VITA HOMOSEXUALIS
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2015年05月15日(金) 乱暴

 私の通った中学校は右翼的なところであった。校庭に集まって朝礼をしたあと、「日の丸行進曲」で行進して教室に入った。生徒は全員運動部に所属しなければならなかった。

 私はテニス部に入ったが、もともと足が遅く、腕力もなく、球を追いかけるのも苦手で、いつも先輩からリンチのようなしごきを受けた。先輩の中でもいかつい顔つきと体つきのゴリラみたいな男がいちばん獰猛だった。

 中学二年生の夏休み、じりじりと日が照りつけ、地面は白く輝き、カンナの赤い色が毒々しく見えた。私はまた「へま」をやったので、ゴリラに怒鳴られて前衛の特訓をやらされた。私は校舎を背にして立ち、ゴリラが至近距離から球を打ち込んできた。私はもう足が追いつかず、ほとんどの球を打ち返せず、体に打撃を受けた。それでも右、左と走らされるので、とうとう足が転び、私はそこに倒れた。動き気もなかった。

 ゴリラは私に近づいてびんたを食らわし、木造の小さな体育倉庫に私を連れ込んだ。何かわめきながら私をマットの上に蹴り倒し、ところかまわずめちゃくちゃに蹴った。ボールやネットやライン引きが散乱した体育倉庫の中はむっとするほど暑かった。私はじわっと涙が浮かんできたが、泣いたら負けだと思ったので無表情のまま蹴られ続けていた。

 突然それが止んだ。ゴリラははぁはぁと熱い息を吐き、肩を上下させながら、突然自分の短パンをずり下ろした。そこにはぐっと上向きに佇立するペニスが赤黒く頭をもたげていた。私たちは、そろそろ柔毛のような陰毛が生え始めたかどうかをふざけあって見せあうぐらいだったが、ゴリラの股間には黒々とした剛毛の叢があった。私たちのペニスはまだ皮をかぶっていたが、ゴリラのペニスの先端は鈴のようにぱっくりと割れており、そこから透明な粘液がつーと流れ落ちていた。

 ゴリラは私の短パンも脱がせた。そして私の腹の上に覆いかぶさり、自分のペニスを私の腹に押し付けてごしごしと腰を振った。ゴリラは猛烈な勢いで射精した。

 大きく肩を上下させながら、ゴリラは「バラしたらブッ殺すぞ」と私を脅して首に巻いた汚いタオルを私の腹の上に投げ、自分の短パンを元の位置に戻して体育倉庫から出て行った。

 私は驚きで口もきけなかったが、ようやく腹の上に溜まったじゅるじゅるした粘液をふき取った。そして私は「勝った」という変な想念に取りつかれていた。

 私は射精直前のゴリラの顔を間近に見た。それはとても呆けた顔だった。頬は上気し、口元は緩み、目は潤んで焦点が合ってなかった。汗に混じって少し鼻水も垂らしていた。

 私は自分の容姿や態度がある種の乱暴な上級生を引きつけることを知っていた。ゴリラもその一人なのかも知れなかった。これを武器にして彼らを射精寸前に追い込めば、どんな乱暴な先輩だって怖くない。私はそこで「媚びる」という知恵のようなものを身に付けたのだった。
 


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