こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年04月14日(火) 会えば言えなくなるから


 夕方、三度目の彼からの着信で、

 私はやっと彼と話すことが出来ました。

 彼はゴルフから帰って来たばかりで自分の部屋にいました。

 愛犬の岳とじゃれつく声が聞こえてきました。



 きっと彼にとっては面倒な話だったに違いありません。

 でも私が切実に彼と話しておきたいことがあるということを察して、

 彼は何度もかけ直してくれたのだと思います。

 彼に見つめられたり、触れられたりしたら、

 きっと理性が曇って言えなくなってしまうことだから、

 私は一番冷静な気持ちでいられる電話で尋ねたかったのです。



 私は彼の気持ちを考えながら、

 彼が以前言っていた『割り切った関係』について尋ねました。


 「ゆっくり考えて答えて下さい。」


 彼の答えを聞く前に私は言いました。



 彼の返事を聞いて、私の『割り切った関係』の解釈は

 彼の意味するところと同じだということがはっきり分かりました。




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 「それだけ?

  それ以外は普通の恋人同士の恋愛と同じなのね。」


 私はほっとして言いました。


 「でも、それって凄く大きいことじゃないか。」


 きっと私が一度結婚に失敗しているからなのでしょう。

 結婚に対して甘い期待が無い分、

 彼の答えに失望することは全くありませんでした。

 私がなりたいのは彼の妻ではなく、彼の最後の恋人だからです。


 「いつか私達が年老いて男女の関係じゃなくなっても、

  私達は気の合う友達としてずっと一緒にいられますか?」


 「それは勿論だよ。」


 「他の我侭なら許してもらえるなら、私は焼餅を焼いてもいいのね。」


 「ああ、いいよ。

  だけど、一体誰に焼くんだよ。(笑)」


  
 二人が結婚出来ないことを「ただそれだけのこと。」と

 考えていた私に対して、

 「それは凄く大きいこと。」だと言ってくれた彼のその言葉だけで、

 私は十分だと思いました。

 朝5時前に起きたと言う眠そうな声の彼に

 私はおやすみなさいと言いました。

 彼への愛おしい気持ちが胸いっぱいに広がりました。


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理沙子

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