こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2010年12月21日(火) どうにもならないこと


 お泊りデートから数日後に私達は会いました。

 この日の彼は明るく穏やかで、

 ここ最近の疲れた表情は消えていました。

 ランチをしてから、いつものホテルにチェックインしました。

 お部屋に入ると彼は私を呼びました。

 彼は長いソファの端に座り、私をベッドの端に座らせました。

 私達は膝を付き合わせる格好になりました。

 彼は今まで見たこともない真剣な表情をしていました。

 そして穏やかな声で話し始めました。


 「理沙子はこれからもこうやって俺に会いたい?」


 その言葉を聞いた瞬間、私は別れを連想しました。

 元カノと別れた時も

 別れを切り出したのは彼の方だったと聞いていました。

 お泊りデートの時の彼の様子を思い出し、

 もう終わりなのかと思いました。

 そして、その先の彼の言葉を聞きたくないと思うと、

 私には何も言葉が見つかりませんでした。


 「俺は会いたいんだ。ずっとこうして理沙子と会いたい。」


 きっと私は泣き出しそうな顔をしていたのでしょう。

 彼は私を見つめて、優しく言いました。

 そして、彼はゆっくり彼の現在の状況を話し始めました。

 それは先月末に財政的な理由で

 彼が経営していた2つのレストランを手放したこと。

 現在、彼はオフィスで残務整理をしていて、

 そのオフィスも今月末で閉めるということ。


 「いずれにしろ俺は今無職なんだ。収入も無い。

  これからは今までのようなデートは月に一度しか出来なくなる。」


 私は彼の話を聞いて、とりあえず私が想像した最悪の状況、

 別れ話ではないことに少しだけ安心しました。

 ただ、私達はこの2年間、ほぼ毎週会って、ホテルで抱き合い、

 食事や飲みに出かけるというデートを重ねて来ました。

 彼との関係では、1ヶ月に1度しか会うことが出来なければ

 付き合っているとは言えないような気がしました。


 「Tさんと抱き合うのは月に1度でも私は大丈夫。

  でも、月に1度しか会えないなら、私はもう付き合っていけない。」


 私は思いつくかぎりの不安を彼に伝えました。

 私達は普段メールのやり取りもほとんどしないから、

 会う回数が減れば離れている時のお互いの状況が

 掴めなくなるような気がしました。


 「もし私にまだ話していない理由もあるなら全部教えて。」


 「今、話したことが全てだよ。」


 結局私達はホテルを利用するようなデートは月に1度しか出来なくても、

 毎週ほんの短い時間でもいいから会うことにしようと約束しました。



 話し合った後、彼はほっとした表情を見せました。

 その後、ベッドで抱き合った時も

 何度も「好きだよ。」と囁いてくれました。



 私達の付き合いがこれからどうなっていくのか私には想像も出来ません。

 そして、私達の気持ちがこの変化についていけるのかどうかも…。


 < 過去  INDEX  未来 >


理沙子

My追加