舌の色はピンク
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2020年05月01日(金) その他好きなもの-1

1ジャンルにつき3作品くらいまで。順位付けなし。


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笑ゥせえるすまん[藤子・F・不二夫原作][TVアニメ]




こいつは本当に怖い。
僕が最も印象深いのはエンディングで、牧歌的な曲が流れるなか、喪黒福造があの特徴的な歩き方でのんびり平野を歩いていく映像にじっとり恐怖した。
”本編であんなに恐ろしい話が繰り広げられていたのに、こいつにとってあれは取るに足らない茶飯事なのか”と思わせるほど日常さに。
子供のころにたくさんのトラウマを植え付けられた作品。
でも子供にトラウマを残す作品には一定の価値がある…。




輪るピングドラム[幾原邦彦原案][TVアニメ]




傑作揃いの幾原監督作品からは「少女革命ウテナ」とどちらにするか悩んだ。
どちらも、脳内麻薬をジャブジャブ出させてくれる映像の面白さが魅力だ。
「輪るピングドラム」は2クールでキチッとまとまってるのと、最終話が感動的過ぎた。
最終話までに散りばめられた、到底回収しきれるとは思えなかった布石の数々を、その一瞬で全て決着させる”物語の答え”としての決定的一言があり、これに深く感動した。




機動戦士Zガンダム[TVアニメ]




ガンダムは、それを知らない人へは”ニュータイプ”の説明を軸にするべきと信じている。
…そう遠くないであろう未来、人口の増えすぎた人類は宇宙にスペースコロニーと呼ばれる住環境を造営し、おおよそ全人口の半数がここへ移住することとなった。すると地球から離れた環境で過ごし始めた人類の一部に、これまで閉ざされていた新たなる感覚が覚醒した、という説が現れた。ときのスペースコロニー運営者は、これを”ニュータイプ”と呼称し、人類の進化系であると自説を唱え、地球に居残るものたちは旧い人類、”オールドタイプ”であると差別し、地球の文化圏から独立するため”ジオン公国”を宣言する。こうして起こった戦争下で、スペースノイドの一人であるアムロ・レイが、成り行き上戦火に身を投じていくなかで、ニュータイプとして覚醒していく…。
ニュータイプには多義的な解釈があり、ファンはおとか原作者である富野由悠季すらこれという答えを出していないが、大雑把に言えば「極端に高められた情報処理能力による、高精度の直感力、洞察力」と僕は捉えている。話の上では、やってることは戦争なので、これが戦闘能力に直結する(攻撃があちらからくるぞ、なんだか嫌な予感がするぞ、こっちにライフルを撃てば当たる気がするぞ)。ところが、ひとたび戦闘を離れると、ニュータイプの能力の真価は”相互理解”にこそ表れることがわかる。高度なニュータイプ同士であれば、精神が溶け合ったかのような感覚も共有することとなる。
…以上はかなり乱暴なまとめ方ではあるものの、最低限の説明にはなっているはずだ。
これが「機動戦士ガンダム」の世界観の前提。
そして、「Zガンダム」はその応用編にあたる。ニュータイプが否定的に描かれだすのが「Zガンダム」。
無印よりも人間関係が複雑で楽しい。




けいおん劇場版[京都アニメーション][アニメ映画]




けいおんはTVシリーズより先にこの劇場版から入った。
ろくに知らない彼女たちがきゃっきゃと楽しそうに動く仕草に話す笑顔に歌う声に演奏する姿に涙してしまった。
彼女たちが楽しそうなだけ、可愛いだけなら、ここまで名作扱いはされていないだろうが、しかしまた彼女たちが楽しそうだ、可愛い、と思わせるための仕掛けが、質も量もハンパじゃない。
多くの人が褒めそやすのに同じく、僕もまた、この映画の何気ない表現の数々に強く惹かれる。
飛行機のシーンだけでどれだけの創意が詰め込まれていることか。




ガールズ&パンツァー劇場版[アニメ映画]




戦車バーンバーンバーン!
なんて楽しいんだろう。
戦車バーン!を一切邪魔立てしない、無駄のないプロット。
無駄はないけど隙間はある。その隙間にはキャラクターを愛せる遊び心が盛りだくさん。
萌えるとかうっとりするとかでなく、みんないい子でエールを送りたくなる感じ。
僕にガルパンを薦めてくれた友達は「何度見ても手に汗握るんだよ。どっちが勝つんだろう、今度こそ負けちゃうんじゃないか…ってハラハラする」と言っていて、狂ってんじゃねーのかと当時は笑ったけども、見てみるとたしかにその感覚を味わえた。
そしてエンディングで泣く。
ねばちっこさのないさわやかな感動で、心が洗われる。




魔女の宅急便[スタジオジブリ][アニメ映画]




なんど見てもクライマックスで泣く。泣いてばっかりだな。
この物語に冒険はなく(となりのトトロにすらあるのに!)、人との交わりによる小さな物語の積み重ねであのラストへ辿り着くわけで、その営みの連続に泣けてしまう。
今更わざわざ言うまでもないがアニメーションもキレまくってる。
僕が好きなのはやはりクライマックスの、キキが風に耐えながら箒飛行する際の揺れ動き。
「箒で空を飛ぶ」感覚なんかこちらは知らないはずなのに、ありあり肌感覚で伝わってくる。
なんであんな表現が可能なのやら、全然わからない。




AIR[エロゲ]




実はエロゲだけでベスト50もまとめてある。
たださすがに厳選されきった50作とまではならず、すべてを誉めそやしっぱなしではいられないから、ぼつにした。
とはいえ上位十作ともなれば激戦。神がかったシナリオ作品ばかりが並んだ。
AIRはそのランキングで一位に置かせてもらった。一位の格に相応しいのはAIRしかなかった。
要素を分割して評価するわけにもいかない、全てが一体化した名作中の名作。
この作品が産み出されたこと自体が一つの奇跡。
お涙ちょうだいのドラマ部分もアリだけれど、核心はテーマをえぐりだすための物語構造、たくみな仕掛けにある。
批評家東浩紀がいうところの「父の不在」。
父になれないプレイヤーという、断絶の哲学。
この作品は当時、エヴァでアレルギーになったのか一部のファンから、作中で答えを出さ投げっぱなしのシナリオは云々とたくさん批判されていた。
答えをシナリオの中にばかり求めるからそうなる。
シナリオの外にも批評眼を仕向けてみるメタフィクションの味わい方が広まるにつれ世間にも再評価され、今では名ばかりでなく確かな名作扱いされていることを嬉しく思う。




素晴らしき日々〜不連続存在〜[エロゲ]




エロゲ史に君臨する快作。
西洋哲学、純文学、純愛、ラブコメ、自殺、いじめ、ドラッグ、復讐劇、電波、格闘、心理学、宗教、怪奇、ミステリー、ホラー、グロ、…などなどあらゆる要素をぶち込みながら、「"私"とは何か?」というテーマにシナリオが収束していく。
ヴィトゲンシュタインの思想が下敷きにあり、プレイ前にはやれ難解だとかやれワケワカランといった評判を多く耳にしていた。
がプレイしてみれば、単純にシナリオ展開がたいへんに面白い。
学校内の一つの事件をめぐって多数の視点から真相を紐解いていくその手並みの鮮やかさに血湧き肉躍る。
確実に他のメディアでは実現できない、エロゲだからこそなしえた完成度、比べ得るもののない名作ぶり。
ただ絵があまりにも往年の美少女絵という感じで、それに慣れた身にすらちょっと難がある。
だからといって敬遠するのはあまりにもったいない。
話もプレイし始めてから5時間ほどはかなり冗長で苦痛。
だからといって諦めるのはあまりにもったいない。
中盤からの物語の大回転を多くの人に体感してほしい。




装甲悪鬼村正[エロゲ]




最強のエロゲ。
善と悪とをテーマとして、それを延々、徹底的に突き詰めるシナリオ…というと堅苦しいが、題材としては架空戦記もので、極上のエンタメ作品に仕上がっている。
メーカーはニトロプラス。今となっては「まどマギ」や「Fate/ZERO」で有名になった虚淵玄をキーパーソンとしている、熱い男気と鬱展開が得意な会社だが、その10周年記念として企画された本作は、熱さも重苦しさも他に例を観ない。
立役者であるシナリオライターの奈良原一徹はもともと剣術道場の師範だとかで、それだけに作中剣を扱うシーンでは長々と本格の講釈が入るなども楽しい。
エロ要素はほぼ皆無で、いわゆるエロゲっぽくないエロゲでありつつ、エロゲだからこそ仕上がったと言える作品。
18禁であるがゆえに描写や展開にブレーキをかけず突っ走れるわけだ。
アニメ、漫画、映画、いずれもこの作品の媒体には適さない。
そもそもプレイ時間が60時間に達する大ボリューム。
小説を除く他のいかなる媒体でも、このボリュームを完成された書下ろし作品としては世に出せないだろう。
これはエロゲの大きな魅力の一つ。
漫画ではどんな大長編も連載中に軌道修正されていってしまい、なかなか一筋にまとまったストーリー展開が結末へ着地とはいかないところを、エロゲはやってのけてくれるわけだ。
またシナリオだけでなくCG、音楽、演出など、全てにおいて製作した人たちの本気を実感できる大作でもある。
プロすげーなと痛感させられる。




古賀[松本人志][コント]




松本人志の笑いの核心のいくつかが凝縮されたコント。
大きな笑いのあるコントでなく、特異な空気感にずっとニヤニヤさせられる。
男友達同士に特有の”なんか嫌ぁな空気”が見せ場。
古賀という男に仮託された男性像は、ひょっとすると自分にもあるのかもしれない。
この人間像を抽出できるって、つくづく松本人志はすごい。




とかげのおっさん[松本人志][コント]




これもまた、松本人志の笑いの核心のいくつかが凝縮されたロングコント。
松本人志扮する半獣人の"とかげのおっさん"と浜田雅功扮する子供との二人芝居。
設定だけ決め合ってからはほぼアドリブという、ダウンタウンらしい一回性が持ち味の演劇。
途中途中、松本人志が"とかげのおっさん"というキャラクターに見事に入り込んでるのがよくわかる。
当人もたしか、「これ以上入り込むと帰ってこれなくなる」みたいな感覚に何度かおちいったと述懐していた。
だから熱演という感じではない。本当に"とかげのおっさん"という存在があるような目で見てしまえる。
哀愁が漂うどころではない。哀愁に圧しつぶされる。




働くおっさん人形[テレビ番組]




これも松本人志。
芸能人でない一般人の、どこにでもいそうな冴えないおっさんに、ただひたすら松本人志がインタビュー形式で質問を重ねていく。
おっさんは応答のなかで、自分をよく見せるためかしょうもない嘘をついたりする。
それを松本人志がつつく。嘘というほどでなくとも、発言に隙があったらば見逃さない。意地悪く、追い詰めていく。
その突き放した距離感が最高だった。
次シリーズにあたる「働くおっさん劇場」では、出演陣のおっさんたちをキャラクター化して松本人志がちょっと仲良くなってしまっていたから、かなりがっかりだった。
ただ仕方ないかもしれない。
「働くおっさん人形」は、あまりにもコミュニケーションの怖ろしさを映ししまっていたから。




ブレイキングバッド[海外TVドラマ]




癌を宣告された化学教師が、教え子の悪ガキとともに麻薬製造に手を染める…
一級品のエンターテインメント。
ハリウッドに代表される娯楽性から一歩二歩進んだ、現代アメリカ作品の旨味が凝縮されたような。
脚本が秀抜。登場人物にも視聴者にも容赦しない。
最悪だなあ、という状況から更に最悪さを突き詰めていく胃痛展開。
話がセオリーな進展をしない。
見覚えあるシルエットのパズルが、見慣れない手順で、異形のピースによって組み立てられていく。




ファイナルファンタジータクティクス[スクウェア][シミュレーションRPG]




シミュレーションRPGの最高峰。
ゲーム性、シナリオ、グラフィック、BGM、ちょっとしたギミックに至るまで褒めどころが多すぎて困る。
だから一回の戦闘に何時間かけても楽しい。
割り当てられるジョブの増加にしても多彩なアビリティの習得にしてもキャラクターを成長させていく楽しみが快感的ですらある。
さらにもう一つ、名作ゲームってどうしてこうも効果音がいいのだろう。
何も剣戟だとかのアクションに伴う音に限らず、コントローラー操作に割り当てられた効果音一つ一つが心地いい。
難易度はぬるめ。
それでも尋常のRPGとは比較にならない数多の変数要素を組み合わせてしっかりゲームバランスを成立させているのだから感動的。




風来のシレン[チュンソフト][RPG/SFC]




1000回遊べるRPGが当時のキャッチコピーだったはずだが、偽りない。
何度プレイしても楽しい。何度プレイしても楽しいようにできている。
難易調整と自由度、プレイヤーに委ねられた工夫の余地が抜群。
人がプレイするのを見ているだけでも楽しい。
和の世界観もシャレすぎない程度に仕上がってる。グラフィックやBGMも好き。


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