My life as a cat
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2015年11月14日(土) Arie auf G

日本時間の13日金曜の夜、パリは昼。翌日の誕生日を家族と祝うためにパリを出て電車に乗り南下中の友人としばしチャットして、床に就いた。

翌朝、別の友人からのメールで金曜の夜のパリを襲った事件のことを知った。日本のメディアは関心が薄く、英語で読める限りのニュースを読んだ。歩いたことのある路ばかり。結局12月になったものの当初は11月の休暇をパリで過ごす予定だったのだから自分が被害者となっていてもおかしくなかった。しかし、自分でなくてよかったという気持ちにはなれなかった。被害者は、わたしと同じたいした政治的意識を持たない金曜の夜を音楽や友人との時間に費やしたいただの市民だ。

「あなた方の兄弟が成し遂げたように、どこにいても不審者を攻撃せよ」

とISは発しているが、被害者の中には多くのムスリム系の人々が含まれている。″兄弟″なんてひとりよがりだ。友達とカフェで会う、と家をでた人が2度と戻らないとは誰が想像するだろうか。自分の大切な人が、、、と考えるとたまらなくなった。

心の重い日を過ごし、夜に頂き物のチケットで新フィルハーモニック交響楽団のコンサートへ出かけた。開幕いちばんパリの犠牲者に向けて演奏された″Arie auf G"。体の中をすっと通り抜けていくようなそのあまりにもの音色の美しさに泣きそうになった。この世はこんな美しいもので溢れているのに、なぜ戦いを選ばなくてはならないのか。

TED. TALKでのテロリストの息子であるZak Ebrahimのスピーチを思い出す。憎悪を持って生きることは非常に疲れることなのだということ。彼のような生まれてこのかた暴力の世界を強要されてきた人間が、大人になって名前を変え、父親とは違う道を歩むことを決意したきっかけはあまりにも他愛ないものだった。

会場みんなで黙祷を捧げた。目を閉じると瞼の裏が熱かった。


Michelina |MAIL