ヒルカニヤの虎



 夜2時15分の待ち合わせ

3日は朝から神保町。神保町という街に足を踏み入れるのはゆうに5年ぶりです。御茶ノ水から明大通りをてくてく歩き、伯刺西爾で唸るほどうまい珈琲を飲む。飲みつつ2日の観笑記録を忘れないうちにメモ。最近もの忘れがひどくてねえ。
12時過ぎ、「ムネリンピック」前にお昼でも食べようと外に出ると3冊500円の古本ガレージセールが開催されており、そのまま14:00の開演まで古本を漁っていました。キッチン南海でカツカレー食べたかったのに!神保町はおそろしい街やで。大阪梅田のかっぱ横丁は高尚な稀少本ばっかりで叩き売りがないのです。ザツな本や雑誌の中に時代の匂いをかぎとるのが楽しい。

そんなわけでヨーロッパ企画永野宗典脚本/演出「ムネリンピック」、出演はカリカと犬の心。およそ不安要素のみつからない演劇なので、見てきました。前日に「神保町花月の椅子はヨシモトでいちばん座り心地のわるい椅子です」と教えられたとおり、途中2回くらい空気椅子で乗り切った。なんだあの謎な椅子の構造は。


■神保町花月‘ムネリンピック’2010/05/03/Mon_14:00-@神保町花月

この日の日替わりゲストはグランジのごめたんと大さん。ちまい永野さんとの暴力的なまでの身長差よ。永野さんは途中「小さい右翼」といじられていましたが、場所・時期ともにとても危険です。そういえばカテコでも「よくこの身長でこの台本が書けたね」「ジャンプして入力キー押すの大変だったでしょ?」等いじられたおしていたなあ。おいしい。公演中京都に帰りたくてしかたなかった角田さん。これもおいしい。

「ハレとケのタペストリー・ムネリンピック」。それにつどう男たち。
演劇はほとんど見ないのでこういう劇を何というのかわからないのですが、メタにつぐメタ、そしてメタ。でも芸人の個性をうまく活かしきっていて、最後には手堅く永劫回帰で締めた。「ガチに見せる演技」を客にガチかどうかわからないほどのテンションで演じるにはそうとうな演技力がいると思う。けどそこはそれ、カリカと犬の心なので安心して見ていられる。大喜利っぽいムネリンピック種目はアドリブだったのかなあ(無名塾の仲代写真de大喜利はもう二度と見れないにちがいない)。それ以外はとてもよく練られた心理実験劇でした。役と素のはざまで揺れ動く山田こと家城さんの演技がよくてねえ。あ、でもおとしどころとしての「虚」っていう要素はいらなかったかもしれない。私は同時代としてのそういう集合意識にどうにも共感が薄いので、弱る。

最後に永野さんがこの劇の意図を「演劇というツールで芸人を殴る」と語っていましたが、どちらかというと演劇人が芸人というツールでお笑い客を殴ったんではないかと。いやな殴られ方ではなかったけれど。気が向いたらストーリーや構造等の内容詳細を書くかもしれませんが、しばらくは忘れないと思うので今はいいや。※このパターンで感想を書き損ね続けているのが1月シュール5の田所仁プロデュース公演。
あ、あと関係ないけど大地震による建物崩壊という事象で笑うことができない自分にびっくりした。おもしろくないのではなくて、自分のなかに変な規制がまだある。笑うためには不自由だなあ。

個人的には、家城さん朗読の遺言詩がよかったです。

2010年05月03日(月)
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