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| 2016年04月21日(木) |
一つの都市、二つの世界 |
上海にやってきた。機内でこの街の歴史の本を読みながら来て街をざっと歩いた感想。発展目覚ましいといわれるこの街は確かに一部のものは目覚ましく変化しているが、構造と体質は150年前と変わらないのではないかということ。19世紀後半、貿易港としてイギリス、フランス、アメリカ、ロシア、日本などに目をつけらて各国の租界が出来た。租界の中に住む人々は、自国からの文化をまるごと輸入し、優雅に暮らした。決して租界の外に出ることはなく、中国人と交流することはなかった。そして、中国人達も彼らに興味を示すことはなかった。現在、租界は″旧租界″と呼ばれている。しかし実際はどうか。金融系の会社のオフィスが入るモダンな高層ビルやコンプレックス。グローバルなカフェやレストランのチェーンも入って、客の半分くらいが欧米系だ。コーヒー1杯30元、食事は200元くらい。そのすぐ裏手の小さな路地には全く異なる世界が広がっている。屋外の石の洗面台でゴシゴシと衣服を洗い、石窯でパンなどを蒸している。屋台を除くと、20元もあればおなかいっぱい食べられるような価格設定だ。ここの人々を表通りのスタバで見ることがないように表通りの欧米系の人々の姿もここにない。ここの人々はわたしのようなカメラをぶら下げた異色なツーリストが踏み込んでいっても全く興味がないといった雰囲気でじろじろ見たりはしない。外国人慣れしているが、頑なに無関心を貫いているかのように。まるで一つの都市に二つの全く交わることのない世界が存在しているかのようだ。
ステイしている宿は路地裏にあり、道路にゴミが散乱し、そこら中に痰や唾を吐くオヤジ達がうろつき、屋台では肉の塊に包丁を振り回している人やら串焼きに群がる人でごったがえしている。はじめてメトロの駅を降りた時は″うわぁ〜、すっげ〜″と圧倒され、車や自転車に轢かれそうになりながら歩いたが、しばらくするとゴミや痰や車をよけながら歩くのがうまくなった。幸い宿はクリーンで、ラウンジへ出れば、色んな国籍の旅人がたむろっていて、夜な夜な話す相手を見つけることができる。日中は裏路地を練り歩き、おなかがすいて食堂へ入れば、肝っ玉かあちゃんみたいな店主にわけもわからず中国語でまくしたてられながら食事したりしてるのだから、宿へ戻って英語がすんなり通じる人々がいるというのは″Home″に辿り着いたような安らぎを感じる。
(写真:洗濯物は小路の通行人に見せびらかすように干すのがスタンダードのようだ)