VITA HOMOSEXUALIS
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2015年07月13日(月) 手紙

 上野駅の、いまは横浜銀行があるあたりに、小さな本屋があった。

 その本屋には『薔薇族』が置いてあった。

 全然愛想のないおばさんが店番していて、客の顔も見ずにカネを受け取った。それが『薔薇族』を買うには都合良かった。

 私は何度か『薔薇族』を買った。そしてあるとき「交際希望」の欄に「ミュージシャン志望」とある青年の投稿を目にした。

 私はその人に宛ててメッセージを書き、第二書房に送った。

 そのことを忘れかけていたころ、返事が来た。返信の差出人の住所は、とある療養所になっていた。

 私はその住所に宛てて手紙を書いた。

 そうしたら返事が来た。その中には自分の歌を入れたカセットテープが入っていた。フォークと演歌を合わせたような歌だった。

 私はその人に会いに行くことにした。

 東京の東の端から西の端まで電車に乗った。

 冬枯れの森の中を、多摩郊外の療養所に向かって歩いた。


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