| 2008年07月02日(水) |
1ミリグラムの歯垢にばい菌1億個 |
先週、小学校1年生相手に授業をしてきた歯医者そうさんです。今週は、一般社会人を相手に健康講座をお手伝いすることになっております。いろんな方に歯の健康の大切さ、むし歯や歯周病予防について話をすることがあるのですが、常に心がけていることがあります。それは、極力専門用語を使用せず、わかりやすい言葉で説明することです。しごく当たり前に思われるかもしれませんが、これが結構難しい。普段、歯医者として当然のように使用している言葉や概念、イメージが患者さんには伝わっていないことが多々あるからです。多くの人に歯のことを伝えるには、専門知識を持っていない人の視野に立ち、普段自分たちが話している言葉、考えを翻訳しなおす必要があります。
そんな歯の健康を伝える啓発的な講演、講義、授業ですが、老若男女、全ての人に衝撃を与えることがあります。それは、普段見慣れていないものを見せることです。例えば、歯垢です。誰の口の中にでもある歯垢ですが、これをピンセットなどで一掻きし、顕微鏡の上に載せて見てみると、ほとんどの人はその異様な光景に目が点になります。何せ、数限りない微生物がウヨウヨ存在し、動き回っている像が見えるわけですから。
歯科研究者の調査によれば、口の中には300種類以上のばい菌が存在します。全身には700種類のばい菌がいるとされていますので、口の中には全身のばい菌のうちほぼ半分が存在することになります。 驚くべきはその数です。わずか1ミリグラムの中に含まれるばい菌の数は1億個なのです。一億ですよ!想像できるでしょうか?一億といえば、日本国の人口数にほぼ匹敵する数。わずか1ミリグラムの歯垢の中に日本の人口数分のばい菌が存在しているのです。
もちろん、全てのばい菌が口の中で悪さをするわけではありません。それぞれのばい菌はバランスを取って共存していますが、中には歯に害を及ぼすばい菌が存在するのです。むし歯の原因菌や歯周病の原因菌がそうです。ばい菌の数が増えれば増えるほど、これらむし歯の原因菌や歯周病の原因菌の数も増える。ということは、歯を磨かず、放置したままの口の中は自ずとむし歯や歯周病になるリスクが高くなることが言えるでしょう。
口の中のばい菌数は想像を絶する数があるわけですが、我々は望むと望まないとこれらばい菌と共存していかないといけません。口の中は適度な湿度と温度があり、ばい菌の繁殖には絶好の条件が整っています。そのため、放置していると口の中は歯垢だらけ、すなわちばい菌だらけの状態に陥ってしまいます。ということは、歯や口の健康維持にも悪影響を及ぼす可能性があるわけで、日頃の歯磨きはこれらばい菌を定期的に減少させ、ばい菌の暴走を防ぐ役割があるわけです。 また、定期的に歯医者の下に通い、日頃の歯磨きでは取り除けない汚れや歯垢、歯石などを除去する必要があるのです。
|