VITA HOMOSEXUALIS
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2016年06月08日(水) 川向うの灯

 私はNに住んでいた。同じ職場の先輩でNに住んでいる人があった。私はこの人によく飲みに連れて行かれた。駅前の入り組んだ路地にはたくさんの居酒屋があった。

 飲みながら説教をされるのであった。おまえの仕事のここがいけない、あそこがいけない、と先輩は散々にダメを出す。それからほろ酔いになると帰る。

 そのあと私は一人で河原に行った。河原には小さなボートハウスがあり、O線の鉄橋があった。鉄橋を電車がゆっくり渡る。川向うの町の灯が川面に映る。その川では大学生たちが屈託なく遊んでいた。近くにキャンパスのあるM大かS大の学生なのであった。彼らは男も女も嬌声をあげてはしゃぎ、水に入ったり花火をあげたりしていた。

 私は遠くからそれを見ていた。彼らの境遇と私の境遇はあまりに違う。私がこれまでやってきた闘争は何だったのか。闘争から脱落し、資本主義の歪みに落ちたような今のこの生活は何なのか。どうして私は違う未来を歩けなかったのか。

 こんなことを考えると涙が浮かんできた。川を渡る電車の轟音にまぎれて、私は嗚咽を漏らして泣いているのであった。現在はあったが未来はなかった。

 銭湯の向いの小さなアパートに戻ると、女との交合の余韻で酸っぱい匂いのする寝具があった。私はそれにくるまり、オナニーをした。オナニーするといつもペニスが濡れた。私はガマン汁を出しているのであった。

 私は自動販売機でコンドームを買った。セックスする相手はいなかったが、コンドームをつけて全裸になり、勃起したペニスを布団にこすりつけ、セックスするときのように腰を動かして射精した。コンドームの中に射精すると、周囲が汚れる心配がないので、思いっきり射精できた。

 そのころ私は朝の出勤前にオナニーし、夕方職場から帰るとオナニーし、寝るときにもまたオナニーした、一日三回必ずやるのだった。


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