My life as a cat
My life as a cat
DiaryINDEXpastwill


2016年06月08日(水) つられて笑う

刻んだ玉ねぎ1個分、卵1個、小麦粉半カップ、パン粉1カップ、水50mlほどをグルグルと混ぜて、俵型に成型して、もう一回パン粉を付けて多めの油で両面焼くだけの揚げ物風を作ってみた。レシピにはなかったが、刻んだ塩レモン(同僚が2年程前に仕込んで熟成させたのを分けてくれた)も混ぜてみた。この隠し味はかなり良い働きをする。すごい、すごい、これ揚げてないのに大好物のオニオン・リングを思わせる味。見た目的にちゃんとたっぷりの油で揚げたみたいにリッチだし、なんていっても新玉ねぎが甘くておいしい。自分の家で一度も揚げ物をしたことがないわたしとしては、この″揚げ物風″にすっかり気分が高揚し、また冷蔵庫から八海山がでてきてしまった(興奮するとでてきちゃうらしい)。

ポストに投函したものが、サイズオーバーで戻ってきてしまった。ぎゅっと潰せば規定内サイズで行けるかと思ったのだが、郵便局にある木枠を通れないと言う。投函してから2日経って戻ってくるなんて。。。相手もあることだし、どうして一寸たりとも融通きかないのか、と機嫌を損ねていた。

ところが配達に来た女性に苦情を言うと、

「そうね〜。2日も経って戻って来たんじゃ困るわね。電話して聞いてあげるわ!」

と思いがけず同調してくれて、包み直した物をまた持っていってくれた。

「また、これでもその木枠を通らなかったらまた2日後に戻ってくるんですか」

と聞いたら、

「それじゃ、困るものね。わたしは配達終わるの9時くらいなんでそれ以降でよければ電話します」

とあっけらかんと答える。夜の9時。わたしが寝る準備にかかるような時間にこの人はまだ働いているのか、それなのに親切にも電話をくれるという。人は怒っている時にただ謝られたりすると、行き場のない怒りをその人に向け返す以外になくなってしまうのかもしれない。謝るわけでもなくきびきびと解決を試みるこの女性にわたしはすっかり好感を持ったのと同時に申し訳ない気持ちになっていた。

結局郵便局の男性から電話がきた。

「木枠通らないけど、もう送りますわ。圧縮袋にでも入ってたらよかったんですけど、どうしても空気が入っちゃってうまく抜けないんですわ」

と言って、がっはっはっ、と笑っている。急にこんな小さなことについ1時間前まで真剣に機嫌を損ねていた自分が可笑しくなって、つられるように笑ってしまった。

「お手数おかけしました。これから気をつけます。配達の方にも時間を取らせてしまってすみませんでしたとお伝えください」

と電話を切った。自分の物語なんていとも簡単に想像と違う方向に転がっていく。心が疲れていたりすると絶望的に思えることでも、他人が笑い飛ばしてしまったとか、そんな些細なことでまったく違ったエンディングを迎えるものなのだ。最後に自分が謝れたことに何より自分がいちばん安堵した。


Michelina |MAIL