VITA HOMOSEXUALIS
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まもなく私は彼女が別の男といい仲であることを知った。それは私が知らなかっただけで職場の誰もが知っていることであった。
その男には妻子があった。
つまり彼女はその男と長い間不倫の関係にあった。
私と一夜セックスをしたのは彼女にとってみれば「息抜き」のようなものであった。
そのことがうすうすわかってからも私と彼女は酒を飲み、私の部屋でセックスした。
だが、それはいずれその男に知られることとなった。
彼は表立っては私に何もしなかった。自分も彼女と不倫の仲であるから、公然と私を非難したりすることはできなかったのだ。
そのかわり、彼は仕事のうえで私をいじめ始めた。
ちょっとしたミスを大きく怒り、「若いからって甘ったれてんじゃない」と叱責した。私が何かしようとすると意地悪くそれを妨害した。
だから私は女に絶望したというよりは男に絶望したのだった。
しかし、私はまた女にも絶望した。
私はだんだん彼女からは距離を取り始め、数回セックスした後にはもう、彼女と抱きあわなくなっていた。
私は目前の男女というよりも、男女の関係一般に絶望しはじめていた。
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