに疲れた。
私自身に起こった出来事、行く先々で遭遇する天変地異。
都会にいても、田舎にいても神経が休まったことはない。
穏やかに朗らかに元気に笑う。
君が望んだ姿を見せる時間が少ない。
君に嫌味を言ったり、辛辣になったりしている自分が
イヤでたまらない。
生きることに疲れた。

脈絡のない私の話をじっと聞いていた。

 どっちにするかじっくり考えたほうがいい。

そう言った後、君は電話をかけた。

 住居を探してください。

送られてきたファックスを二人で検討しているうちに
気が晴れてきた。

 ここも見てくるからね。

ここに来て、また1年足らずで、次の場所へ行く。

2004年11月15日(月)

うんざり
候補の街の様子を調べた。
危なそうな界隈があちこちにある。
夜中過ぎまで仕事をすると、帰りが心配。
知った街なら避けて通れるけど、全くわからない。
どうしてこう、何度も何度も引っ越さなければ
ならないんだろう。
ここにはいたくない。
だけど、また荷造りするのもうんざりだ。
年に1度の割合で、何度移動しただろうか。
夢や希望があっての移動じゃない。
知れば知るほどやる気が出ない。


2004年11月14日(日)

的外れ
入浴中に電話の音。
出られないときは、いつも何度鳴るか数えるのが癖。
携帯にも着信履歴、そしてメール。
こんなくどいことをするのは、誰だか決まっている。
メールを読むと意味不明な日本語。
これじゃあ、サポセンにメールできないわけだ。
前にPCメールに来た時も、こう言いたかったんだろと
拡大解釈しないといけない内容。

仕方なくこちらから電話する。
長話をされるのはイヤだったけど覚悟する。
だけど、今回は明るく取り繕えないので
そのまんまの様子をお届けした。
困惑した彼女は、言えば言うほど的外れになっていく。
助け舟を出すと、
 今月も来月も予定が詰まっていて忙しいのよ
 でもね、いつでも帰ってらっしゃいな

遠慮しますと言いたかった。
言うと二度と立ち直れなくなるらしい。
落ち込んで鬱になるらしい。
適当に返事をしてたが、だんだんイヤになってきた。
指摘するとどうなるかわからないので、黙り込んでみた。
すると、泣き出した。
 元気出して、ね?何もしてあげられないけど
 頑張ってね?

悪気が無いだけに返って持て余す。
泣きたい状態なのは、こっちのほうだと
言えばよかったかな。
的外れな慰めや、励ましをたくさんくれた。
とりあえずありがとう。




2004年11月13日(土)

眠らせて
彼からのおはようメールは来なかった。
私もそれほど期待していなかった。
PCを起動してるのに、携帯からメールしていた。
それが億劫だった。
どうしてPCからメールしないのかわからない。
携帯の小さな画面を見つめて言葉を捜すのに疲れた。

君から電話があった。
会社に戻っていた。
私の声が聞き取れないと、むっとした声を出す。
こんなふうに、なりたくてなったんじゃない。
お帰りなさい、お疲れさま。
元気な明るい声を求められても無理だ。

昨夜の辛辣なメールを彼に詫びた。
すぐに返事が来た。
でも続けられない。
何を書けばいいかわからない。
携帯の画面を見つめて指が動かない。

君が部屋に来た。
来て欲しいと言ったけど、来ると早く帰ってくれないかと
勝手なことを思った。

彼へのメール、君への言い訳。
眠りたい、眠らせて。

彼からのメールは終わり、君は行った。

2004年11月12日(金)

辛辣
毎朝、彼からメールが届く。
返事をして、途切れさせるのは私。
ゆっくり仕事をしてるから、いつでもくれていいと
言われたけれど、私から送らなくなる。

以前と同じように、彼はまだ仕事をしている。
彼だけじゃない。
ヤマもそうだし、君もそうだ。
私が知り合う男たちは、皆そうだった。

モニターの向こうに貴方がいる。
小奇麗に言うとそうなるが、夜中まで仕事をしているから
途切れ途切れの返事を待っているだけのこと。
 
 一人Hしてる?

くだらない問いかけに、返事をする。

 現実逃避には、ちょうどいいかもね

もう一度似たようなことを書いてくる。

 悪いんだけど、エロ話に合わせてる気分じゃない。
 中途半端に乗ってごめんね

熱があり頭痛がし、吐き気を堪えていると書いた
返事がこんな展開になる。
励ましたかったらしいけど、間違ってるよ。

 稼がないとね
 
 男は皆、似たようなことを言うね
 稼いでも使うヒマなんてないよね

私は辛辣に返した。
そう、夜半まで働いて、満足に食べず、
家に帰ると倒れこむように眠る毎日。
私も経験済みだけど、こんな人生のために
何の疑問もなく仕事を続ける男たち。

ねえ、なんのために生きてるの?



君から電話があった。

 もう身体、治ったろ

どうしてそんなに簡単に決め付けるの。
声が出ないのに、何度も聞き返す。
大きな声を無理やり出すと、腹が立ってきた。
私の神経を逆撫でするのが、みんな上手だね。

2004年11月11日(木)

どちらを選んでも
ヤマと彼からメール。
交互に来るメールに返事を続ける。
二人から来るメールは対照的だし、私から送るものも
全く違う。
陰と陽、軽と重、長と短。
二人に共通しているのは、私の身を案じてくれている部分。

肝心の君からは、全く連絡が無い。
だけど全然気にならない。
いつも一緒にいる君が、なぜか希薄な存在だ。
私をまるごと受け入れてくれたのは、君だけだった。
それなのにね。
以前、ある男性から頂いたメッセージを思い出した。
 私なら愛されるより、愛するほうを選びます。

愛することを選んで裏切られ、ガリガリに痩せ細り
病気になっていることも気づかずにいたあの頃。
愛されることを選んで、不健康に体重が増え
我儘放題になり、軽い病気なのに自覚症状が大きい今。
どちらにしても、情けない状態。




2004年11月10日(水)

行き着く先は
  私も一緒に行く

  行ってどうするの?

 行ったら……新幹線に乗れる……

  泊まるところ、ないでしょ?

 ビジネスホテルに泊まる

留守にしてる間、ちゃんと出てきてね

できない 一人でここにいられない

みんないるから ここのほうが安心でしょう?

いやだ 部屋にいたい


君は行ってしまった。
昨夜遅くまで調べたことを、君は確かめに行った。
私にも調べるように言っていた。
知り合いに尋ねるというと、イヤな顔をした。
 ネットで調べたことにすればいい。
彼が協力してくれると言った時、こう言ったのを思い出した。

部屋に戻って、すぐにヤマにメール。
県民生活は充分満喫したので、今度は都民になります。
あっという間に返事が来た。
4つほど教えてくれた。
どれもこれも目の保養になった。
でも現実的じゃない。
ヤマは、私を笑わそうと

 これからは、ちょくちょくデートできるねー。
 イイぞ!

と書いてくれた。
デートはさておき、また少し明るくなれた。

ハイテンションメールを書けるようになったのは
彼のおかげ。
おはようのメールを送ってくれた。

君は、今日も
 変だよ、静か過ぎるよ
と、言ったけど、普通の声がまだ出せないんだよ。
ほんの少し、頭が動くようになって
ほんの少し、仕事することができた。

本当は昨日、胃薬と一緒に処方されたもう一つの
薬を探した。
出された時は、そんなものを飲まなければいけない
自分がイヤで、反対に神経が昂ぶり、腸炎を起こした。
2日だけ飲んで、ゴミ箱に捨てたんだった。
だけど、捨てたことを忘れて
飲んで楽になるならと探した。
胃薬だけで爆睡できた私には、不要だったけど。

本当は、彼のところに戻りたいと言いかけた。
それを捻じ曲げて、聞こえのいいように帰りたいと言った。

 まだ帰りたいの?

不安そうに君は聞いた。

 前は8ヵ月後に帰ったから。
 伯母の法要もあるし。

 一時帰省ってことか。

 そういうことね。。

修復不能な本音を漏らすことは、狡い私にはできない。

2004年11月09日(火)

彼との時間
名前だけ書いたメールを送った。
すぐの返事を期待せず、携帯の電源を落として眠った。

硬直するようになった身体は、震えが来るようになった。
ガタガタ震えて、涙が出てくる。
悲しいから、嬉しいから泣くことはあっても
こんなふうに涙が止まらないのは初めてだ。
机にしがみついて、震えながら声が出ない。
また耐えられなくなって吐いた。

胃薬を久しぶりに飲んだ。
自分で調節しながら、徐々に減らしていけばいいと
言われていた。
元々、薬嫌いの私はすぐに飲まなくなっていた。
飲んで眠るつもりで、部屋に帰った。
パソコンに来ていた彼からのメールに返事する。
 ごめんなさい ごめんなさい
他に何も浮かばない。

勝手な私は、メールの受信音に飛び上がりたくなくて
電源を切った携帯を握り締め眠った。
2時間ほどで目が覚めた。
すぐに電源を入れる。
数往復のメールをやり取りし、彼から電話をしようかと
言われた。

君に電話を入れた。
今日は来ないでほしいと。
突然、鍵を開けて入って来る音に飛び上がってしまうからと。
もう、眠りたいからと。

彼の声は優しかった。
素っ気無くもなく、投げやりな話し方でもなかった。
 まともに話せなくなった。
 言葉がすぐに出てこない。

最初は浮かんだ言葉を並べていた。
彼はあの日、私の名前を探したそうだ。
そして、今の状態をわからないながら
優しい言葉ばかりをくれた。

君が優しくないわけじゃない。
何度も大丈夫?と聞いてくれる。
なのに返事できないのは、目の前の私を見ながら
そんなことを聞かないとわからないのという反抗心。

彼と話しているうちに、仕事のことになった。
 それなら俺の専門分野だから、よかったら協力するよ。
彼の専門だと前からわかっていたけど
こう言ってくれるのがわかっていたから、言えなかった。
君に説明するのに時間がかかることも
こんな場合は、彼ならすぐに答えてくれる。

話しているとだんだん落ち着いてきて
言葉が出るようになって、いつのまにか笑っていた。
 今度そっちに仕事があったら行くから。
彼は遠回しに再会を仄めかし、私も笑って頷いた。

  ありがとう ありがとう
  久しぶりに笑ったよ

  こんなのでよかったら、毎朝おはようのメールを
  送ってあげる。

  ありがとう ごめんなさい

小さな声しか出せなかったけれど
ありがとうとごめんなさいを繰り返した。
突然、私が悲鳴を上げる。

 どんなに怖いのか、伝わってきたよ
 今、リアルで共有した。
 
欲しかった言葉を全てくれた。
君が何度も大丈夫と言ってくれるのに。
私は君の言葉を信じない。
疲れてるから休んでいていいよ。
君は気遣ってくれるのに、受け入れられない。
もし、彼が目の前にいたら、君と同じように言うはずなのに。
私はおかしい。
だけど、彼からの言葉で落ち着いた。
厚かましい女だと思う。
図々しい女だと思う。
だけど、少し安心した。

2004年11月08日(月)

お願いだから
彼氏とうまくいってる?

答えられない。
答えたくない。

どうしてそんなことを聞くの?
うまくいってると答えれば、安心する?傷つく?
うまくいってないと答えれば、悲しい?それとも安心する?

私は聞きたくない。
彼がどうしてるのかだけ聞きたい。

君が言う。
 愛してる、わかってるの?
まるでわかってほしいと言ってるように聞こえた。
そして、私は返事できない。
名前を何度も呼んで、愛してると繰り返したことが
甦ってくる。

彼に電話しようと思った。
素っ気無い感情のこもらない話し方を聞けば
私の中で膨らんだ、美化された彼が消えてくれるかもしれない。
だけど、できなかった。
彼に電話して、話を聞いてもらっても
彼には理解できない。
君に訴えてもわからないことなのに。

テレビを見ていて、突然鳴る効果音に飛び上がる。
鼓動が早くなる。
一人で堪えて、飛び跳ねた心臓が静まるのを待つ。
車のバックファイアの音に飛び上がる。
早くなった鼓動が治まらない。
胸を抑えて、静まるのをじっと待つ。

私をここから連れ出してほしい。
私を迎えに来てほしい。
 もう怖くないから、大丈夫だから安心して
と、言ってほしい。

何もかも忘れてしまいたい。
嫌悪も恐怖も孤独も不安も、なかったことにしたい。
ねぇ、お願いだから、返事して。




2004年11月07日(日)

無気力
友達と話していて「傾倒」「心酔」の言葉が浮かんだ。
彼女の話す人物について、私が知らないのが不思議らしい。
ネットで調べたらすぐにわかるからと言われたが
聞いたばかりの名前は覚えていない。
東洋医学と西洋医学の違いについて始まった話だった。

元気で明るく話す様子は嬉しかったが
彼女の話題に、ついていけなかった。
何かを無心に信じられることが良いことなのか
悪いことなのかわからないけれど、彼女自身には
プラスになっているようだ。

何かを誰かを、一点の曇りも無く信じる心。
私には欠けている。
生き方の違い、経験したことの違いから生じる落差。
活き活きと話す彼女に、思考がついていかず
曖昧な相槌しか打てなかった。

何より情けなかったのは、言葉が浮かばず
声が出なかったこと。
最近、ここに何かを書いても支離滅裂だし
話すと失語症みたいだ。
細切れの単語しか浮かばなくなった。

君は、東京に行こう。
行けるように二人で頑張ろうと言う。
私は、頑張ってねと返事する。
今の状態はよくないけれど
現状を打破する気力もモチベーションも沸いてこない。



2004年11月06日(土)

懐かしい声
幼い頃から、お世話になっている人から電話があった。
孫がラグビーの名門校に進学したと、とても喜んでいた。
この子は、生まれたときから知っている。
小さい頃からとても綺麗な子で、物静かでおとなしく
子供モデルをしていた。
そんな子が、ある武道の全国大会で優勝した時は驚いた。
そして今度はラグビー。

明るい話題を聞いて、気持ちが和んだ。
そして小母さんは、私を心配してくれていた。
また、帰りたくなってきた。
会いたい人が多く暮らす場所。
もう少し、落ち着いたら帰りたい。
今度帰る時は、みんなに会いたい。

***  ***  ***  ***

君は空回りしているみたいだ。
同じ場所で仕事をしていると、いい面も悪い面も
見てしまう。
私は優しい言葉をかけるより先に
どこがいけないかを指摘してしまう。
言った後、言わなければよかったと思い
もっと言い方があるだろうと思う。
なのにすぐにできない。
私も空回りしている。







2004年11月05日(金)

欲するもの
逢いたい 逢いたい 逢いたい
恋しい 恋しい 恋しい
衝動的に飛び出したくなる

誰が恋しいのかわからない
自分の中で作り上げた存在

現実には無いものを求める

悪意と善意がごちゃまぜになる
外の世界も内の世界も

私は何が欲しいのかわからない


2004年11月04日(木)

ちぐはぐ
携帯電話は無料か、限りなく無料に近いものを探すのに
それに付けるストラップは、エルメス。

食糧は近所の激安セルフスーパーで購入するのに
出来上がった料理を盛り付けるのは、ロイヤルコペン。

ランジェリーと呼びたくないほど素っ気無い下着は
通販で大量買いするのに、ジャケットはアルマーニ。

テーブルに飾る花は造花なのに、その横にあるのは
ガレのランプ。


腕時計の話になると、貴女は自分のカルティエの
修理代の話をしだしたね。

困ったことがあったらなんでも言ってねと
言いながら、延々と自分の困ってる話をしだしたね。

ちぐはぐな生活。
ほんと、貴女はちぐはぐな人だ。

私は困ってても、貴女には何も求めないよ。
一つお願いするなら。
私からかけた電話で、長話をするのは止めて。

根っからのお嬢様だから、憎めない人だけど
疲れている私に、弁護士の悪口や、ゴルフ場での
人間関係を披露されても、癒しにならないから。

2004年11月02日(火)

効果があるのは
コーヒー豆が届いていた。

 いつもどれを飲んでたっけ?

 モカだよ

私はモカが好き。
その次は、苦味の多いキリマンジャロ。
ブルマンは酸味が強くて苦手。

 いつものと違うのにしようよ

 それでもいいよ

君が何を注文するか興味があった。
だから届くまで、何を頼んだか聞かなかった。  

 デスクに置いておくからね

デスクにあったのは、キリマンだった。
嬉しかった。

台無しになったバースディディナーの代わりかな。
あの日、前菜とワインで終わってしまったけど
また予約するからねと言ってくれた。

少しづつ落ち着いてきた。
だけど思考力低下、注意力散漫。
仕事中、終えた作業を覚えていない。
きちんと話してるつもりが、支離滅裂。
少しでも動揺すると、デスクにしがみついてしまう。
以前目にした光景が重なる。
もう少し時間がかかるかもしれない。

 不安感はありますか?
 眠れますか?

問われると、どうなのかわからない。

 様子を見て、生検しましょう。
 薬はいりますか?

薬は嫌いだと答えた。

処方薬より、君から貰ったコーヒー豆のほうが私は嬉しい。

2004年11月01日(月)

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