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はぐれメタル(長髪) - 2011年09月16日(金)

僕の人生には「メタル音楽好きな知人」というのが定期的に登場する。

最初に出会ったのは中学のころ。アイアンメイデンが好きな同級生がいて、僕が好きだったフリッパーズギターの「クールなスパイでぶっ飛ばせ」を聴いた感想が「ギターソロが遅い!」だった。

※小沢二のギターカッティングって遠藤賢司のギター1本勝負のレベルで早いと思うのであるが・・・

次に出会ったのは高校生のころ。伝統的にわが校の視聴覚委員会はメタル好きばかりが所属していてメタリカがお昼の校内放送で爆音で流れていた。そしてその人たちはいらないといっているのに僕の誕生日にはゴットハードとかインペリテリのテープを大量によこすのである。こういう人たちは「布教」ってのを行うからやっかいだ。卒業までに30本以上のテープをなんやかんやの理由で貰った。

大学から社会人になるころが1番酷くて筋肉少女帯からレーサーXまでいろいろなメタル音楽好きが僕の家に遊びに来ては爆音で一晩中騒いでいた。隣や下の階の人からよく怒られたものだ。エアギターってのが流行る前からみんなあの動きをしていたので麻薬やってるノリぴーのクラブ映像くらいにはテンション高かったと思う。

自分はメタル文化というのは全くなじめなかったが今でも千葉テレビや神奈川テレビでメタルのPVが流れているのをみると、上に挙げた友人たちのことを思い出してちょっとセンチになる。スタイルのダサさとか音の悪さとかチープさが思い出の甘酸っぱさを増幅させる。

この前、当時の友人の1人に総武線の車内で偶然出会った。
色々話題は弾んだが当時彼が好きだったメタル音楽ことに話が及ぶと「俺ってすごいギター練習して早弾きができるようになったけど、実はギターって早く弾いてもあんまり意味が無いことに気がついた」と元も子もないことを言うのでウーロン茶を吹き出してしまった。それは言うな。

でもやっぱり僕は黒人音楽の方が圧倒的に好きだったのでメタル音楽は全く趣味が合わなかったし、聴かされても「技術はあるけれどもつまらない音楽」だとずっと思っていた。「上手なのにつまらない音楽」ってのは結構ややこしい。聴いていると疲れてしまうのだ。「下手だからつまらない」よりも病根が深い気がする。

そして「上手だけどつまらない」ってのは音楽以外でも良くある。例えば「キッチリした文章を書くんだけど内容がつまらない」とか「すごい美人なんだけど色気がない」とかそういう事って多い。

昔から僕は「下手くそだけど面白い音楽」とか「ブサイクだけど色気がある女性」とか「汚いけどお酒が美味しい飲み屋」とかに萌え続けてきたのでやっぱりメタルとは合わないよなーと思う。そして僕が浦沢直樹の漫画を苦手な理由は「うまいけどつまらない」ってことなんだなと再認識。にんにん。


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