過去日記倉庫(仮名)
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フリフリのおれ的わたし的ベスト2007はこちらより
| 2007年01月29日(月) |
マーダーボール、RIZEなど |
今月はドキュメンタリー月間でした。久しぶりだこんなに見たの。特に送還日記みたいな政治的な作品は数年避けていたので本当に久しぶりだった。渋谷シネ・アミューズのトークイベントいいなあ…こんなことやってたんですね。まあでも作品だけでも見れてよかったです。
これとディア・ピョンヤンを合わせて見て、気軽に感想を書けるものではないんだけど、単純に人間が生きてるってすげえなあというのを思えてよかった。特にディア・ピョンヤンはホームビデオでもあって、若い頃からがんがん社会運動や団体づくりに奔走していた父親が老いてプライベートな顔を見せるようになっていく、その経過がおもしろかった。監督は10年カメラを回して最初の2年は撮らせてもらえなかったそうですが。ドキュメンタリーって本当に一人称の表現で、撮る人の視点に入り込んで見せてもらうというのが心地よかった。
洋物はマーダーボールとRIZEとブロックパーティ。気軽に見れる作品でよかったです。米国ではケーブルテレビにドキュメンタリーのチャンネルがあるらしいですが、一日中いろんなのが見れるんでしょうね。政治的な作品じゃなくてもいろいろ見てみたい。
マーダーボールは予告編を見てよさそうだったので、そんなに期待してなかったけど招待券を使って見ました。MTVが協力してるだけあって音楽がめちゃくちゃよかったです。8割方それを見に(聴きに)って感じ。試合や練習中の場面のメタルやハードコアのサウンドとか、感傷的な所の音楽もよかったなー。使い放題なのだろうか。scoreのクレジットにJamie Saftの名前があったんだけど、テーマ曲作曲ってことかな?確かに彼らしいえぐい曲ではあったけど。
競技用のごつい車椅子に面構えのいい男どもがそろって、ドキュメンタリーなんだけどすごいドラマチックで漫画読んでるみたいでした。なんかもうPV状態。トップに載ってるズパンさん(かっこいー)の他にもいろんな方がそろってます。私はアンディさんが好みー(馬鹿)その中でUSAチームで年齢的にも戦力外になったため、カナダに移ってチームの監督に寝返ったジョー・ソアーズがすごかったですね。
今までチームメイトだったので手の内全部わかってるわけですよ。裏切りだとさんざん叩かれて、でも戦いたいんだよね。むしろ燃える(笑)っていうか。業だなあ…まあ見てる側からするとすっごいおもしろいんだけど。結局アテネのパラリンピックで負けて解雇されるんだけど懲りてねえしなあ。前行くしかないんだよね。何なんだろう、この強さ。上で紹介した送還日記で政治囚としてギネスに載るほど長期収監されていた方とか出ていて、長年閉じ込められるだけではなくひどい拷問も受けていて、どうしてそれに耐えることができたのか、という問いに対する答えが本当に単純で、「そこに暴力があるから」というしかないということだった。そこに困難、厄災があるから強くなれるの?まあもちろん単純じゃない、今の私にはうまく説明できないことなんだけど。勝てなかった人の方が大多数だし。
作中で事故にあって病院から退院したばかりの若い人が車椅子ラグビーを始める所があって、本人は子どもの頃からバイク乗ってて、事故にあってもそのうち治ってまたバイクに乗れるようになると思ってる。車椅子ラグビーのメンバーに会っても僕はそのうち治って歩けるようになるけど、その時はやめないといけないですよね?とか言って。それでも競技用の車椅子に激しく興味をひかれて乗せてもらって、いいねこれ、ぶつけていい?とか言いながら、周りの人に病院の中だからと止められながらズパンの車椅子にコツコツぶつけてみる場面ですごい嬉しそうなのが印象に残った。そうやって始めるんだな。
RIZEはDVDで。ダンス好きとは言えどもHIPHOP好きじゃないし、こんなジャケ手に取ることもなかったのですが見てみました。ダンスというよりも、中でクラウン(ピエロ)として活動する青年が出てくるという話をどこかで読んで、それを見てみたかったんですよね。
そのトミーという青年は92年のLAサウスセントラルの暴動をきっかけにしてイベント出張の仕事を始めた。ピエロとダンスって???って感じなんだけど、彼はアフリカ系なのでダンスやHIPHOP音楽と不可分っていうことなのかな。車でPAシステムを持ち出して、通りに居る人たちを躍らせてゆく。子供を抱き上げて、風船をあげて。すぐに顔が知れてダンスチームがどんどん増えて、ギャングかダンスというか殆どDance or Dieみたいな状況になっていて考えさせられた。みんな踊れるわけじゃないしな〜なんて、そういうのがむしろ気になったりした。
でも映像が驚異的で目が離せない。監督のデヴィッド・ラシャペルは写真家で作品を見るとすごいデコラティブで(ジャケがそんな感じだな)作り込む感じなんだけど、このドキュメンタリーは解説で言っている通り、なるべく作為の無い自然な感じを大事にしている。例えばナレーションを入れずに全部被写体に語らせるとか、編集もそんなにあざとくないと思いました。手ブレで酔ったりということもないし(笑)。
トミーが中心になってできたクラウンダンスからパーティ用のストリップ、もっと戦闘的でダイナミックなクランプ、バレエの要素が入った教会でのダンス、といろんなスタイル(派閥)が紹介される中で、ひときわ目をひいたのがクランプ。既に日本でも定着しているスタイルのようですが、やはり地元でのセッションがはまる。強盗とか喧嘩とか警察とのやりとりといった路上の現実のイベントをモチーフにしてるんだけど、数人のアンサンブルで振りがちゃんと構築されて作品になっているのがすごいと思った。映像にもそれが現れていて、撮ってる人と一緒に、なんだこりゃ!すげえな!!と言いながら見る気分だったね。
セッションていうのは倉庫とかスタジオで、みんな集まって踊ってるんですよ。自然に競争・淘汰状態になっていて、この人たちって、どこでも何でもセッションにしてしまうのかと思いました。かのビバップが盛り上がった頃ってこんなだったのかな〜なんて。見てると音楽流してないっぽいんだけど、どうなんだろう。音楽がずっと頭の中で流れてて、嫌なことがあるとそれに救われると言う子もいて、もうテンポとかリズムっていうのは体の中にあるってことなのかなあ。にしてもあの動きは何なんだろう!
いちばんの見所はやっぱり終盤のクラウンvsクランプのダンスバトルコンペでしょうか。音楽もすごいし、編集がいいし、このチャプターだけ10回くらい見てますね。最初のラニーニャvsプリッシーのキャットファイトから終わりのがきんちょ対決(でもめちゃくちゃうまいんだこれが)まで、もうみんな本気です。外野もギャーギャーうるさくて楽しそう。その中でタイトアイズという青年のパフォーマンスがすばらしかった。この作品にはすばらしい踊り手が何人も出てくるんだけど、この人のスタイルは本当に好きだ。
専門的なことはよくわからないけど、クラウンの振りを引用して批評しつつ揶揄りつつ敬意や愛情も同時に込めるダンスを審査員のトミーに見せつける。彼もそれに撃ち抜かれて(!!)文字通りふっとんでるのね。何分もしない短い時間のやりとりなんだけど、これには目が点になりました。全く言葉を使わないで直裁にメッセージを伝えて受け取ることができるんだなと改めて思った。
昔ジャズを聴き始めた時に、レコード聴いたりいろいろ本を読んでジャズって言葉じゃない方法で政治的メッセージを伝えることができるんだ、こんなことが可能なんだっていうのがわかって目が点になったんだけど(笑)、その時のことを思い出しました。特にこのクランプダンスなんか、地元の文化的・教育的に劣悪な環境にあって、音楽学校もないしアフリカ文化についても知識がないし、殆ど全てを今の自分の中から湧くものを使って創り出してるっていうのがおもしろいなと思いました。名手あってのシーンなんだけど。よくそれを取り上げて、撮ってもらったなと思う。それこそダンスなんて、明日同じものを踊れるかわからないし。
ちなみにRIZEのタイトルはキング牧師の言葉からとられています。成り上がりっていうよりも昇華っていうニュアンスを読み取りたい所だけどどうだろう。これ見た後に桜坂劇場にブロックパーティ見に行ったんだけど、残念ながら自分は楽しめなかった。HIPHOPってだるくてつまんねえ…有名な人ばっかり出てたんだけどなあ。ローリン・ヒルの優しく歌っての所くらいかなあ。あとエリカ・バドゥが巨大なアフロのウィッグで、風が強いのでだんだんずれてきてええい!という感じで取っちゃったのがよかった(笑)。
あとエンドクレジットで流れた主催のコメディアンのデイブ・シャペル(上の監督と名前がだぶるなー)のブルースとか。マディ・ウォーターズ風に、今朝4時に起きたよ(ブルー)、で2度寝して昼に起きたぜ(ブルー)、でまた寝て夕方4時に起きてさ(ブルー)、芸人だから仕事が無えんだよ!、みたいな12小節仕立てのコント(笑)。まあそれがブルースなんだけど…この方の芸風がひねりが無くてやや下品で飽きるのが残念。でも作中リサイクルショップのピアノでいきなりモンクのラウンドミッドナイト弾き出したのにはびっくりした。下手だけど味があってすてきでしたね。
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