こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年05月17日(日) 季節はまた巡り


 去年の10月、美しい雁の群れを見た帰りに彼が連れて行ってくれた

 ワインと串焼きのお店に行きました。

 私が彼に恋をしているとはっきりと自覚したのは、

 去年のあの日だったように思えるのです。

 あの日と同じように彼が全てのお料理を注文し、

 全てのお皿を二人でシェアして頂きました。

 あの日は私が早々に酔ってしまって涙もろくなっていたから

 お料理の美味しさが十分に味わえなかったけれど、

 今回は〆のガーリックライスとデザートまで

 とっても美味しく頂きました。

 あの日、ワイン2杯で酔っていた私が、

 最近では彼と同じペースで飲めるようになったのだから、


 「理沙子は本当にワインに強くなったよな。」


 と彼に言われるのも無理はありません。



 私の白い肌はアルコールで赤くなりやすいのですが、

 ワイン色に染まった私の手の平を見せていたら

 彼も自分の手の平を見せました。

 以前同じようにお互いの手の平を見せ合って気付いたことだけれど、

 私達の手相は両手ともとてもよく似ているのです。

 その話から色々な想いが私の胸に蘇ってきました。

 このお店の美味しいワインとお料理は私を涙もろくさせるようです。
 


 お店を出て、彼がタクシーを拾いました。

 私の目はわずかに潤んでいました。

 私は彼にそのことを気付かれたくなくて、

 タクシーの中でずっと窓の外を見ていました。

 その時はどうして涙が出るのか自分でも分からなかったけれど、

 拭ってもまた新しい涙が零れ落ちるのでした。

 彼は黙って私の右手をずっと握っていてくれました。




 お部屋に戻ると、


 「まったく…。

  泣くからもうあの店には連れて行かないぞ。」


 と彼が優しい声で言いました。

 彼は服を脱ぐと先にシャワーを浴びました。

 私がバスルームを出てダブルベッドの中に入った頃には、

 彼は既に寝息を立てて眠っていました。

 きっと朝から早起きしてゴルフした後のデートだったから

 疲れていたのでしょう。

 私も眠っている彼の隣に寄り添って、

 彼の体温を感じながらまどろんでいました。

 ただそんな風にしているだけで温かいと感じられる人に

 私は今まで出会ったことが無いような気がしました。

 初めて恋を意識したあの日に行ったお店を再び訪れ、




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 深夜0時を回ってそろそろ帰る支度をしようと思っていた時に、

 彼が目を覚ましました。

 私達はどちらともなく求め合い、愛し合いました。

 多少の眠気と酔いが羞恥心を消すのでしょうか。

 或いはこのまま離れたくないという気持ちが募るからでしょうか。

 私の身体はその日初めて抱かれた時よりももっと感じていました。


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理沙子

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