My life as a cat
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2010年11月06日(土) Dances with wolves

Mark Rowlandsの"The Philosopher and the wolf"を読み始めまっさきに思い出したのがこれ。何度観ても壮大な自然の美しさ、そこに生きる人間と動物の純真な愛に心が洗われる大好きな映画だ。南北戦争のさなか、ある出来事を機に英雄となったジョン・ダンバー中尉(ケビン・コスナー)は、馬の"シスコ"と自分で勤務地を選べる特権を与えられ、やがては失われるであろうフロンティアを見ておきたいのだとサウスダコタ州のセッジウィック砦を希望し、シスコと食料だけを携えてその荒野のど真ん中の砦で暮らし始める。動物の死骸などが沈んだ沼の水をきれいにし、水浴びが出来るようになり、そのうちどこからかふらりと現れた野生の狼を"Two socks(二つの靴下)"と名づけぎこちなく餌付けするようになる。この痩せこけているくせに強そうな顔をして、孤独なのに人とぴったりと寄り添うことを好まない荒野に生きる一匹狼は、そのままこの中尉を投影したようだったから似たもの同士通じ合うものがあったのだろう、付かず離れずの関係の中に不思議な友情が出来上がっていった。ある日、白人だがスー族というインディアンの一族に育てられた女性を助けたのをきっかけにこの部族と接触するようになり、やがては一緒に狩をし、お互いの言葉を理解し、大きな友情が生まれていく。文明社会に生まれ、暗い政治の為の戦ってきた中尉は明日の食料の確保と家族を守るためだけに戦うスー族から人間の本来あるべき姿と人生の豊かさを学ぶ。

"I'd never known a people so eager to laugh, so devoted to family, so dedicated to each other. And the only word that came to mind was "Harmony". Many times, I've felt alone but until this afternoon, I've never felt completely lonely" - 笑い声が絶えず、何よりも家族を大切にする人々、"調和"としか言いようがない。今までも孤独だったが、これほどの孤独を感じたことがなかった。

やがてはいつか助けたスー族の女性と結婚し、ジョン・ダンバーではなくスー族の人間がみんな持つような呼称を与えられる。それが"Dances with wolves(狼と踊る男)"である。
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最後の最後には"その13年後インディアンは家を失いバッファローもいなくなり食料が尽きて収容された"という字幕で幕を閉じるのだけれど、この映画には動物とのふれあいや他民族との友情や愛情、言葉や文化や習慣の壁を越えて世界はひとつになれるという希望が存分にあった。荒野に向かって両手を大きく広げて、愛を叫んでアツい涙を流したくなるような映画だ。


Michelina |MAIL