獅々丸の雑記帳
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獅子丸、15年に1ヶ月ほど足らずの命でした。 我が家の猫軍団としてはやはり少し短い一生でした。
獅子はね、まだ若い頃に結石で尿が詰まる病気になり、以降ずっと病院食を食 べてきた。 すぐ傍で、他の仔等が自分のよりずっと美味しい食事をする中で、黙々と病院 食を食べ続けて生きてきた。 病院食は伊達に高価で不味いのではなく、入院は最初のただ一度きりで済んだ のだから、そういう意味では有難いことこの上ない。
でも、もう長くはもたないと感じた俺は、病院食を残すようになってきた獅子 に、本当に猫に与えてはいけないモノを除いて、欲しがるものは何でも与える ことにした。人の食事は猫には適当でないのでは承知していたが、何も食べな いよりはずっとマシ。 何より、美味しい食べ物を知らぬまま死なすのは可哀想だった。
焼き場で、骨となった獅子は、最後のミナクルを見せる。 その頭蓋骨はほぼ原形を留めたままだった。 何度か愛犬や愛猫を送った俺でも、これほどまでに綺麗に現れたのを見たこと がない。 用意して貰った骨壷では収まり切らないのはひと目で分かったため、ワンサイ ズ大きいものに交換して貰う。 俺を見上げていた瞳はもうそこには無かったが、可愛いものは骨になっても可 愛いものだ。
俺は必死になって獅子の牙を探した。 経験から、歯の中でも大きな犬歯は、かなりの確立で残骸が残るのは分かって いた。 これからも美味しいものを食べ続けられるよう、出来るだけ頭と一緒に収めて やりたかったのだ。 しかし、下顎と共に小さな歯まで見つかるのに、肝心の牙が見つからない。 2本とも見つからないなんてこと、今までない。
もしや?
と思った俺は、獅子の頭蓋骨を手に取ると仰向けた。
そこには、先っぽこそ焼け落ちてはいるものの、立派な牙が両方とも揃ってい た。
『おー。』
グッボイ、グッボイ。 これならば、これからもたくさん美味しいものが喰えるぞ。
グッボイ、グッボイ。 いい仔だな、獅子丸は。
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