VITA HOMOSEXUALIS
DiaryINDEXpastfuture


2016年06月29日(水) オトコのカラダ

 逞しい青年に射精させてもらって、若い時分に染まっていた同性愛の性向に再び火がついてしまったが、性的なサービスをする人をカネで買ったという記憶は後悔のようなものになって残った。

 そこで私が選んだのは同性愛の掲示板サイトを見ることだった。そこに投稿したこともあれば、投稿されているものに返信したこともあった。投稿するとスパムメールがたくさん来るようになったが、それは仕方ないと思った。自分で投稿するよりも誰かの投稿に返信する方が返事はもらえた。しかし、多くの場合、相手が送ってくるメールは短く、数通のやりとりで自然に消えた。ある人とは比較的長い間続いたが、その人には別に好きな人がいて、いつもその話ばかり書いてくるのでだんだん腹が立ち、気まずい幕切れとなった。

 ときには実際に会ってみることもあった。会っても多くの場合は喫茶店で話をしたり食事を一緒に取ったり、少し酒を飲んだりして終わることが多かった。だが何人かの人とはラブホテルなどに行って体の関係を持った。昔はそういう相手を年上と見ていたが、今はだいたい同年配か、相手の方が年下なのであった。

 そんな一人は大阪に住んでいて、私は大阪に出張があったので会うことにした。高校の教師をしているというその人は小柄できちんとした身なりをし、言葉遣いも丁寧にしゃべった。

 「生徒に感じたりすることはないのですか?」と私は聞いてみた。

 「そこはしっかり自制しています。言わば商売の種ですから、そんな気は微塵も起きません」とその人は答えた。

 ホテルに行ってシャワーを浴びた。別々に浴びたが、シャワールームから出てきた彼はすでに勃起していた。

 「あまり経験はないのです。これから何が起こるかと考えると興奮して」と彼は赤くなった。

 私は彼の後ろにまわり、後ろから肩を抱き寄せた。これは私が若い時に教えてもらった方法だった。正面を向いて抱擁するとどうしても抵抗が生じる。どうにかすると格闘技のように見える。後ろからだとすんなり抱ける。そうして相手の体を少し反らせるようにすると、抵抗する力は入らない。

 私は肩を抱いた手を乳首の方におろした。少し乳首をいじっているとそれは硬くなり、彼は熱い息を漏らした。私も彼の首筋に後ろからそっと息を吹きかけた。私は手を彼のペニスに届かせた。それは硬く反り返って先端から粘液を出していた。私はその粘液を彼の腰や股に塗った。実は私もすでに勃起して粘液が漏れていた。

 自制するのはそこまでだった。私たちはベッドに倒れ込み、愛撫しあった。彼が上になり、下になり、喘ぎながらごろごろ転がった。私は彼のペニスをくわえ、彼の足の方を向いて、かがえめた自分の体を伸ばした。そうするといわゆるシックスナインの形になった。彼は私のペニスを舐め、何度も口に入れた。私は彼の股を広げ、彼の尻を舐めた。彼は「うう」という苦しそうな呻き声を出した。

 私たちは再び正対した。お互いのペニスをぶつけ合った。私たちのペニスから出たガマン汁の軌跡が腹の上で光った。

 私はアナルを使おうとは思わなかった。若い頃は掘られることが多かったが、そのせいか私は痔になり、手術も受けたのだった。私はその痛みをホモ行為の罰だと思っていた。だから中年になってから男と相手をするときにはいわゆる掘ったり掘られたりということはしないのだった。もっとも、後には「入れてくれ」という人にも出会った。

 だが、今は私たちはベッドの上で複雑にからみあいながらお互いの性感が高まるのを自覚していた。男の体、肉の薄いその体躯、逞しい上腕や太股、腋毛や陰毛の隠微な匂い、太くなったペニスとぬめぬめ光るガマン汁の水滴・・・私は久しく忘れていた男の体を思い出した。自分自身も興奮しながら相手の興奮を見る。それは情けないような、楽しいような、不思議な悦楽だった。

 私たちは再びシックスナインの体制を取った。彼は次第に息が荒くなってきた。全身に力が入り始めた。ぎゅっと収縮したかと思うと、彼は私の口の中に大量の射精をした。

 私は口の中に彼の精液を含んだまま、体の向きを変えて彼の顔に近づき、口移しで自分の精液を彼の口の中に入れた。彼はそれを受けた。「あなたの、精液」と私は囁いた。彼は涙の溜まった目で「うぅ」とうめいた。

 それから私は乱暴に彼の口の中に自分のペニスを入れ、腰を振って射精した。彼の口の中では二人の精液が混ざった。

 彼は口中の精液の始末をし、放心したようにベッドに横たわった。私もそのそばに横たわった。お互いのペニスはもう小さくなっていた。私はゆっくり彼の体を撫でた。彼も私の体を撫でた。「どんなでした?」私は聞いてみた。「頭の中が真っ白になった」と彼は言った。

 「実は初めてだったんです」ぼつりと彼が言った。「こんなに興奮してしまって」と、飛び散った精液の後を眺めながら彼は言った。


 翌日、私は彼の運転するクルマで六甲に案内してもらった。車の中でもセックスするかも知れないと思ったが、そのときはそういう事はなかった。

 正直なところ、私は彼ともういっぺん連絡してみようかと思うこともあった。
 だが、あるとき、私の携帯に(その頃はすでに携帯電話を使っていた)彼からのメールがあり、それはどう読んでも私以外の他人に宛てたものだった。「キミが忘れられない、もう一度合いたい」みたいな内容であった。

 私は鼻白んで、彼にはそれ以上の連絡はしなかった。


aqua |MAIL

My追加