こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年04月07日(火) 食感


 昨日は彼と何度も訪れている和食のお店へ行きました。

 旬の野菜や魚を生かしたお料理がとても美味しい

 私の大好きなお店です。

 女主人はとても素敵な人で、

 温もりのあるカウンターや美しい食器、生け花や自筆のお品書きなど

 至るところに彼女の木目細やかな心遣いが行き届いています。

 彼にとっては十年来の行きつけのお店で、

 女主人とも気心が知れています。

 彼にはこういうお店が何軒かあって、

 そういう場所へ行くとつい彼が以前連れて来た女性と比べられていないか

 意識してしまうのでした。

 私が二人のプライベートな会話を他者に聞かれることを気にするので、

 最近彼はテーブル席を予約してくれることが多かったのです。

 でも、本来彼は好きな時にオーダー出来て、

 お店の人と気軽に話が出来るカウンター席を好みます。

 この日は平日の夜で空いていたので、カウンターの端っこに座りました。

 女主人の話はお酒や食べ物に対する愛情に溢れていて、

 そういう話を聞きながら食事をするのはとても楽しいことでした。

 初めは少し緊張していた私ですが、

 美味しい白ワインと日本酒で酔いが回ってきたせいか

 いつもと変わらない調子で彼とお喋りしていました。


 「本当はこういう食事が一番好きだろう?」


 「実はこのお店が一番好きなんです。」


 お互い饒舌になって二人だけの話で盛り上がっていたところで、

 私が調子に乗って携帯電話からこの日記にアクセスしました。

 彼は私から携帯電話を取り上げると

 最近の私の日記を幾つか読んでいましたが、




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 と言いました。


 「私がどんなことを考えているのか興味無いの?」


 「普段のコミュニケーションがちゃんと取れてるでしょ。」


 「今はそうですね。

  じゃあ、コミュニケーションが上手くいかなくなったら

  読んで下さい。(笑)」


 「しかし、暇だよなぁ。

  読む方も書く方も。(笑)」




 お店を出た後、私達はホテルのお部屋に戻りました。

 ベッドで抱き合ってキスしながら、


 「今日食べた筍、色っぽい味がしただろう。」


 と彼が言いました。


 「色っぽい?」


 吐息混じりに聞き返しました。


 「ああ…何とも言えない色っぽい食感というか…。」


 私は彼の言葉の意味を理解して、

 アルコールで敏感になっている舌を彼の舌に絡めました。


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理沙子

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