My life as a cat
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2015年08月01日(土) ジャック・マイヨールの海

ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院の丘の上に立って街を一望し、″ここに住みたい″と胸を膨らませて、またプチトランに乗ってビューポートまで戻って来た。午後4時。一番の稼ぎ時という季節でも港にずらりと並んだカフェの半分くらいは店を閉めている。中に人の気配のない店が多い。なぜだろうか。

ビューポートから海を正面に見て左手側をずっと海岸伝いに歩いた。海水浴場ではライフガードではなく警察が監視をしていた。




このカフェで軽く夕飯を食べることにした。海に隣接したカフェやレストランは値の張る高級店も多いようだが、メニューや価格はちゃんと入り口に掲示されているので安心だ。

いつかこの海岸線をドライブした時に、海に面したカフェに立ち寄りたいと思った。こんなところでカフェの一杯でも飲めたらさぞかし素敵だろう。しかし、ハンドルを握っていたボーイフレンドは土地に不慣れでここまで来ただけで十分ストレスのようだったし、すぐにパーキングなど見つけられそうになかったからそれは夢に終わった。

人生の中で見た小さな夢は沢山あるが、あの時果たせなかったひとつの夢が今叶った。



夕飯には早いせいだろう。ほとんど客のいないカフェには海風のざわめきしか聞こえない。テラス席に腰かけて、通り過ぎるヨットや隣の高級レストランの前で岩の上から波の荒い海に飛び込んで遊ぶ地元の少年達を眺めていた。

マルセイユの出身で"Le Grand Bleu"の主役のモデルとなったフリーダイバーのジャック・マイヨールは南房総へやってきて、自分の故郷と似ていると言ったそうだ。彼はそこに別荘を買い、ダイビングを楽しんでいたという。わたしもこの街にはなぜか故郷に帰ってきたような親しみを感じる。海も風の質もここのほうが大分ダイナミックだけれど、ダイビングが趣味であり生活であった父が子供の頃よく連れて行ってくれた南房総の海には似た風景が沢山ある。

ジャック・マイヨールもこの少年達のようにこの海で遊んでいたのだろうか、と思いを馳せながら眺めていた。



タコのサラダを食べた。茹でたタコにバジルソース、レモン、塩・胡椒。それだけのシンプルなもの。こういうの好きだな。






最高に眺めの良い窓



サラダとカフェで€15くらいだったかな。

カフェを出て、もっともっと歩いていく。海に背を向けて両手を挙げている女神のような石像がある。何かの戦争記念碑のようだが、フランス語で解らなかった。












この辺りで街まで引き返すことにした。歩いて30分〜40分くらいかな。




西陽に染まるビューポート



夕暮れ時のビューポートはあらゆるパフォーマーがいて賑わっている。水際にはそれぞれの時間を楽しむ人々が。









夜の9時。愉快なのはビューポートの周辺のみで、ちょっと裏通りに入ればたちまち不穏な雰囲気が漂ってくる。ホテルまでの道を足早に歩き、無事辿り着いた。ホテルの窓を開け放つとなんとも良い風が入ってくる。しかし、部屋は2階で下の通りには目つきの怪しい男達がうろついている。仕方なく窓をしっかり閉めて空調の風に頼って寝た。

治安面での悪評高きマルセイユ。これといって何も起きなかったが、裏通りには気味の悪い男達がうようよといて、用もないのに遠くから奇声をあげて呼び止めてきたりする。そういう類ののんびりと通りを歩けないという雰囲気は感じた。だが、明るい海岸沿いの表通りは、その裏通りの暗さと不気味さをすっかり忘れてしまうほどの魅力に溢れていた。

Michelina |MAIL