大槍兵侍−diary page−
日記
RECENT

2025年05月01日(木)


久しぶりにリアル体型のプラモ記事。
(前回は2013年の武者ドム)

1989年に発売されたリアル武者キット、モビルスーツ戦国伝の武者頑駄無を作りました。
去年発売されたベストメカコレクションリバイバルのガンダム等とミキシングした簡単フィニッシュです。





当時、カタログとかに載ってたこういうポーズの写真を見て憧れてました。

BB戦士ムシャガンダム発売の1年後ぐらいに発売されたこのキット、1991年頃までは再生産された事もあったようですが、それ以降はカタログなどでも掲載されておらず、
現在は中古でも定価以上の値段で売られる事が多いキットです。

第2弾として摩亜屈、第3弾には仁宇も発売され、その頃に開催されたホビーショーで精太と駄舞留精太の試作も展示されていたようですが、発売には至らず。

先日バンダイのサイトで開催されていたガンプラパッケージ人気投票でこのシリーズのキットにも投票する事が出来ましたが、そのページの説明文でも「絶版」と書かれていました。

何年か前にようやく入手したものの、このキットを素組みで放置していたのは絶版キットに素組み以上の事をするのが恐ろしかったからでもありますが・・・





そもそも、素組みだとこんな感じです。

このプロポーションは、説明書に掲載されている設定画には結構近いといえるのですが、
昔のガンプラとかを知ってる人ならお分かりであろう、この「ヒジを前には曲げさせませんよ」と言っているような関節構造・・・




上腕と前腕の間に横ロールはあるので、このように90度回せば前にも曲げられるのですが、
前腕部の赤い鎧の位置が固定なのでこの向きだと鎧が下に回ってしまい、拳の真下に手っ甲が来ます。


そしてこの肩鎧にも独立可動が一切ないため、腕を前に上げると鎧もつられて回っちゃうし、
腕を横に上げる事もほとんどできません。


色分けは時代を考えればむしろできている方だと思いますが(発売は89年の秋から冬頃)、
今の目で見てこのキットは色を塗ればどうにかなるというものでもなさそうです。





このキットを今時のガンプラ並みに遊べるようにするには
これ自体を改造するというより、何か別のキットとニコイチした方がいいのでは・・・と思っていたのですが、
このベストメカコレクションリバイバルが各パーツのサイズ感もピッタリな上に、このキットと組み合わせるのにうってつけな要素を色々と持っていたのです。
そんなわけで、このリバイバルのおかげでMS戦国伝に手を付ける気になりました。


今回のものを作るにあたって、MS戦国伝武者頑駄無のキットを2つ、リバイバルガンダムを1つ、
HGUCのジムを1つ、HGUCアレックスを1つ、ビルドハンズ丸型を1つ使用しています。

あまり今風のデザインラインにするのではなく、言うなれば
MS戦国伝のリバイバルVerが想定コンセプトです。





それでは改造点を上から順に。

まず頭部の中にはHGUCジムの肩関節を丸ごと移植し、頷くような向きに前後スイングできるようにしています。
兜の中のガンダムの軽装頭部にあたる部分には、リバイバルの該当部分を移植し、
あおりで見た時などに兜の中の後頭部もチラ見えするようにしています。





このキットは胴体の中に当時画期的だった組み済みフレームが入っています。
首の接続はこのフレームを活かし、首の部分がボール受けになっているためここにボールの付いた棒を接続して
その棒に頭部を挿していますが、頭部を上に向けた時などにただの丸棒が見えてしまうのもどうかと思ったので
別キットのポリキャップから切り出した台形のパーツを棒の途中に差し込んでいます。

これで頭部は基部のボール可動だけでなく左右回転、頭部自体の上下のスライド、
そして頷く可動の4つの可動を備えているため、頭部周りが結構複雑な形状の割にはあまり邪魔にならずに動きます。



肩に装着している黒い肩アーマーはこのように天面が割れて隙間ができており、
さらに天面自体が肩先に行くにつれて上に反り返るようにしています。




肩鎧の金メッキパーツはあまり大きくいじっておらず、
このようにエの字のジョイントを裏に接着しているだけです。
(写真ではエの上の横線の部分が鎧に隠れています)

このエの真ん中の縦線の部分を肩アーマー天面の隙間に通すように肩鎧を接続します。




そうする事で、写真左肩のように鎧を少し外側にスライドさせた後、さらにスライドさせると
自然と上方に方向転換するため、写真右肩のように一杯までスライドさせれば鎧が水平の向きになります。

これにより腕も自由に横に上げられるようになりました。

黒い肩アーマーはジム、上腕はリバイバルを使用していますが、鎧をスライドさせる時に肩アーマーに鎧がこすれるため
肩アーマーは塗装ではなく黒いマスキングテープを貼っています。

今回はこの形状の上腕が欲しくてリバイバルガンダムを使用したようなもの。
HGとかの今時のデザインのガンダムだと肘関節が四角いグレーの箱ブロックになってて、
ファーストガンダムやMS戦国伝の当時のキットや設定画みたいな横倒しの円柱のみの形状になってないからなー。

でもこの上腕の難点は肘の可動範囲が狭いこと。
そこを上腕内部の改造でフォローします。



リバイバルガンダムの上腕はこのように骨格を外装が覆っているちょっとしたフレーム構造になっています。
この上腕フレームと、胴体側の肩ボールジョイントを腕部可動に利用します。



こういう構造になっています。

肩関節自体はMS戦国伝の組み済みフレームを使用し、
上腕は上下に分かれており上側はリバイバルの上腕を加工したもの、下側はリバイバルの前腕をひっくり返して加工したものです。

肩関節の下にリバイバルの肩ボールを接着し、上腕の下側はガシャポン戦士フォルテの関節から切り出してきたボールジョイントを前面の最上部ギリギリの裏側に接着しています。

真ん中にあるのがリバイバルの上腕フレームを加工したもの。
断面が凹の字になるような形をしており、この凹のくぼみの部分に上下からボールジョイントを差し込みます。




そうする事で、この関節を引き出した状態であれば上腕の途中のこの位置で曲げる事が出来ます。
本当はこんな所で曲がるのはおかしいのですが、そもそも肩鎧を前後回転させずに腕だけ前に出すというのも、ファーストガンダムの腰アーマーをパカパカさせずに足を前に出すのと同じくらい無理のある行為です。

キットのパッケージのイラストでも右肩鎧は直立時のポジションのまま右腕を前に出していますが、
イラストの腕の角度を再現するには腕を前に出すと同時に上腕を45度ほど横ロールするという複雑な可動をする必要があるため、この構造では完全には再現しきれず、肩鎧が斜めを向いてしまいます。

かといって肩鎧の金メッキパーツの前面がパカパカするようにヒンジを仕込んだりすると失敗してメッキが傷ついたり汚れたりする確率が80%くらいはあります。
絶版キットでそんな事をする気になれないのはお分かりですよね・・・。




この引き出し構造により腕自体が少し伸びる効果もあるため、このように刀を両手持ちする事も可能です。

説明書によると、刀の名は「日輪丸」。

キットの刀は小さすぎるため、エフトイズの某食玩を使用しました。





この食玩は鞘への出し入れも可能であり、抜刀ポーズも一応可能です。
柄が太くて拳を横向きで持たせることが難しいので拳の向きがこうなりますが。


金色部分はほとんどの部分をメッキまたはメッキ風にしていますが、武者頑駄無のキットを2個買っているのがここでも役立っており、
2個目のキットを利用して膝のメッキパーツを吹き返しの隅の飾りに使用したり、肩鎧のリング状の部分をくるぶしのリングに使用したりしています。
鞘の口のメッキパーツは四代目大将軍、鞘の先端は武者駄舞留精太のパーツです。


顔はリバイバルガンダムを使用していますが、
「目の周りの黒を再現するために目の周りに深く溝を彫りこむ」という仕様のために
目の位置そのものが随分と後ろに引っ込んでおり、横から見たときに目がかなり奥まって見えるのが難点なので
目の位置を少し前にずらした(少し垂れ目気味に調整もかねて)のですが、その際に目の形状が崩れてしまったのが心残りです。

この値段の1/144キットで目がパーツ分けされてるのはすごいけど、目の周りの成形色は赤いままでいいからシールで再現するか、
何ならそのくらい自分で塗るから、目を奥まらせないでほしかったなぁ。




ヒジ関節や前腕内部はキットのフレームですが、前腕を袖口の部分で切断して
金色の袖口の部分で横回転可能にしており、手っ甲と腕鎧は袖口のほうに取り付けています。
(当初は接着でしたが横回転の時などに接着がはがれやすいため両面テープにしています)


キットはフンドシが胴体と一体成型で腰可動が一切ないため、胴体を少し下に延長したついでに腰もボール可動にしています。

フンドシはリバイバルのフンドシを前後逆にして使用しています。

股関節もキットのフレームを使用し、太モモ側のボール受けのパーツをHGUCアレックスの上腕内部のフレームで包み込んでいます。
この上腕フレームの下の棒(実際には写真右脚のように別のランナー棒に置き換えています)が太モモ内を貫いてヒザ関節ブロックに刺さっています。




太モモはリバイバルガンダム。

中にポリキャップを仕込んでおり、ここをフレームの棒が通るので横回転も可能。
太モモはフレーム上部の球体を完全に露出させるMG2.0のような方式ではなく、前側と外側(つまり左脚の場合は左側)の板だけを残しています。
前の板を残しているので内側(左脚なら右側)に横回転する事はできませんが、そもそもそんな向きに回す事は基本的にないので太モモの見た目を優先させるという、EGなどの構造を真似しています。





ヒザ関節もキットのフレームを利用しています。
ヒザアーマー内部辺りにある丸いものは本来可動部ではなく、円周の途中に引っ掛かりがあって回らないようになっていますが、この突起を切り取って回転可能にしています。



この白いカバーは上部のヒンジで可動し、カバーを開くと本来の膝関節が現れます。
直立時にはLの字のような直角になっていたフレームが「への字」のような向きになることで上部の穴が大きく下を向き、ヒザを深く曲げる事が出来ます。
完成時には茶色く塗っているこのカバーは、直立時にヒンジを隠すことで関節の見た目を保つ役割を果たしています。

最近のHGとかはこんなややこしい事をしなくても深く曲がりますけどね・・・。


足首フレームを接続する部分も、同じく円周上の突起を切り取って可動範囲を増やしています。
やっぱりこのキットは89年という時代を考えると、この構造は時代の先を行ってたよなぁ。




箱絵や設定画などで背負っているナギナタは「電光丸」というそうですが、
キットにはこれのほかにBB戦士と同じようなナギナタも付属しています。
説明書ではこのナギナタの名前はありませんが、オンラインゲーム「ガンダムジオラマフロント」に武者頑駄無が登場した時にはこのナギナタは「雷光丸」という名前になっていたようです。
(いえ、ガンジオやってないから詳しく知りませんけど・・・)

ガンダム無双とは異なりこのモビルスーツ戦国伝版のデザインのリアル武者頑駄無を使用できるゲームだったようですが、既にサービス終了。




さらに「散光丸」という槍も付属。
これを持っているイラストや写真などはキットにはありませんが、説明書によると投擲武器だそうです。

そのほかに、手持ちの大砲「怒竜」と、背中につける旗も付属しています。


赤と黒の塗装はエナメルチタンシルバーを下地に塗った上に、黒はMr.カラースプレーのメタルブラック、
赤はMr.カラースプレーのキャラクターレッドとメタリックレッド及びタミヤスプレーのメタリックレッドの3つの赤を交互に砂吹きしています。

赤の発色を良くする白の下塗りとは真逆の行為、しかも複数色の点描のような事をしたのは、あえて鮮やかでない雰囲気を出したかったからでもありますが、赤がデジカメの苦手とする色だからでもあります。
明るい赤はデジタル写真だと表面の凹凸が消えて赤の塗りつぶしになってしまうことがあります。
(実際この記事の上の方の素組み写真でもその傾向があります)

白部分が白飛びするのはある程度しょうがないとも思っていますが、赤の撮影の難しさはいつも悩みどころです。





フロントスカートは箱絵を描いた開田裕治氏が
「キットがそうなってない事は分かった上で描いた」という
板1枚1枚が独立可動する状態の再現に挑戦しています。

まずそれぞれを4枚に切り分けた後、裏面の内側の端の線に沿って「針金入りカラータイ」を接着しました。
これ自体を買ったわけではなく、袋入り生ラーメンの袋を縛っていたものです。
針金そのものを接着するよりこういうものの方が剥がれにくいかなと。

ただし板を切り離すと板と板の間の隙間が目立ってしまうので、写真左のように赤いマスキングテープをそれぞれの板の裏に1枚ずつ貼り、
その際に上に少しはみ出すようにする事で、隙間を見えづらくしています。




内側の端のみが繋がっている状態なので、外側ほど自由度が高くこのように外側が重なり合っている箱絵に近い状態にもできます。

可動のために施したこれらの改造をすべてつぎ込んだのが、この記事の最初にある「パッケージイラスト風ポーズ」です。
出来れば右肩をもっと後ろに引いて、不自然な曲がり方をしている右腕付け根を隠したかった。

カラーリングは基本的に説明書に載っている設定画の通りに塗ってます。
ただし設定画のひさしが黄色い所や、前面と後面で配色が矛盾している部分など、さすがにそれは違うだろと思う部分は箱絵や完成見本を参考にしています。
ついでに言うとエナメルの上にラッカーで塗るというのは思いのほか剥がれやすく、あまりやらない方がいいことを今回学びました。



下にある後半へ続く。


 < 過去    


門次郎 [HOMEPAGE]