My life as a cat
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2015年08月02日(日) 小雨のリヨン

朝Marseilleを出発して飛行機の発つフランス南東部の街Lyon(リヨン)へTGVで移動する。所要時間3時間程。価格は€20程度。この間の車窓からの景色は特筆すべきものがなく、読書に没頭した。

リヨンは″LYON PART DIEU(リヨンパールデュウ)″″LYON PERRACHE(リヨンペラーシュ)″というふたつの主要駅があって、空港や他の都市へのアクセスの利便性をとるなら前者、観光主要スポットへのアクセスなら後者という選んで下車する。わたしはもちろん前者。とはいえ交通網も発達していてふたつの駅の間は簡単に行き来できるので、大きな問題ではない。

小雨の降るリヨンに降り立った。リヨンパールデュウ駅から徒歩3分の無表情なチェーンのビジネスホテルに荷を降ろして街に出た。

リヨンのメトロで一日フリーパスを買った。€5ほど。自動販売機で簡単に買えるのだが、コインかカードしか受け付けないので、カードのないわたしはどこかでコインを作ってこなければならなかった。

まずは地図を入手するのにOffice de tourismeへ向かう。マルセイユと打って変わって人々の肌色が薄くて、クリーンで治安の良い静かで平和な街といった印象を受けた。




Art streetにあるLe Street Artという小さなハンバーガー屋さんでランチを食べた。ネットで写真を見て絶対食べたいと予約してきた。若いフランス人の青年ふたりが立ち上げたお店でふたりとも旅が好きなようで英語を流暢に話した。

「君が3週間前に日本から予約を入れてきたとき、正直オレ達は″ショック″を受けたよ。だってこんな小さなハンバーガー屋に予約入れる客なんて今までいなかったから」

「だって、HPから簡単にメッセージ送れたし、東京ではちょっと人気がある店なら並ぶ羽目になるんだもん。予約入れるにこしたことないじゃない」

小麦粉と野菜の本当の素材の味しかしないフランス人の作るホームメイドベジバーガー、とても美味しかった。食後のカフェをサービスしてくれた。



本日のパンチライン。Like it!(親指)



歩いてローヌ川へ。小雨が降っていてうすら寒い。マルセイユで陽気な太陽に照らされた直後なだけに心が萎えてきた。観光スポットもチェックしてきたのだが、ただぼんやり街を散策するにとどまった。人々は都会的でバッグをギュッと握りしめて常に気をはらなくてもいいような雰囲気で、落ち着く。でも、何かしっくりこない場所というのはあるものだね。






リヨンにはこれといった大きな感動がなかった。

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空港へはRhone expressという東京でいうNarita expressのようなのがリヨンパールデュウ駅から出ているのだが、これを使うと国際線が発つサン・テグジュペリ空港までまっすぐで30分。料金が€15でツーリスト感覚からするとそう高くもないと感じる。しかし!地元の人はこれは使わずトラムとバスを乗り継いて€3.8で空港まで行くのが一般的だというではないか。バスとトラムの乗り継ぎを1回で所要時間は40分。10分しか変わらない(こういうところも成田エクスプレスのようだ)。地元民の道を選んだ。

トラムの出発地は同じ。スーツケースを持った人々はみんなRhone expressの乗り場にいたが、わたしは地元の会社員やら学生やらに交じってT3のトラムに乗った。朝7時くらいだが、車内は空いていて、スーツケースは邪魔にならずに済んだ。トラムで30分。″Meyzieu Z.i.″という駅で下車。バス停までは徒歩2分くらい。バスもトラムも平日なら15分〜20分間隔でやってくるので、不慣れでも1時間〜1時間半くらいみておけば空港に辿り着けるでしょう。また現在はトラムとバスは別会社が運営しているが、今年の9月以降はトラムの会社がバスも運営するらしい(とトラムの運営会社の人が言っていた)。

バス停にてたまたま話した若い男の子は日本人だった。リヨンの大学で勉強している留学生で、夏休みの間帰省するのだという。彼とお喋りしながら空港まで行き、チェックインも済ませて、一緒に朝食を食べることにした。学生の彼がパンや飲み物の価格をきっちりとチェックしているのを見て思いついた。パンとカフェを頼んで、レジで″わたしに払わせて欲しい″と申し出た。とても恐縮していたが、結局支払わせてもらうことができた。わたしは彼に奢りたかった。というのも、自分が学生の時や若い頃、旅の途中で会った大人にあれこれ奢ってもらったからだ。その人達に奢り返すことは出来ない。彼に朝食を奢ったことで、社会に何かを返還できたような良い気持ちになれた。留学生活の話を聞けてとても楽しかった。英語とフランス語のメンタリティの違いについて話していて、彼が言った言葉がとても印象的だった。

「オレはフランス語の"Tu me manques"って表現がすごい好きなんだぁ。英語では″I miss you"で主語が自分だけど、フランス語ではこれを直訳すれば″あなたがわたしを寂しくさせる″なんだよ。相手ありきで理由があるのがいいな」

フランス語にはこういう″相手と自分の間″というのが明示される表現が多い。

彼とは同じルフトハンザ航空でフランクフルトまで行き、そこで成田行きと大阪行きの便で別れた。

これにてこの旅行記はおしまい。

Michelina |MAIL