| 2008年07月07日(月) |
患者に厳しく言いたい時もある |
今更言うまでもないことですが、自分の体は自分で守るものです。他人は誰も守ってはくれません。医者や歯医者などは患者さんからの訴えを聞き、何が原因か医学的知識をもとに探り、何らかの処置を行うのが本来の役割です。患者さんが自らの体の異常を察知し、治さなければならないところ、専門家として患者さんの代わりに原因をさぐり、患者さんに治療法を提案し、実践するのです。この点、意外に思われる方も多いかもしれませんが、考えてみれば当たり前のことで、自分の体に起こった様々な不調や症状の責任は突き詰めれてみれば全て自分に原因があるものなのです。
どうしてこのようなことを書いたかといいますと、最近、患者さんの中にはどうも医者や歯医者に依存しすぎている人が多いのではないかと思うことが何度もあったからです。
“歯医者へ行けば、むし歯は治るだろう“ “歯医者へ行けば、歯槽膿漏は落ち着くだろう” と心底信じきっている患者さんが多いのです。僕はその都度、患者さんには歯医者での治療はあくまでも応急処置、対症療法に過ぎない。真の原因治療は患者さん自らが常日頃実践していかなくてはならないことを伝えているのですが、どうも僕の意図するところを真に理解している患者さんは少ないのが現状です。
僕の説明の仕方にも問題があることは重々承知しています。自分がもっとわかりやすく、患者さんの立場にたって歯の健康の大切さ、普段からの心がけ、自己管理の重要さを伝えなくてはいけないのですが、それがなかなか伝わらない。どうしたらよいのか?時には患者さんに厳しく、叱りつけるように諭さなければならないのかもしれません。
“どうして俺の言うことを理解しようとしないのだ。もっと自分の体のことを真剣に考えてくれ!”
何度口を開いて言おうとしたことがあったでしょう。 しかしながら、僕はこれまで一度も厳しい口調で諭すようなことを言ったことがありません。それができないのです。
歯医者稼業も医業とはいえ一種の商売です。患者さんが何人来院して経営が成り立つという側面があるのです。そのため、患者さんに厳しく当たることでその患者さんが二度と来院しなくなる。そんな思いがどこか心の片隅にあるのは事実です。しかしながら、真に患者さんのことを思うなら、時には厳しく叱責することも必要ではないか?
難しい問題です。いくら歯医者が一生懸命熱意をもっていたとしても、患者さん側に関心がなければ馬の耳に念仏です。如何に患者さんの関心を引き出し、患者さんの利益にかなうことを実感させ、持続させていくか?おそらくほとんどの医者、歯医者がこのような悩みを持っているはずです。押してもだめなら引いてみる。アメとムチではありませんが、時には患者さんに適度な刺激を与えることも必要なのかな?最近、そのようなことを自問自答すること多くなった歯医者そうさんです。
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