My life as a cat
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2016年07月16日(土) 旅をするバジル

バジルがすくすくと育って、間引きして同僚達に苗をお裾分けした。家の庭やらアパートの窓辺のプラッターに移植された苗たちはすくすくと育っているらしい。我が子を嫁に出したような気持ちだよ。それぞれの家庭の食卓に乗って喜んでもらえたらいいな。

イタリア南部のうらぶられた村に住む貧しい家族の物語があった。太陽だけがぎらぎらとして土壌は痩せていて平地が少ない。海に面しているのに、食べるのに精一杯でそこまでの距離が果てしなく遠いように感じてしまう人々。小さな子供を抱えて家もない家族はやっと稼いだ日銭でパスタを買い、どこかから飛んできた種が発芽して育つバジルと松の実を摘み、それを摩り下ろしてパスタと絡めて腹を満たした。。。。

バジルはそんな痩せた土でも育つものらしい。野菜やハーブは土が肥えていればいいというものではない。そんな物語を読んで、バジルにはあまり肥料をやらないのだが、それが逆にいいのか、毎年よく育って、翌年まで分のバジルペーストとなってくれる。

来週の地中海への旅の準備をしていたところに、ニースのテロのニュース。道端に横たわって布を被せられた沢山の遺体、そしてその脇で泣き崩れる人々。自分はいつも孤独だと思っているけど、それでも誰かが側にいて与えてくれる幸福というのも知ってるし、その人を失う哀しみも解る。誰かに断ち切られなくたって、人は必ずいつかは死んでしまうのにどうしてわざわざこんなことをするのだろう。考えても考えてもわからず、ただただおろおろ泣くことしかできない。

(写真:朝の光が差しこむキッチンでトマトソースを煮込んでいたら、その美しい赤と緑に心を奪われた)


Michelina |MAIL