VITA HOMOSEXUALIS
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2015年05月26日(火)

 酒店には高校生のお嬢さんがいた。私はお嬢さんと呼んでいたが、世間でいわゆる不良の一人であった。高校には特別なカウンセリングのために通っていた。タバコを吸い、酒を飲み、私をときどきトモダチとの飲み会に連れて行った。それは決まって近所の「もんじゃ焼き」の店であった。「おまえ、もんじゃって知ってるか?」お嬢さんはからかうように言った。私は知らなかった。

 あるとき、社長(オヤジさんのことをこう呼んでいた)と奥さんと、社長のお父さん(おじいさん)が旅行に出て、店には私とお嬢さんの二人になった。そこは夕方になると店の一角でするめを焼き、即席の飲み屋に変わって、近所のオヤジたちのたまり場になっていた。私はその日もその準備をしたが、社長がいないことを知っているので客は誰も来なかった。

 しばらくするとお嬢さんが「今日はもういいよ。店を閉めよう」と言った。私はシャッターをおろした。お嬢さんはこちらを見てにやにやしていたが、「おまえ、これ何かわかるか?」と薄いビニールの包みを私の目の前でひらひらさせた。それはコンドームだった。私はこっくりうなずいた。「押し入れから見つけたんだ。うちのパパとママ、あんなジジババのくせに、まだやってんだ。きったね」とお嬢さんは苦い顔をした。

 「おまえ、ヒマだろ、そのへん片づけてアタシの部屋に来いよ」

 私はうろうろと店仕舞いの仕度をして、二階のお嬢さんの部屋に上がっていった。部屋に入るとむっと女の子の匂いがした。大きなベッドと鏡台の周囲にはたくさんのぬいぐるみがあり、この人もわりと普通の少女なのだと思った。お嬢さんはベッドに仰向けになって寝ていた。

 「こっち来いよ」お嬢さんは寝たまま私を呼んだ。

 「おまえ、誰ともつきあってねえだろ。一人でむんむんしてんだろ。オナニーしてんだろ。やらせてやるからよ。これつけろよ」そう言うとお嬢さんは下半身に来ているものを脱いで、コンドームを投げて寄越した。下半身だけとはいえ、私は女性の姿態を初めて見た。お嬢さんの陰部は濡れて輝いていた。それを見ると私のペニスは勃起してきた。私も下半身を脱いでコンドームをつけた。

 「痛え、ばか、そこじゃねえよ」「何やってんだよ」挿入はうまく行かず、私はお嬢さんに怒鳴られた。そのうちにコンドームの中に射精した。

 「あ〜あ、やっちゃった。ばっかだねえ。こいつホントうすのろ」私はお嬢さんにさんざんののしられた。

 「いつまでも突っ立ってんじゃねえよ。はやく始末しろよ」そう言われてコンドームを外し、ゴミ箱に捨てようとすると、「自分で持って帰るんだよ、バーカ」という声が聞こえた。

 私は暗い夜道をコンドームをぶら下げて帰った。それを側溝に捨てた。

 しばらくして例の「不良の仲間たち」の飲み会があったとき、私は「ホモ」だといううわさを立てられた。実際にこのつきあいの仲間には若い鳶の男と自動車工の同性カップルがいた。彼らはわざと私の前でキスをしたりした。「おめえ、おんなダメなんだろ。これ見て感じるだろ」、彼らはキスをしながらケラケラと私の事を笑った。


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