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| 2010年12月02日(木) |
"日々の料理"を問う |
日も短くなって仕事を終えてから走って農園へ行き夕飯の野菜を摘んでくる。今日の収穫はルッコラと水菜、インゲン、ほうれん草、隣の農園のおじさんとばったり出くわし、里芋をもらった。夕飯は里芋とインゲンの煮っころがし、水菜とルッコラと豆腐の中華風サラダ、ほうれん草とコーンのバター醤油炒めにした。この時期の水菜は育ちが悪いから苦味が凝縮されているみたいだ。土がいいのか、この農園でとれた芋類は本当に味が良い。次の日のお弁当は夕飯の残り物に一品くらい作り足ししていく。そして農園のおじさん達と野菜の味の感想や美味しい食べ方についてお喋りをする。同じ野菜を手にとっても、それぞれの家庭でそれぞれの料理に変わっていく。先日みんなで採った二十日大根はわたしの家ではきゅうりと塩もみしてごま油とすり胡麻でナムルになり、農園ボスの家では生のまま味噌マヨで食べられ、小さな子供が二人いる同僚の家では苦味を消すためにじっくり煮込まれた。
先日NHKで放送されていた食育に関する番組を見た。これは「85歳 辰巳芳子 "日々の料理"を問う」というタイトルで放送された番組に対しての反響やこれを見た人のその後の生活の変化などを集めたドキュメンタリーだった。辰巳芳子はスーパーの惣菜コーナーへ行き、200円も300円もする小さなコンテナーにつめられたほんのひとつまみの副菜を見て嘆く。
「こんなんじゃだめよ。本当にたっぷり野菜を取ろうと思ったらひとり5パックくらいなきゃ足りないでしょ。そんなんじゃ家計がもたないわよ。副菜というのはね、一度作ったら3日も4日もたべなきゃならないくらい沢山作って、家族が好きなだけ食べられるようにするものなのよ。」
冷凍食品ばかりを子供に出す母親、育児に追われながらもきちんと心をこめて夕飯を作るのにも関わらず多忙で帰宅時間の遅い旦那になかなか食べてもらえない主婦、母親に教わりながら少しずつ料理の腕を磨く若い独身男性、80歳一人暮らしでも色とりどりの沢山のおかずを食卓に並べて足腰もぴんぴんした女性(おばあちゃんなどとは呼べない若々しさだった)、あらゆる人々が映し出されていた。
食に手抜きをする主婦達を叱り付ける辰巳芳子さんを見て、はて、こんなことは人に叱られ叱られ出来るようになるものなのだろうか、健康を気遣って暮らすことは自分自身が楽しんでやらない限り精神に悪いんじゃないかと思った。しかし、忙しいくなると食事に手を抜きがちになるが、それは本当は主客転倒で、忙しい日常だからこそ、それを難なくこなすために、健康な食事で体を丈夫に保つ必要があるのだろう。