雑念だらけ
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2006年09月01日(金) 魔法

籍のことについて次の日も彼から話が出た。

「だって、お前と夫婦になるために俺は今日まで頑張ってきたんだから」と。

何を頑張ったんだろう、と思ったが言わなかった。

「いいかい」
私の目を見、両肩を掴んで穏やかにゆっくりとした口調で私を説得し始めた。
「お前への愛は一生変わらないんだよ。
こんなに愛してくれたかい?前の旦那は。
お前と一緒になれないなら、俺たちが今日までしてきたことは無駄なんだよ。
悔しくないかい?
幸せになって世間を見返そうよ、俺と。

俺みたいな生活力のない男と一生なんて不安かもしれない、でも、愛があれば大丈夫なんだよ。

俺と一緒にこれからやってくる試練を乗り越えよう、
俺と一緒に責任を果たそうよ」


私は、まるで何かのドラマみたいな感じだよな・・・と妙に醒めていた。
昔ならいざ知らず、もう通用しないよ、その作った真剣さは・・・とまで思った。
結局は「責任」に話が行くし。
彼の不安はそこしかないのだろう。

そしておそらく、だが
彼の母親も息子ひとりに慰謝料を払わせるのは無理だから夫婦にしてしまって私の稼ぎをそこに当てよう、と思ったんじゃないか、と。
私たちを応援してるんじゃなくて息子を助けたいのでは、と。

きっと私は、彼の母親にすれば
『純真で純情で優しい息子を誑かした悪い女』
に、違いない。
逃げ出せば更に『悪さ』が増すはず、
が、もうこうなったらどう思われても構わなかった。




悪いけど、私は籍は入れません
お母さんがどう言ったか知らないけど入籍は私たちのお互いの問題です
どんなにあなたが私を説得しても、入籍しません



・・・殴られるか、いや 彼は顔を殴らない。



ハンっ・・・と呆れたようなため息をして手を下ろした。

「なんだよ・・・俺の魔法がもう効かないんだ・・・
俺の言葉にはもう効力がないんだ、

変わったんだよ・・・お前が」


そうか、やっぱり自分の『効果のある言葉』『効果のある表情』を知って使ってたのか。
『魔法』を使っていた、と手の内をバラした彼にちょっと驚いた。

でも、魔法なんてない。
あっても、こんな場面で使ってはいけない。



男と女の形は夫婦だけじゃないでしょ

「結局俺だけか・・・」

何が?

「ひとりで一生、借金して払い続けるんだ・・・きっと」
諦めたように情けなさそうに フッと笑った。




でもこの人は知ってる、どのみち私を傍に置いてたほうがいいってことを。
仕事を増やす気も無い。
それに、いざとなれば自分の親がなんとかしてくれると思っている。
覚悟が無いならヤバい道に踏み込んだらいけないんじゃないのか。
そんな風に考えるようになったんだから終わってるんだ、私も。
変わったのは私か・・・
そうなのかもしれない。
変わってしまったのなら、それでよかった。
開き直りなのか、サバサバした気分だった。



あー、もうー!!と頭をかきむしるような動きをして
「お前の好きにすればいいさ・・・
お前が、俺のために、って気持ちで自分から進んでやってくれなきゃ意味がないんだよ・・・
忘れるな、俺の愛は一生のものだからな」
彼は背を向けた。
昔なら、こんな行動や言動が怖かったし機嫌を取らないといけないと思い焦ったけど。
もしかしたら私を焦らしビビらせるための『魔法』だったのかも、それらも。




好きにします、と心の中で答えた。

この先何度、籍についての話を振ってくるか分からないけど、何度話しても私の答えは変わらないよ、と。




メールは受け取っておりません。すみません。

[LINK] 「モラル・ハラスメント被害者同盟」
モラハラで苦しむ方々へのメッセージや皆さんの体験談があり
私の心の支えとなりました。

ヨウ