過去日記倉庫(仮名)
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| 2005年08月22日(月) |
susanna and the magical orchestra / エレニの旅(映画) |
ライブが終わり平日のお休み。映画を見ようと思っていて、テオ・アンゲロプロスのギリシャ映画エレニの旅に決めたら、車の中で聴くCDもなんとなくSusannna and the Magical OrchestraのList of Lights and Buoysになった。ジャケで選んだとも言えるし内容で選んだとも言える。外には出たけどひたすらゆっくりした動きで、買い物とかぜんぜん用事がはかどらない。夕方は渋滞して車もすすまないのがむしろ楽しかった。
Real & Trueのページより。試聴もできるようです。脳とか体の動きが落ちている時なのでむしろじっくり聴けたような気がしました。スサンナさんのボーカルもよく聴こえるし、バックトラックもいいですね。ものすごくうすいのですが、それが気持ちよかったです。カバーのJoleneがずっと知らない曲だと思っていたのだけど、あっ昔はやったジョリ〜ンって曲だね!と思い出した。切ない曲だったんだな。賛美歌のようなメロディで悪魔とギターのことを歌ったSweet Devilっていうのがよかった。ギターの音がひとつも入ってなくて。お兄さんのクリスチャン・ヴァルムルーのピアノを思い出しました。やっぱり似てるかも?
日が暮れてどしゃぶりにおそわれながらも映画館へ。桜坂劇場の売店で気付いたんだけど、こないだ踊りのしば先生が使ってたぐにゃぐにゃしたメタルカラーのパイプのオブジェってここに売ってたよ!なんだこれって思ったんだそういえば。で本棚に大野一雄の本があったので買う。しば先生はちょっと前に出た舞踊全集を買ったって言ってたけど、あれも新都心の本屋で見た気が…お金なくて買いそびれてたらなくなってたんだ。その本も先生が買われてたりして…とほほ。これ自分が買っちゃうけどいいよね?
こないだダンスの雑誌を差し上げた時に土方巽の話になって、舞踏というのは土方巽の踊りだけなんだと力説されていたんだけど、ずっと先生は暗黒舞踏、舞踏という言葉がお好きでないときいていたんだけど、それは好き嫌いではなくて、土方巽に敬意を払ってのことだったのだなと思った。大野一雄についてはどう思われているのだろうか。私もNHKあたりの映像をちょっとだけしか見たことがなく、知らないに等しいのですが…わたしのお母さん、ラ・アルヘンチーナ。私の中を鰈(かれい)が泳ぐの。
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エレニの旅は音楽映画だった。(サウンドトラックのページ。ギリシャ文字のエンドロールで全く読めない中でECMRecordsのクレジットを見てなぜかほっとした笑)あの驚異的な映像美を堪能するべくいどんだのですが、登場人物が音楽家ということで話の中で音楽がキーになっていた。もちろん演奏風景というのはとても絵になるし、劇場が難民宿になってるとか、政治的な状況で音楽活動が弾圧の憂き目に遭うとか、いちいちドラマチックだったな。
ギリシャについての基礎知識がほとんど無く、暑いか寒いかもわからないし、音楽もどんなのかよくわからなかったのですが、アコーディオンにヴァイオリンにサックスにダラブカが入ってるのが驚き。ギリシャでの呼び名は違うんだろうけど…自分が持ってるのとそっくりなアルミ製のダラブカがあったな。布のカバーをつけてるんだなあとチェックしまくり。登場人物のエレニの夫がアコーディオン弾きで、そのテーマの複雑な変拍子の曲がいろんな場面に現れる。
最も美しい場面はエレニとその夫が故郷の村を逃げた先で楽団員たちに受け入れられる、練習場の自己紹介の演奏の場面でしょうか。また海辺?のシーツを干した所で、音を追ってシーツのかきわけていくとひとりずつ演奏家が現れる所だった。またギリシャの民謡とか歌謡曲ばかりの所にいきなりアマポーラが流れてダンスパーティをするところがあってどきっとした。イタリアと共同製作だったからかな?私はついワンスアポンナタイムインアメリカを思い出してしまいましたよ。サックスさんが自分のフレーズにしてるのがどこかで聴いたことあるなーと思ったらそれだったんですよね。やっぱりジャズなんだなあ。
話はギリシャの現代史をエレニというひとりの女性の人生と重ねあわせるという、叙事詩的な作品。ギリシャの寒村(水没する!)の風景とあいまって自分にとっては異次元の世界の映像で、へーっと眺めるだけだった。あれは隠喩的な表現もいっぱい入ってるとは思うんだけど、どこからどこが現実でどれが誇張で、というのも定かでは無かった。スタイルは全く違うけど、高嶺剛とかホドロフスキー並みのシュールさを感じましたよ…高嶺さんのは沖縄なのでなんとなく意味分かるけど。どこまでが現実の習慣とか史実なのだろう。あの黒旗のいかだの群れ、たき火を囲んで回る喪の踊り、大木の枝に吊られた無数のいけにえの羊、白布の丘…
ロシアの街で拾われた孤児のエレニが弟分の男の子と結ばれるんだけど、妻を失った養父が結婚を迫る。二人は仕事に来ていた楽団に拾われて逃げ延びる。なんとか難民の集落(ヨーロッパのバラックって初めて見たかも)で暮らしはじめるも戦争が始まり、先に渡米していた夫も兵士に志願し、仲間をかくまった罪でエレニが投獄されている間に双子の息子も戦にとられ、敵と味方に別れて戦って、死んでしまう。
この辺の戦争の話になる所からやっと自分にとってリアルになってきてまたたまらなかった。夫が米国で兵隊になって沖縄の慶良間島に送られてそこから手紙を出して、今オキナワのケラマにいるここは地獄だ、なんていう語りで現実に引き戻される感じがしてつらかったな。これも戦争映画だったのか…ロング・エンゲージメントも最近見直したんだけど、これはさすがにジュネみたいにユーモラスな所がなくてひたすら悲しかったです。
ギリシャの内戦で息子たちが亡くなるんだけど、遺族の女性たちが列車で集められて来て、さあここがみなさんのご家族が名誉の戦死をされた現場です、ご対面をって言われる場面があるんですよ。たぶん昔実際にそうしてたんだと思うのですが、遺体がそのままになっている所で、お母さんとかおばあさんとかが一斉にかけよって自分の夫とか息子とか孫を探しあてる所で、自分も客席で呆然と眺めてるとエレニも自分の息子をみつけ、それを包むようにたくさんの泣き声が低い音で響きわたっているのがつらかった。
失神して悪夢に悩まされるエレにを介抱するおばあさんの手。とても存在感のある方だったのですが、これが最初の作品に同じエレニという役名で出た女優さんとのことでした。家帰って英語題がWeeping Meadow(すすり泣く未亡人)ということを知るのですが、こんなに重い作品とは思ってませんでした。今見るのはつらかったなあ…ああでもいつ見てもつらいかも。戦争は嫌だね。
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