こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年05月10日(日) 哀しい気持ち


 いつもの角を曲がると、いつもの場所に彼の車が止まっていました。

 私が助手席に座るとすぐに、


 「今日は映画は止めにしよう。」


 と彼が言いました。

 そして、彼が既にチェックインしていたシティホテルへ行きました。




 ダブルベッドで彼と身体をくっつけ合って話をしました。


 「私もTさんの友達になりたいなぁ。

  そうしたら、ずっと一緒にいられるから。」


 車の中でGW中に東京から来ていた彼の女友達の話を聞いていたから、

 少し羨ましくなって彼に言いました。


 「理沙子は友達で我慢出来るの?」


 「ずっと一緒にいられるなら、我慢出来るかも。」


 「俺が我慢出来ないよ。」


 それから、私達は今度の旅行の話をしました。

 彼は一日目が晴れの場合と雨の場合を想定して、

 二通りのドライブプランを私に教えてくれました。


 「もちろん、どちらも晴れれば一番だけど。^^」


 「晴れるといいですね。楽しみだなぁ。」


 お喋りをしながら、お互いの身体に触れ合う私達。

 幾つもキスをして、着ていた黒のキャミを脱がされて、

 一週間ぶりに彼に抱かれました。




 夜はイタリアンレストランに行きました。

 彼とワインを飲み、食事をしながら、

 また男女間の友情の話になりました。

 彼は美味しい食事や映画や美しい景色など

 感動を共有できる相手としか友達にはなれないと話しました。

 まずそれが前提だと彼が言いました。

 でも、男女の関係になるかならないかは、それから先の感情なのだと

 彼は言いました。

 今回東京から彼とゴルフをするために旦那様と一緒に遊びに来たのは、

 彼のスペイン在住の時からの女友達です。

 来月は一人で遊びに来て、また一緒にゴルフをするそうです。

 
 「彼女の方はもしかしたら貴方のことが好きかもしれないですよ。」


 私が女友達の気持ちを想像して言うと、


 「いや、若い頃はそんなことがあったかもしれないけれど、

  今は全くそんな感情はないと思うよ。」


 と彼がきっぱり否定しました。

 私は彼の友達としての条件をクリアし、さらに恋愛対象になれたことを

 幸運に感じました。




 ホテルに戻るとすぐに、食事をしていたイタリアンレストランから

 彼の携帯電話に着信がありました。

 お店で私の携帯電話を預かっているという話でした。^^;

 彼は一人で私の携帯電話を取りに行ってくれました。


 「ごめんなさい。」


 戻って来た彼に謝ると、


 「タダじゃ済まないからな。^^」


 と彼が言いました。




 ベッドで私が目を覚ました時、既に12時を回っていました。

 二人でベッドに入ったところまでは覚えているけれど、

 それから後の記憶が曖昧でした。

 しばらくすると、彼も目を覚ましました。


 「二人で朝まで寝てしまうところでしたね…。」


 と私が言うと、




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 と彼が少し不満そうに言いました。

 どうやら私は先日のお泊りデートの時と同じように、

 彼に愛撫されているうちに寝てしまったようです。^^;

 もう帰らなければならない時間だったけれど、

 私達はどちらからともなく求め合い、もう一度抱き合いました。




 「私もいつかはTさんに忘れられちゃうのかな。」


 酔いと眠気の混じったぼんやりした頭で、私が呟きました。


 「面倒くさいなぁ。」


 「ごめん、ネガティブなこと言われるの、嫌いだよね。

  でも、Tさんの記憶にはっきり残る存在になりたいと思う…。」


 「もう残ってるよ。

  携帯電話を二度も取りに行かされたんだから。」


 「そうでしたね。^^;

  何となく思ってたの。

  私もいつかTさんの人生を通り過ぎた何人かの女の人のうちの

  一人になっちゃうんだろうなぁって。」


 「そんなわけないだろう。」


 彼が私の唇を塞ぎました。


 「好き?」


 「好きだよ。」


 私は少し哀しい気持ちで彼の声を聞きました。

 心は嘘を吐くことを知っているから、

 女は身体で男の愛を確かめようとするのかもしれません。


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理沙子

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