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| 2016年07月24日(日) |
小さな港町Cassis |
宿泊した宿はマルセイユの中心駅St.Cherlesのすぐそば、メトロ駅Noaillesとの間。NoaillesからM2で二駅行くとCastellaneという駅に着く。ここからあらゆる方面へ向かうバスが出ている。沢山でているのでちょっと迷う。とにかく″M8″と書かれたバス停に立つ。わたしの時刻表の読み方が正しければバスが来るのは1時間後。そのうち半水着姿の人が増えてきたので、尋ねてみるとみんなカシに行くというので安心する。20分程前にバスが到着。空港シャトルバスのような乗り心地の良いバスなのにも関わらず、料金はたったの€1.20。普通の市バスの価格なのだ。これで35分かけて一山超えてカシまで行ってくれるのだからすごい。
″元フランス植民地″出身のような顔つきのドライバーはちょっと太めで陽気で大雑把な人に見えたが、運転はとても慎重で繊細だった。典型的フランス人の運転で山道など走られたらと想像して自分の命を心配していたのだった。それにしてもこの道中は絶景だ。武骨に粗く切り立った岩山をぐんぐん昇り、昇り切ったことろで地中海が眼前に広がる。バスの後ろのほうにいる女性があまりにもの絶景に激しい呻き声をあげ続けていた。背後にいたフランス人の男の子がぼそりと呟いた。
「彼女はオーガズムに達したらしい」
ぷっ、と吹き出してしまった。確かにそんな声だった。
カシの近くまで来ると一方通行や車の通れない細い道ばかりになる。町の入口が終点となる。
カシに到着。ひとまずジェラートを食べて町と港をざっと歩く。聞こえてくるのはフランス語ばかり。落ち着いた町で、そう若者に人気のリゾートではないのか、年配層と家族連れが目立つ。大きなラゲッジなど持っているような旅行者も見かけないので、近辺からふらりと車でやってくるような人ばかりなのだろう。
シエスタの時間。
白桃を買って散歩。丘のてっぺんに上がる小路を発見した。桃を頬張りながらこの景色を独り占め。最高に贅沢な気持ちに浸った。
夕飯はピッツァを。この辺りではピッツァといったら薄焼きクラッカーのような生地にたっぷりチーズが乗っているのが主流のようだ。つまみのようにチーズを味わう感じで、食事っぽくないのだよな。もう少しパンっぽい生地が好きだな。
この景色!と何かずきんと胸に来て、横を見ると"Rue Paul Cézanne"と書かれていた。何か彼に由来しているのだろうか。
"Rue Paul Cézanne"に住む猫。
観光客が押し寄せる前の朝の静かなカシの海岸。コーヒーとクロワッサンを買い海を眺めながら食べる。
が、そのうちビールを片手に奇声をあげながらよれよれ歩く20代くらいの若い女の子が二人現れる。二人ともだらしなく太っている。相当酔っ払っているようだ。浜辺で突然服を脱ぎだした。ひとりは黄色いパンツ、ひとりは黒のレースのパンツ。あっけにとられているわたしを尻目に走って朝の冷たい水の中に入っていった。二人がちゃんと生きて家に帰れたのかは知る由もない。