舌の色はピンク
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2020年05月04日(月) 好物ベスト50[25-1]

25.オペラ
自作のオペラはクルミの風味たっぷりのケーキ。
スポンジ生地にもクルミペーストを溶き合わせ、焼き上がってからもクルミの糖衣がけを忍び込ませる。
チョコレートのグラサージュは難しくも楽しい作業。
つややかに仕上がれば美味しそうに見えるし、美味しそうに見えると美味しさが増す。


24.ビビンパ
一大アトラクション。
ほうれん草のナムル…さっと茹でて、すりおろしにんにく、ごま油、塩胡椒砂糖、醤油と混ぜ合わせる。
ぜんざいのナムル…さっと茹でて、塩胡椒、醤油と混ぜ合わせる。
人参のナムル…細切りにしておいて塩をなじませ、水分を絞り、すりおろしにんにく、醤油と混ぜ合わせる。
もやしのナムル…さっと茹でて、塩胡椒、ごま油、醤油ちょびっと混ぜ合わせる。
牛肉…焼いて、エバラ焼き肉のたれを絡める。または酒、塩胡椒砂糖、醤油。
キムチ…市販品を適量。
目玉焼き…ごま油で片面焼き。
この全てをドカッとのっけたビビンパを、我が家では茶目っ気込めてフルビビンパと呼ぶ習わし。
目ん玉飛び出るね。


23.ペペロンチーノ
ペペロンチーノは、こと自作にあたってはチャーハンと同じくらい、その極意についてみんな違うことをいう。
口をたがえぬのは乳化の重要性。
この乳化がうまくいけば、たしかにペペロンチーノは化ける。
あとは乳化のさせようだけれど、おすすめは麺をかなり早めに引き上げて、ニンニクオイルのフライパンへと、ゆで汁とともにぶち込んでしまうこと。
その状態で2〜4分、ちょいちょいゆで汁を加えながら強火で混ぜ合わせる。
これで世界が救える。
キャベツ、エビまで加えられたなら救世主街道まっしぐら。


22.グリーンカレー
東南アジアの味付けを不得手としていた身ながら、友人の弟がグリーンカレー専門店を開く縁からその味見をさせてもらったところ、これが現実離れした美味しさで、すっかり平伏してしまった。
以来、店でもレトルトでも食べるようになった。
レトルト品には大きめのタケノコをかるく茹でて足す。
店ではメニュー写真に赤色を含んでいないグリーンカレーを信用する。
しかしどうしたって、友人の弟のそれには及ばない。はやく開店しないかな。


21.バターチキンカレー
インドカレーは正直なところどこ入っても美味い。
正確にはほとんどがネパール人だとか聞くけれどインドカレー名乗ってるしインドカレー呼ばわりでいいと思う。
ナンも…ナンもどこで食べても、あーここのナン美味しい、ってなる。
マンゴーラッシーも…。
バターチキンカレーは自作しても美味しかった。
ただバターと生クリームの量に引いてしまった。菓子でもないのにこんなにって。



20.赤貝の握り
寿司で一番好きなのは赤貝で、赤貝の食べかたで一番好きなのは寿司。
ワサビ多めのリスキーさもいい演出となっている。
身体をこわばらせ、おれはこれから赤貝を口に入れるのだという真剣味を立ち上げさせてくる。
赤貝は鮮度による乱高下が激しい。
本当に美味しい赤貝はもうずっと食べてない気がする。
あの、歯と歯の間で踊りだす、滑らかな、この世で最も柔らかい骨のような甘い噛み応え。


19.アボカドチーズバーガー
邪教の宝物。
アメリカンバーガー専門で食べるアボカドチーズバーガーは一口頬張るたびに学力が落ちる。
それでも、悔しいけど美味い。エロ漫画か。
舌先の繊細さをフッ飛ばして、脳をダイレクトに刺激するあの感じ。
抗いたいのに抗えない。身も心も墜ちていく。エロ漫画か。
 

18.たぬきうどん
育ての親。たぬきうどんに育てられてきた。
産みの親は家を空けがちだった。
近所のうどん屋には裏口から出入りさせてもらっていた。
次第にその裏口は戸口ですらなく、単に設備と設備の隙間に過ぎないのだと合点してきた。
だんだんと正面口から入店するようになり、店の方々へも敬語で話すようになっていった。
育ての親。たぬきうどんに育てられてきた。


17.ズワイガニ
お酢に砂糖を溶いて、肉をさっと触れさせる。
これより美味しい食べ方はないんじゃないかと思う。
そしてあとは無言でしゃぶりつく。
蟹を食べるとき人は野生に還る。
人としての品格全部失って進化の舗装路から脱け出せる。
理性という理性をかなぐり捨てられる。
うっとうしい文明社会とお別れできる。
さようなら。
 

16.オニオングラタンスープ
がっついたら必ず火傷するのにがっつかずはいられない。
小さいころは、料理界の最高級品だと見なしていた。
実態が、玉ねぎスープにパンとチーズをのせて焼き上げたものと知ったときの衝撃たるや、もう学校辞めようかなと思った。
とはいえ作ってみるとうまくはいかない。
オニオンスープは玉ねぎを1時間かけてじっくり焦茶まで炒めれば美味しくなる。
コンソメを手間暇かけて調理すればいいのかもしれない。
しかしそんなにまでこだわる必要があるのかも疑わしい。
高級ホテルと、ビストロと、ファミレスとで、そんなに差を感じられないのがオニオングラタンスープの魔性。
というかきっとファミレスのオニオングラタンスープが親しみ深くて好きなのだ。


15.フォアグラのソテー
美食を追及していくにあたっての高級食材フォアグラでなく、庶民が凡俗の舌で味わえる高級食材フォアグラとして、愛好させてもらっている。
血の味はほどよく残っていてほしい。いけないことしてる気分にさせてほしい。
ソースにはこだわりすぎないでほしい。洒落っ気は控えてほしい。
フォアグラはその製法から、動物愛護の立場からの反対が年々高まっているそうだが、たしかにもうこの文化はついえても止む無しと思う。
だけれど流通している間は味わわせていただく。
背徳感と、背徳感ならではの快感にまみれて。


14.豚汁
ごま油をひき豚バラ肉を炒める方式ならわっかりやすく美味くなる。
だけれど野菜の味を堪能するなら肉の主張は抑えないといけない。
ここのバランスが難しい。
味噌の味も堪能したいし、しかし豚肉から出る脂っ気も欲しいは欲しい。
野菜の分量バランスだって難しい。
これらがすべて上手くいった豚汁は、単品で一食をまかなえる献立となる。
 

13.アサリの味噌汁
ネギは少なめに散らし、ご飯は熱々で、部屋は風通しをよく。
あぁ箸が使えてよかったと何者かに感謝したくなってくる。


12.ネギま
ネギまについては本当にバカで、店に迷惑もかかるだろうに、どかどか注文してしまう。
二十本くらいならぺろりといける。ただしタレは濃すぎていけない。塩でいきたい。
焼き鳥ならばぼんじりあたりも大好きだ。砂肝だって、シシトウだって好きだ。
ネギまがそれらの百倍好きなだけだ。


11.スコーン
スコーンはクロテッドクリームによって本性をあらわにする。
僕の知る限りもっとも美味しいクリーム。
紅茶専門店「G-cref」で出していたそれが絶品だったが、閉店して以来味わえていない。
自作しても類似品を買っても到底及ばない。
ただこういうのは思い出の中にとじこめておくのもいい気がする。


10.ガルグイユ[ル・ジャルダン・デ・サヴール]
フランスの有名店、ミシェル・ブラスのスペシャリテだとかいう温野菜のガルグイユを、日本では銀座のル・ジャルダン・デ・サヴーで味わえる。
お野菜を信仰していない人すべてに食してもらいたい。信仰しているひとにはさらなり。
自分で試してみたときには、野菜を別個に蒸していき、最後にバターと絡めた。
野菜の品種と鮮度にこだわればこだわっただけ、きっとバターに頼らずともよくなってくる。


9.もんじゃ
月に一度だけ会う父親は、毎回決まって、寿司の高級店か焼肉の高級店か、浅草のもんじゃ屋に連れて行ってくれた。
もんじゃ屋がいちばん好きだった。
今では小ぎれいな内装の、お好み焼き鉄板焼きのついでにもんじゃを出す店が増えた。そりゃあ、妥当だし必然だ。
でも僕は、もんじゃはちょっと小汚いくらいの店で食べたい。
換気がおっつかず煙は漂いがちで、いかにも昭和なビールのポスターが貼ってあり、視界をどこへやってもビール瓶のある、カウンターにしか椅子がない店…。
カウンターには小さいテレビが置いてあり、それをたまに見やるおっさんがタバコ片手にくたびれている。
店内の空気が悪い分、外へ出ると夜気が神妙にすがすがしい。
そういう店で食べるもんじゃが最高に美味しい。
 

8.ローストビーフサンド
これまでの価値観がひっくっりかえるようなローストビーフサンドをだすビストロがかつて中板橋にあった。
コンソメ、マスタード、スパイスが効いていたような気がする。
甘めの玉ねぎが挟まれていて、トーストはこんがり焼かれていた。
今はもう食べられない。
あれが食べられるなら1万円でも出したい。
自作のローストビーフは、「昨日何食べた?」で紹介されていたお手軽調理法を何度か試みたのみ。
あれで十分満足できるから他を試していない。
 

7.肉じゃが
おふくろの味とかほっとする味とかそういう以前にただそのものの味が好き。
ごま油で野菜と豚肉を炒め、めんつゆとみりんたっぷりで煮込む甘めの味が我が家流。
白たきに味が染み込んでほしいから、できれば数時間あるいは一晩置かせたい。
じゃがいもは煮崩れさせる。あいつは小粒にしておいて、勢力を抑えつけるくらいがちょうどいい。


6.担々麺[減来酒家]
この店の担々麺には山椒が利いていない。四川風が苦手なので助かる。
難点として、仕上がりにばらつきがある。
もう200回以上食べてきているから遠慮はしない。
5回に1回は、塩気がうすかったり麺がただれていたりする。するが、黙って食べる。
中華に安定感なんて求めてない。一定しない方が面白い。
自分で調理するときには、中華の美味い調味料片っぱしから入ってるなと毎回びっくりする。
スープは薄目に、ひき肉を濃い目の味付けにするのが好き。


8.オムライス
オムライスはあんなに工程が単純なのに調理人によって仕上がりが千差万別なのが面白い。
店で食べてもまるで違う。
西小山の杉山亭のオムライスが至高。
マッシュルームは多めで、鶏肉は大きめ、デミグラスソースは濃いめ。
自分でもまねてきているが全くままならない。
金と手間暇かければもっと美味しくなりもしようが、決め手は単純に調理技術なのだろう。
繰り返し作り続けて、何年後かに今より美味しくなってればいい。 


5.ピザ[ドミノデラックス]
味の隕石。
一口食べるたび思い出がひとつ失われるような暴力性。
窯であげたものよりも、ハチミツをたらした当世風のものよりも、どうしてもドミノピザのドミノデラックスが好き。
ただしコンディションに大いに左右される。
事前数時間のあいだに油っけのあるものをつまんでいたならピザ力は半減する。
外的環境、内的条件の一切が揃った状況で食べるピザのパワーはすさまじい。
だからピザの注文にあたっては、さながら降霊の儀式でも執り行うかの如く、正しくお迎えできるよう身辺を整えていく。


4.唐揚げ
両国にある定食屋、「きじま」の唐揚げは至妙の逸品。ほかに類似の唐揚げを知らない。
厚めの衣に、肉の繊維がしっかり歯に応える食感、下味のよく沁み込んだ…と思い出せもするものの、最後に食べてからもう20年ほどになる。
ふだん尋常の唐揚げを食べている分には、あぁ美味しいなで終わる。
上等の唐揚げを食べたとき、「きじま」の唐揚げを思い出す。あぁあの唐揚げは本当に美味かったなと。
唐揚げ好きには大抵、こうした最上の唐揚げの幻影があるんじゃなかろうか。
 

3.ショートケーキ
いろいろケーキつくれるようになったけど、つくれるようになる前と変わらずずっとショートケーキが好きすぎる。
自分で作る際には、スポンジ生地にはハチミツを加える。砂糖は上白糖。
そしてかくはんを念入りにというか執拗にしてみたら、焼き上がりが安定した。
生クリームがスポンジに馴染んだ「2日目のショートケーキ」は天上のおいしさ。
最近はさらにピスタチオクリームを塗ってみるなど試行してみてもいる。これもたまらない。


2.チンジャオロースー
八百屋で買える安いピーマン、国産でもない包装済のタケノコ、グラム100円の牛肉小間切れ、これで頭とろけてしまうのだから僕は安い男だ。
牛肉は醤油、塩胡椒砂糖、酒、ニンニク、ショウガで下味をつけておく。
肉の味を濃い目にしておけばそのぶんピーマンとタケノコの分量を増やせる。
チンジャオロースーのピーマンとタケノコは延々食べ続けていたい。
謝っても許してやらない。無言で食べ続ける。
無論、肉のやつだって逃がしたりはしない。そこにいたのか。観念しろ。
邪神になったつもりで皿をかきわけていく。
 

1.まぐろラーメン
環七沿い、板橋本町駅付近にある「元祖まぐろラーメン 本店」のまぐろラーメン。
ここより美味しいラーメンを知らないし、このラーメンに類似する味も知らない。
まぐろと言われてもよくわからない、魚介出汁とも動物系出汁とも違う、あっさりしているのにこく深い不可思議なスープ。
一口飲めば浮世の憂さも晴れるというもの。
映画館の企画で絶叫映画ってあるけど、もしこのラーメン屋で絶叫が許されるのなら、僕は獣の咆哮を東の月へ西の日へ北の空へ南の地へ放つだろう。


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欧風カレーを入れそびれていた。10位以内には入る。
神保町の「ボンディ」、荻窪の「トマト」のが好きで、自作なら果物にこだわる。
ほか、好きな飲食物を以下に羅列。
バターナッツのグラタン、クリームニョッキ、さつま揚げ、ふろふき大根、豚しゃぶ、カレイのムニエル、鰤大根、鰤しゃぶ、マッサマンカレー、アーモンドトースト、エビチリ、キンメダイの煮つけ、じどっこ、生クリームチョコバナナクレープ、ビーフジャーキー(天狗の)、タピオカミルクティー、ロイヤルミルクティー、カフェオレ、梨、桃、みかん、冷やし中華、油淋鶏、ラタトゥイユ、焼き立てフィナンシェ、抹茶パフェ、シュークリーム、ベリーとカスタードのタルト、フォレノワール、和風ハンバーグ、たくあん、小松菜の煮びたし、茄子の揚げびたし、蕪、菜の花、ほうれん草、ズッキーニ、葱全般、アスパラガス、柚子、マッシュルーム、舞茸、書ききれるわけがないな


れどれ |MAIL