VITA HOMOSEXUALIS
DiaryINDEX|past|future
前回の記事を書いてから一年経った秋のことである。
結局私はこの活動に足掛け二年かかわっていた。
今では10月21日が何の日であるか、知っている人も少なかろうが、この日は国際反戦デーなのである。私たちは代々木公園に集まって集会をし、渋谷の町をデモ行進した。
このデモ行進というものは6列横隊で進み、両脇をがっちり機動隊に挟まれている。
機動隊はときどき私たちにちょっかいを出す。わざと足をひっかけたり、警棒で私たちの列をつついたりする。
国際反戦デーに合わせて私たちは大学に行ってビラを撒き、新人をオルグした。
成果はたった一人だったが、新しく参加したメンバーは私と同郷だった。Kという色の白い、ほっそりした青年で、およそ活動とは縁のなさそうな、おとなしい人で小さな声でしゃべった。
私と同じ県の出身ということもあって、私が彼のメンターにされた。
新人を指導する立場に立つということは、活動から離れかけていた私の心を一時的に活動の方に戻した。私は熱心にK君を教育した。 夜の事務所で二人きりで話していると、ときどきKの甘い息が私にかかった。
以前の私なら同性愛の欲望に駆られていたところだが、今は違うと自分では思っていた。
それから季節は寒い冬になった。
|