My life as a cat
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2015年06月26日(金) 会社に行きたくない

セブンイレブンでたまたま目についた本のタイトル。

「会社に行きたくないと思った時に読む本 〜心が軽くなる言葉90〜」

白地に黒文字でこう書かれていた。先日調べものをしていた時、″会社″というワードを入力したら、後に続く言葉の最有力候補に挙がっていたのが″行きたくない″という言葉だった。GOOGLEの検索ワードにそう入力している人々の憂鬱な姿を想像してぞっとした。日本人の90%は会社員(またはどこかに属している)と先日討論番組でやっていたから90%の人が少なからずそう思う可能性を秘めているのだろう。自分のことを振り返ってみれば、行きたくない会社はすぐに辞めてしまったから、ぐちぐちと思い悩んだことはない。今の仕事で満足かと言われたら、全くそうではない。給料値上げ交渉したり、上司に希望を出したり、部署移動願いを出そうかと考えたこともあるし、転職活動はゆっくりながらも続けている(高望みでなかなかオファーをもらえないのだが)。精一杯もがいてるけど、それでも会社に行きたくないと思うことは滅多にない。これは″満足していない″という否定形ではなくどちらかといえば″ベターにしたい″という前向きな気持ちだからだろう。それでもそもそもこの職場がもがくべき場所なのか、もっと別の良い道があるのではないか、完璧に満足でない仕事や生活を続けることは不幸なのではないかと思い悩んだこともあったが、やがてこんな結論に達して心が軽くなった。完璧に満足な人生なんて存在するのだろうか。そんな人生を送っているという人がいたら、その人がそういう思考回路の持主だったというだけだろう。ただ″行きたくない″とか否定形のネガティブな要素が入ってくるとこれはいよいよ不幸なのではないかと思ってしまう。今は現役を退いた父だが、いつか″会社に行きたくない″と愚痴ったことがあった。母は、

「あと数年で定年なんだから我慢したら」

と言った。父は仕事に関してはアホにたいにマジメな人で、適当にさぼったり、しばらく休暇をとってのんびりしてみるとかそういうことは思いつかなかっただろうし、またやってみても心地悪いだけだっただろう。彼が仕事に行きたくないと感じたのはほんの一時的なものなんかではなかった。父と母の同じようなやりとりが1年ほど続き、目に見えて父の様子がおかしくなった。物忘れがひどかった。ひらがなが書けなかったりもした。母は″あと数年で終わる″という期限を仄めかせて慰めているつもりだったかもしれないが、辛い状況の渦中にいる人にとってその数年は果てしなく長い。だからわたしはこう父に言ってみた。

「お父さん、仕事行きたくないなら辞めればいいじゃない。家のローンも学費もないし、わたしとお母さんの収入でなんとかなるから、しばらくゆっくりしてからまた新しい仕事探せばいいじゃない」

本気で辞めればいいと思って言ったのだが、父はこう言われて義務感から解放されて″いつでも辞められる″と思ったら逆に心が軽くなったのかもしれなかった。それ以来淡々と会社に通い、思いがけず定年退職の1年前に事故を起こして、早期退職となったのだった。

″会社に行きたくない″という気持ちとどう折り合いをつければいいのかとその本を購入した(単行本サイズで150ページあって650円ほど。コンビニで売られる本にしてパーフェクトな内容の重さと価格設定だと感心した)。著名人の名言とその解説を集めていて″会社に行きたくない″と思わない人でも十分楽しめる内容だ。″頑張ってるのに結果が着いてこないのだよぉぉぉ″と日々嘆いているわたしを慰めてくれたのはこれ。

「100回叩くと壊れる壁があったとする。でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから、90回はできていても途中であきらめてしまう −松岡修造」

いまどきの若い女の子達には″暑苦しいキャラ″とうざがられ気味の松岡氏だけど、わたしは好きだなぁ。恰好いいものね。打っても打っても返ってくる球を今度こそ今度こそって打ち返して、こういう名言に至ったのだろうな。

本によれば、ブルーマンデーといって月曜日は自殺者が増えるのだそうだ。食べて生きていくための労働に気を病んで生きることを絶ってしまったら本末転倒だからね。こういう本に励まされて治癒するなら風邪程度でしょうけど、末期まで追いつめられたら″生″から逃げるのではなく、″仕事″から逃げるべきだ。


Michelina |MAIL