My life as a cat
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2015年12月14日(月) The East

帰宅途中。あまりにもの空腹で、近所のスーパーマーケットで″ご自由にどうぞ″と置いてある試食の煎餅をふたつ、みっつ取って、ぼりぼりぼり。。。と食べながら買い物していた。そこへ小学校低学年と幼稚園くらいの姉妹が歩いてきた。妹が試食の煎餅を欲しがる。おねえちゃんがひとこと。

「いいけど、ひとつだけだよ」

「は〜い!」

と妹。ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、夢中で食べていた煎餅が喉に詰まりそうになった。恐れ入りました。わたし深く反省しました。

お菓子コーナーの端っこでは、小さな男の子がフックにぶら下げられていた小袋のベイビースターを取ろうと手を伸ばしていた。

「あ〜、届かな〜い。もういいやっ!」

などと呟いていたので、どれどれと取ってさしあげた。

「わ〜、すみませ〜ん」

礼を述べると必死の形相で走り去っていった。子供ってそこに居るだけでその癒しエネルギーは絶大。前の家の赤ちゃんの笑い声など聞こえてくると、それだけで自分を取り巻く世界は平和そのもののように錯覚してしまう。


"The East" という映画を観た。過激な環境保護団体を潜伏捜査していた捜査員がその思想に染められていくはなしで実話に基づいたもの。森の中に身を潜めて、ゴミ箱から拾ったものを食料とし、その暮らしぶりは極めて宗教儀式めいている。彼らは全てが工業化され、食べられるものも規格に合わないという理由で廃棄され、企業が平気で環境を破壊し、有害なものを売ることに抵抗している。″テロリスト集団″と呼ばれる彼らのテロ行為とは、製薬会社の重役が集うパーティーに潜入し、彼らが副作用を知りながら売っている薬を彼ら自身の飲み物に注入したりすること。

彼らの行っていることをテロと呼ぶのなら、金儲けのために自分の顔が認識できなくなるほどの副作用を隠して売る製薬会社の行為はなんと呼ぶのか。自分のドリンクに注入されてはならないものを売っているのだから、これこそテロ行為ではないのか。大企業に汚水を垂れ流され、水道から出る水から病気になっても簡単には他の町に引っ越せない貧しい人々。その大企業の幹部達は離れた郊外の高級住宅地で悠々と暮らしている。

ゴミを漁り森に潜んで生きる人々が、高価なスーツに身を包み高級住宅地に住む人々を攻撃すればテロだという。過激な環境保護団体を声高に肯定できないのは、その暮らしぶりを不気味だと感じ、アクションが一見過激に見えるからだけで、例えば彼らの声明を紙面で読んだならば彼らの主張は道理を得ているとはっきりと賛同しただろう。映画としてはまったく面白くなかったが、ひたすら複雑な気持ちになって忘れられなくなった。


Michelina |MAIL