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前前戯 - 2005年06月25日(土) 「いきなり、抱くからね」 前もってメールでそう宣言されていた。 そのメールを読んだだけで、仕事場だったのに、心拍数が倍になって、頬が紅潮した。 それなら前もって少しひとりで一杯ひっかけてから行かないとなぁと思う。ノンアルコールでコトに及ぶのは実は苦手。恥ずかしいっていうかなんていうか。素面では笑っちゃうほどへたれ。 そう思っていたのだけど、待ち合わせの時間直前までバタバタしていて、そんな時間なくなってしまった。 よし、覚悟を決めよう。 今日は素面で、すっきりクリアーな頭で、彼の一挙一動全部きちんと脳裏に収めておこう。 とりあえず早く顔が見たくて逢いたくて、普段信号が赤になりそうでも電車が発車しそうでも絶対走らない運動嫌いの私が、待ち合わせ場所の本屋までの坂道を小走りに慣れないヒールの靴で駆け上がる。 姿を見つけて嬉しくて顔は自然ににやけてしまうのだけど、このあと「いきなり」なのかと思うと、急に緊張してくる。 そんな私の様子を見てか、「軽く飲んでから行こうか」と言われ、内心ほっとする。良かった。一気に飲んで勢いつけよう。やっぱりそうしよう。 と近くの店に入り、生ビールを注文したはいいけれど… 乾杯のあと、グラスの1/3ほど一気に空けたあと、全然飲めなくなってしまった。私としたことが。 料理もほとんどのどを通らない。 カウンターで肩が触れるほど近くに座ってる彼の綺麗な横顔を盗み見しながら、あのメールのことが頭から離れない。 いや、何も盗み見する必要もないのだけれど、正面を向かれると目を背けてしまう。 この目でこれから…。この口でこれから…。 うつむく私の手を握る彼の手を見て、 この手でこれから…。 そんなにあんたってウブだったっけ。ともうひとりの私が苦笑い。 初めて彼と逢ったときと同じくらい、ううん、たぶんもうカラダを重ねたことがあるから余計に、リアルに想像してしまって緊張してしまうのかもしれない。 もうすっかり泡の消えてしまったビールを一時間かけてやっとの思いで飲み干して、想像をリアルに変換するために、ネオンの街へいざ。
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